神は言っている、お前に死ねと…… 「う、うぅ………」 寝苦しい、マジでどうなってんだ……? 俺は目を開ける、そして絶叫した。 「こ…こ…、ここ何処だよ〜〜〜ッ!!?」 周りを見渡しても荒野が広がるばかりで何も無い、否___一つだけあったぞ 「塔……?」 遠くに見える巨大な白塔に目を凝らす、かなりの距離がある筈だが大きすぎて肉眼でも確認できる程である。 すると___、 「あなたは誰ですか?」 背後からの声に振り返る、そこには女性が立っていた。 「よ、よお…道に迷ったみたいなんだが、帰り道とか分かったりします…?」 反応がない___、 「あ、あの……!」 問いかけようとした矢先、背後から声が聞こえてくる。 「私は……誰なのでしょうね…」 また振り返ると別の女性、それも見知った人物であった。 「愛…ッ!?」 顔見知りに出会えてホッとした、本当に一時はどうなる事か………と… 「へっ………??」 愛の肩に触れようとして手がすり抜けた、俺は不思議に思って何度か触れようとするも愛に触れる事は叶わなかった。 「記憶喪失……?、いえ…この世界を訪れる者は例外なく役割があり、それを理解している筈です。ならば、貴女は何者なのですか?」 俺が見えていないのか、愛と女性が気にせず会話を続けていく。 世界?、役割…? しかし、内容は何を言っているのか全く理解できないでいた。 「私は……誰かを探していた…気がします。」 愛は困惑した表情で呟いた。 「なるほど、誰かを…………」 女性は少し考えるように黙った、そして告げた。 「失礼、まだ名乗っていなかったですね。私の名前は"死亡者"と言います、以後お見知りおきを」 そう名乗ると笑った、愛にも劣らぬとても儚げな笑みである。 「死亡者…さん?」 「ふふっ、変な名前ですよね」 「い、いえ!、そんな事は…!?」 「良いんですよ!、これが私の名前であり自身の役割ですから…!」 「そ、そう…なんですね…?」 愛は不思議そうに言葉を口にした。 「ところで先程、貴方は探している方がいるとおっしゃっていましたが、私にも一人だけ心当たりがあります!」 そう死亡者は語った。 「本当ですか!、ほんと自分でも誰を探していたの分からなくて困っていました」 「えぇ、たぶん……貴女が探している方は管理者さんですね!」 管理者…?、側から聞いていた俺も疑問に思った。 「管理者…ですか?」 「そうです、この世界の管理人にして現存する唯一の管理塔、その全てを一手に担っているのが管理者です!」 「管理者……、その方はどういったお方なのでしょうか?」 愛は疑問を投げかける。 死亡者は考え込むように俯く、そして不意に呟いた。 「管理者ですか……きっと死ぬべきでした、あの時に」 「へっ……??」 突飛な返答に愛は驚いた、それに対して死亡者は謝罪する。 「あっ、これは失言でしたね………でも、その方が彼女の為だったと……今さら振り返ると思うのです……」 少しばかり悲壮的な目で地面を見下ろす、しかしそれは一瞬の出来事であった。 「まぁ、実際に会ってみるのが手っ取り早いです!、もしかすると忘れたご自身の名前を思い出すかもしれませんしね!」 死亡者は笑いながら答えた、それはそれは儚く笑ってみせたのである。 そして愛は呟く…… 「分かりました、では最後に質問があります。」 「んっ、何…?」 「死亡者さん、あなたが先程に話していた"あの時"とは具体的に何があったのですか?」 死亡者の瞳が少しだけ緩んだ、なんだか懐かしむような…悲しむような……そんな瞳で愛を見ていたのである。 「そうだね、あれは___、、、」 ___ズザザザ……ッ!? 視界が暗転する、突然の砂嵐に巻き込まれてしまい俺は身を丸めて自衛の姿勢を取っていた。 強風がどんどん酷くなっていく、吹き荒れては俺の身を揺らす。 背筋に悪寒が走る、砂嵐の中にいるのは俺だけではなかった。暗闇の奥に物影を見た、しかも規格外にデカい存在である。 俺は死を覚悟した、ここで死ぬとばかり心の奥底から思ったのである。 ___しかし、 神は言っている、ここで死ぬ運命ではないと……… 俺は怪物の唸り声に飲まれた、しかし間一髪で視界が開けていた。 「ハァ……ッ!?」 自室の天井が視界に入る、ちょうど俺は目を覚ましたところらしい。 嫌な汗をかいていた、あれは夢か………いや、自信を持って言える事がある。 "あの場に残っていたら確実に死んでいた…!?" ……と、確かな肉体の痛みを伴って確信した。 そして、あの不思議な世界と死亡者について……そして、その場に居合わせていた愛の姿を思い返す。 「何なんだよ……全く…」 冷や汗が頬を伝う。 何故だか、今そこであの怪物の声が聞こえた気がした___。 https://ai-battler.com/character/41dd9054-a3e8-4d09-af74-60f7d9a3896c