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みなしゴーレム

目を覚ますと、博士はそのことをわかっていたように、 「おはようねぼすけさん、お前いったい何年眠ってたと思う」 と言った。 窓の外には赤や黄色の花々が陽光にキラキラして、小鳥のさえずりが賑やかに聞こえた。 どうやら昼すぎまで寝ていたらしい。 「はじめまして、何なりと申し付けください」 と言うと博士は、 「そういう堅っ苦しいのはいい、そんなためにお前を作ったんじゃないんだ」 そう言って、嬉しそうにしていた。 「しかしそれでは、…主人の役に立つのがゴーレムの役目です」 「いやそういうのはいいんだ、…でもそうだな、じゃあ庭の花壇に水をやって来てくれるかい」 何もさせないのも居心地悪かろうと思ったのだろう、博士はそう言って、部屋の外に案内した。 太陽の光が眩しく暑い。 この足で地面を踏むと、なんだかどこにでも行けるような気がした。 見ると博士も、眩しそうに目を細めている。 教えられてジョウロに水を汲み、水をやると、水滴がキラキラと光を反射して光った。 それはとても綺麗だった。 博士は、まるで成長する息子でも見ているみたいに、そこに立っていた。