朝早く、どこか儚げな美少女が目を覚ます。 「んっ……?、何やら殺気を感じたわね」 よく分からぬ殺意に目を覚ましたのだ、しかし最近は恨みを買いすぎてどれがどれだか…? 枕元で寝息を立てる虎次郎、その様子に釣られて再び横になり布団を被った。 これはようやく訪れた平穏なのだ、今はこのまま享受しておく事にしよう。 そう夢の中で呟いた、今はただ…堕落しよう……。 朝早くから山道を猛スピードで駆け抜ける人影があった。 ___タタタタッ…! あっ!?、おはようございます!、わたしの名前は引合 火乃香(ひきあい ほのか)です。 いまは日課のランニング中なんですが、雨が降っていたのか少しぬかるんでいて走りづらいです。 迫り来る木々を左右に移動しながら軽々と避けていく。 もっと小さい頃はよく木にぶつかって怪我をする事がありましたが、最近は練習のおかげで避けられるようになったんです! でも、お姉ちゃんみたいにキレイに出来なくてむずかしいです。 あと、最近では"看板娘"のつとめにようやく慣れてきました。最初の頃は生き物を殴ることにていこうがあったのですが、どうにか慣れてきました! でもですね、不殺ルールなので手加減がすごくむずかしいんです! 本気で殴ってみたら死にますし、でも手加減すると何度も立とうとするので半殺しにする必要があっていそがしいです。 あとですね……… 森を抜けて道路が見えてくる、立ちはだかる柵を飛び越えて着地しようとした時、視界の端に迫り来るバイクを捉えた。 ___キキィーーーッッ!!? 急ブレーキを掛けたが間に合わない、しかし火乃香は至って平然であった。 ___ユラリ…! バイクと衝突する瞬間、火乃香の肉体が蜃気楼が晴れたように消え入った。 ___キィーーーッ!! バイクを走らせていた人物がヘルメットを投げ捨てて後ろを振り返った、そこにはケロッ…とした様子の火乃香がいた。 「た、助かったぜぇ〜」 運転手はへたり込んだ、彼女の背広な特攻服が地面に付いた。 そう……何を隠そうツーリング最中だった膝元 暴羅(ひざもと あばら)である。 「大丈夫ですか?」 火乃香は呟いた。 「こっちも前方不注意で悪かったが、いきなり飛び出してくんのは反則だろ〜……」 苦笑い気味にアバラは呟いた、彼女はワルに憧れているが犯罪者になりたい訳ではない。どうにか人生の危機を回避した事に力が抜けてしまった。 「ってかガキ」 「わたし、ガキじゃない…?」 「あっ?、じゃあなんて呼べばいい?」 「火乃香って呼んで!」 そう言って火乃香は微笑んだ。 「ホノカ……?、漢字は??」 「火の香りって書いて火乃香だよ!」 「火の香り?、また線香みてーな名前だな」 「むっ、ぶつよ!」 そう言って火乃香は拳を握り締めた。 「ぷっははは!、悪かったな!、ところで家まで送ってやるよ、場所は?」 子供相手だと思って話を逸らしたアバラ、火乃香は一点を指差した。 「あっちの方…!」 「あっち……ってーと、森ぐらいしかねぇじゃねぇかよ!、ここまで単車を蒸しても1時間以上はかかんぞ!?」 「そうかな?、走ったら直ぐだよ…??」 その言葉にアバラは笑った。 「おもしれーガキだな、ほら乗れよ!」 「だからガキじゃないってば…!」 「悪いわるい、火乃香だったな」 イカしたバイクに二人は跨り、朝日を背にして道路を爆走する。 ここから先は不運か幸運か…?、再び物語が動き出す時である! フウタローよ、心して……いや、首を洗って待っているがいい…ッ!! https://ai-battler.com/character/48b754c3-31d1-4847-9a6b-52bf1ebd0fa8