___ガサガサ 草むらにて蠢く不審者が一人、先程に別れた筈の瑞稀であった。 ___ガサガサ もうフウタローのバカ……互いに家が隣同士なんだから帰り道も同じじゃん、それなのに途中で別れたのに違和感も持たないなんて…… ___ガサガサ……ピクッ あっ、どうもこんにちは!、私は"引合 瑞稀(ひきあい みずき)"と言います、将来のフウタローのお嫁さん候補です! それで聞いて下さいよ! 今日ですね、朝からフウタローの様子がおかしいんです!、なんだかずっとボゥ…としてて、私がいつもと違う帰り道を行こうとしても気にもしないんです。 ふと木々の隙間からフウタローの後ろ姿が見えた。 ふふん、だから私はこうしてフウタローを尾行しているのです! あっ!、これは決してストーキング行為なるものではありませんからね!、ただ幼馴染として……あとは将来のお嫁さんとしてフウタローが心配で見守っているだけなんですからね! ___キッ 不意にフウタローの背中を睨んだ瑞稀。 なんだか泥棒猫の気配を感じます!、あっ……それから私ですね、先日なのですが猫ちゃんを飼いました!、名前は"虎次郎"……って、違う違う! 集中しなさい瑞稀、今はフウタローの貞操を守る時!、引合家の名にかけてお婿さん候補を死守する時なのです! と、言いましても流石は"非モテのフウタロー"と呼ばれるだけの男、未だに女性の影すら微塵も見えませんね。 瑞稀は木陰から身を乗り出す、強風が彼女の豊かな胸部を揺らす。 お相手はどんな方でしょうか?、私より強いのでしょうか?、いえ……そんな事はありえません! しかし、フウタローを誑かしたからにはそれ相応の実力をはからせていただきます。これは決闘です、私とフウタローを賭けた決闘なのです。 フウタローの背が遠ざかる、ここからは先回りして様子を伺うとしましょう。 ___タタタッ…! 木々の隙間を縫うように走る一筋の光、アンクルブーツとロングスカート着用で走っているとは思えない身のこなしである。 小枝を避ける、でこぼこした地面を軽快に駆けては岩肌を飛び越えた。 むっ、やはりこの装いでは少し走りにくいですね。仕方ありません、服に皺がつくのは避けたかったのですが…… 瑞稀の脚がバネのように跳ね上がる。 ___バッ! 木の枝を掴んだ。 ___バッ、パッ……ババッ、バサッ! 木の枝を掴んでは跳ねるように木々の間を移動していく、朝の日課に比べたら楽なものである。 さて、このペースですとフウタローの足取りで考えてここ辺りが適切でしょうか…? ___シュタ! 物陰に身を潜める、遠くにフウタローの姿を捉える事ができた。やはり脳内のフウタロー辞典に間違いはありませんでしたね! 何やらブツブツと呟いていますね?、よく聞こえませんが……別れ際に殴ってしまった傷が痛々しいですね、少しやり過ぎてしまいました。 ですが、あれはフウタローが悪いのです!、頭の中で私のことを悪く言っていたに違いありません!、将来のお婿さん候補と言えども越えてはならない一線というものが……… 独り言を呟く瑞稀の耳にフウタローの声が入ってくる。 「たくっ……瑞稀の奴、強く殴りすぎだってーの」 ふん!、それはフウタローが…… 「まぁ何だ、瑞稀の奴も……んー、もう少しお淑やかだったら美人で気配りができる良い嫁さんになるのになぁ」 「へっ_____っ???」 私の脳裏が白く染まった、突然のことに体から力が抜けてしまった。 ___ガサガサ! 「んっ、なんだ?」 ヤバッ!、草陰に身を潜めて両手で口元を覆う。 フウタローの視線を感じる、心臓の鼓動が早まりバクバクとして治まる気配がない、混乱して息が止められない……! 「まっ、いっか…」 鳴り止んでいた足音がまた動き始める、私はドクドクと高鳴る胸元を撫で下ろした。 ふぅ……、というか今さっき良いお嫁さんって言った!? もうフウタロ〜!、こんな公共の場でプロポーズなんて恥ずかし___! 「まぁ、またあの子と出会えればだけどな」 ___ピキリ…! ………は"っ? 誰と…?、どこで?、何を?、ねぇフウタロー?、ねぇ___ "風太郎……!" ___ゾワッ! 「うおっ!?、寒…ッ!、やっぱ冬は冷えるな……」 哀れなフウタローよ、貴様の運命は決まってしまったようだな…! 軽快なBGM〜♪ やめて!、瑞稀の怒りのチョークスリーパーで、フウタローのシンボルがへし折られたら、闇のゲームでシンボルと繋がってる風太郎の精神までへし折れちゃう! お願い、死なないで風太郎! あんたが今ここで倒れたら、〇〇さんや△△との約束はどうなっちゃうの? ライフはまだ残ってる。ここを耐えれば、瑞稀に勝てるんだから! 次回 風太郎 死す ___デュ〇ルスタンバイ! https://ai-battler.com/character/f9e6ea41-c508-4084-98f0-a38e36cb5d8c