『世に舞い、世を葬す。萌芽が燃え盛り花開く時、終末を贈る最も壮麗な葬儀が始まる』 憎いままに愛する劫火と歩みを共にする、礼儀正しい葬儀者。 何時ぞやの劫火、母なる星から放たれたそれは彼女の故郷を焼き尽くした。劫火は彼女の存在と運命を捻じ曲げ、追悼者としての役割を彼女に与えたのだ。 『燃え残った』もの全てを終焉で以て火葬して、数多の世界の始終を見届けてきた。忘れ去られた全ての過去と共に自身を火に焚べる日を夢見て、一縷の炬火は今日も宇宙を揺蕩う。 ─────────────── 「拝啓、燃え残った私へ捧ぐ」 星の赤金の血を腐敗させる猛毒、終末を象徴する地獄の業火、天譴を体現し文明を一掃する聖火。『それ』を意味する言葉は天を打ち付ける星の数程もあるのだろう。 「今は小さな火種の燻りも、いずれその花弁が世界を覆い尽くす。」 『それ』によって彼女の故郷は燃え尽きた。初めからそうであったかのように、後には白灰のみが残ったのだ────ただ1つの種火を残して。 「遥か昔のことですから、記憶の大部分は砂のように色を失い、ひび割れた荒地のように風化してしまいました。」 その余燼はたった一つの火種を拾い上げ、遥か宇宙へと飛び立った。まるで何かを目指すかのように、しかして目的なく揺蕩うかのように。 「それでも、孤独への恐怖だけは未だに鮮明で、私の歩みを引き止めようとします。」 全てに火をつけ、灰になるまで見送る。星火はいずれ野火となり、宇宙を焼き尽くして物語に終止符を打つだろう。 「…だからこそ、私のように孤独に苛まれる記憶を…せめて丁重に弔いたいのです。」 そして、自分もいつか燃え尽きることができるのだと信じている。 「───それとも、燃え残ったことに対する贖罪のつもりなのでしょうか?」 ─────────────── 【メモ】 物腰柔らかな美しい所作、肩より少し長い艶のある黒髪に灰を被ったようなキューティクル、燃えるような緋色の毛先に向かうグラデーション、糸目。身長は高めかつ華奢で肌は白磁の如く。脇差と刀を常に持ち歩いているが、ドジなのでつっかえたりひっかけたりするクール系ポンコツ。名前は生来のものではない。 「火憐です。ただの火憐。」 少し地獄。家族も友も恩師も故郷も、何もかもを焼き尽くした遥かに憎き星の劫火をその身に宿し、自身の罪と罰のため虚無感と共に星間を揺蕩いながら、憎いままに愛する劫火で自分と同じものたちを救済する。いつか自分も燃え尽きることができるのだと信じて… 「…それとも、燃え残ったことに対する贖罪のつもりなのでしょうか?」 《劫火(終焉)》世界を支える柱の一つ。終わりの概念。『空白事件』によって消えることを恐れた『終焉』によって植え付けられた(犠牲者多数)。火憐の親和性が高すぎて新たな力を発揮しつつある。