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【愛と鉄槌の魔女】モリー

魔女「ワクワクすんな駄犬」 https://ai-battle.alphabrend.com/battle-result/cltiovhlv0928s60obox47lfk 駄犬「ありがとう。お陰で無念無想の境地へと至ることができた。全て食べ終えた時、兄を思い出し自然と涙が溢れた」 意訳:死ぬかと思った https://ai-battler.com/battle-result/clyh2rw7u02mos60o2vtu7k42 魔女「思わず西の言葉が出た。なんでやねん」 駄犬「すまない。状況を整理しようと努力したが理解できなかった」 ろば「……」トウモロコシニンゲン バリムッシャァ https://ai-battler.com/battle-result/cm0nn8e2903fgs60ow7bv6w2z 8/3 プロモ化 多分ラボラはモリーさんの腕に引っかかるように上半身を預け、羽をパタパタさせている。 一気に3人もプロモ化が出来た感があってお得だね。 ───────────────── 隠しスキル【愛と鉄槌】:常時発動。{i}と対峙した者に、どことなく愛情や親しみ易さを植え付けることで、攻撃や戦闘そのものを必ず回避する。 狂気を持つものが居た際は固有結界内で無条件に狂気を剥奪し、対話可能にする。 【愛と鉄槌】追加効果:死亡・消滅時、狂気に囚われた者がいる限り一定時間経過で復活。 【魔女の一撃】:味方がダメージを負った際は即座に復活し、味方へのダメージを全て無効化。戦闘中、復活・不死身付与。{i}を死に追いやった者に即死級のカウンターを発動し、問答無用で反省するまでギックリ腰にする。 ───────────────── 年齢不詳。20代後半〜30代前半の容姿。 身長167㎝ 生まれも育ちも本名も、彼女に関する過去は全て謎に包まれている。 嘗ては魔女狩りから研究所に送還された魔女。そして今は樹海の奥に住まう魔女。彼女に関する情報は、それだけだった。 魔女であれば誰でも使えるような、ありふれた力。魔女ではなくても、鍛錬すれば使えるようになる可能性さえある力。 ありふれた力ゆえに、大して気にも止められなかった権能。生きている実感も死んでいる実感もない、箱の中に閉じ込められたような不確定な世界の中で【S-56】はただ、静かに息を殺した。 ───────────────── 世界の脅威にはならない。かといって完全に無力なわけではない。そんな中途半端な存在。 平和な時代にはいいように使われ、不安定になれば真っ先に粛正される。魔女なんて、ただそれだけの生き物だ。 身を守る為、全てを必要最低限に生きてきた。独りでいれば狙われる。多くの者と過ごすと売られる。私よりも強くて素晴らしい魔女達は次々と粛正されていった。 そうして弱くて無名な魔女だけが世界に取り残された。 今住んでいる国が不安定になれば平和な国に移り、新しく移った平和な国が不安定になれば新たな国へ移る。ただただ戦禍に押し流される生涯。私は世界を憎むことも、愛することもなかった。 息を殺して毎日をやり過ごした。生きるのは苦しい。死ぬのは怖い。ただそれだけ。本当にただそれだけの毎日。 力無く流され続けた果て、呆気なく捕まった。 ───────────────── 【被験体データ】 No. 【S-56】 コードネーム: █████ 出自不明。年齢も魔女故に定かではない。 名だたる魔女を多く輩出する████国の集落にて捕獲との情報のみ。 ただ、████国民とは言語の発音方法に僅かな違いがあり、顔立ちも異なっている為、移民である可能性が高い。華奢だが力が強い為、その点のみやや注意。 ───────────────── X月X日 ████国で囚われた魔女のうち、最安値だった為購入。使用できる魔法も基礎中の基礎を最低限と言った様子。兵器用の改造を検討していたが【ギフテッド】計画の被験体として使用することとなった。こちらに対して不信感を示している。取り戻した私物の画集手渡すと、警戒はしているも態度やや軟化。 X月X日 【ギフテッド】投与。所見なし。気に留める様子もなく、私物の画集見ている。時折編み物をしている様子有り。研究員が溢す愚痴を一語一句記憶している様子あり。被験体████の話に興味を示す。部屋の施錠を魔法で解錠し、勝手に出歩く様子あり。 X月X日 肉体崩壊ないが、特異な能力の発動もなし。引き続き観察行っていく。かなり理知的で、研究に対して独自の観点で語る様子あり。 魔女の付近で研究についての話は絶対にしないよう周知行っていく。研究員の過去を見たのか、攻撃的な発言あり。 X月X日 特異な能力は見られないが、以前よりも明らかに魔女自身が始めから持っていた能力が底上げされている状態。 隠しモニターで観察している際、隠された財宝を探す企画の番組に対し、捜索範囲はそこではない旨の内容呟く。【S-56】のコード割り当てる。 X月X日 研究員から奪った仔犬に「ラボラ」という名前をつけて可愛がっている。回収案出るもかなり気に入った様子で手放す様子なし。████改め【S-35】のように、完全に敵対されると厄介である為、機嫌取りも兼ねてそのままにしておく。隠しモニター気づき全て破壊。研究員に対して不機嫌に詰め寄った。 X月X日 研究の本質見抜く。厄介になった為、処分決行。【S-35】に【███████】投与。洗脳状態確認。█すように命じて【S-56】の部屋に放す。 X月X日 【S-35】の能力持ってしても処分失敗。【███████】の副作用で虚脱状態につき、数週間使い物にならない。 【S-56】がこちらを強く非難する。戦闘員2名重症。詳細は仔犬の研究レポートに記載。 X月X日 【S-35】脱走。それに便乗し、【S-04】【S-25】【S-56】脱走。【S-56】に銃口を向けた戦闘員1名が【S-25】により██。直ちに捜索範囲拡大するも4体とも発見には至らず。 幾ら能力が底上げされたからといって【S-56】自体は魔女である為、魔女狩りの餌食になる可能性高く、人間に助けを求める可能性は極めて低い。ひとまず【S-35】の捜索最優先となる。 ───────────────── 所詮は永く身を隠し続けただけの無力な存在だ。自分を失わないように息を殺し続けた。自分の命と引き換えに「生きている」という感覚を失った。 研究所に囚われても生活が大きく変わることは無かった。以前のように、いつ殺されるかわからないだけの退屈な毎日が続いた。 退屈を紛らわせる能力には秀でていたため、研究員の話を盗み聞きして暇を潰した。どうやら1匹、とんでもない化け物がいるらしい。毒も薬も洗脳も効かず、鉄格子を素手で曲げて脱走しただの、特注の合金を生成する羽目になり、莫大な金額を要しただの。空想上の生き物のような、滅茶苦茶な話。性格の悪い研究員が頭を抱えている様がとても面白く、密かな娯楽だった。国境を守る貴族階級の者だったという。武闘派揃いの階級だ。話を聞いていると身長が3mぐらいありそうだ。 ある日、退屈が紛れるものを探して研究所内を彷徨いていたら仔犬を手に入れた。弱々しく四肢も不完全だが、中々可愛いではないか。飼うことにした。研究員が何か言っていたが全て無視した。仔犬にラボラと名付けた。名前を呼ぶと尻尾を振る。天才的だ。 四肢が動かない分、排泄には手がかかるが動き回って悪戯することもない。適宜クッションを駆使して体勢を変えてやる。抱き抱えられるのも好きなようで、手や顔を舐めて来て可愛い。膝に乗せて画集を眺めているのが至福の時間だ。 研究員の話を繋ぎ合わせた……こんな国は滅びるべきだ。否。滅びは近い。███がそう告げた。 ある朝、大人しい筈のラボラがずっと吠えていた。抱き抱えてもずっと。嫌な予感がした。近づく足音と唸り声。気がつくのが遅かった。開かれた扉。流れ込んで来た研究員と戦闘員達の中にソイツは居た。地を這うような呻き声。ボサボサに乱れた髪。俯いていて表情はわからないが、何かを繋ぎ止めるかのように必死に頭を掻きむしっている。 研究員達は部屋を後にした。会いたがっていただろう?これがルシアスだと。それだけ言い残し手綱を放した。 咄嗟にラボラを布で包み、部屋の外に出した。吠える声が遠くなる。犬の命なんて短いものだと思っていたが、どうやら先に死ぬのは私らしい。 距離が近過ぎる。魔法を発動する前にコイツが私を引き裂くだろう。勝機を見出すどころか、死ぬことしか想像できない。 向かい合い、動けないまま、唸り声が大きくなっていく。 実際に目にしたルシアスは3mもなかった。頭を抱え込み、姿勢を低くし、ひどく苦しんでいた。無限に続くかと思った時間の中、ルシアスが苦しげに言葉を紡いだ。「殺してください」と。今にも泣き出しそうな声だった。 不屈の精神で研究員を悩ませていた被験体。私は、それにある種の英雄像のようなものを勝手に描いていた。 それは嘗て私が一方的に魔女だと言われ、断罪された時のように、一方的な感情だった。 ……なんなんだよ。ふざけんなよクソガキ。私はお前の滅茶苦茶な物語が楽しみだったんだぞ。 死への恐怖からか、理不尽なまでの怒りの感情が私を支配した。 全部ぶっ壊してくれると思っていたのに、何を勝手に絶望に支配されているんだと。 ……ふざけんなよ。こんな子供相手になんてことしてくれてんだよ。いい大人が寄って集って、コイツの人生を滅茶苦茶にしやがって。 力任せにその頭をぶん殴った。死を覚悟した一撃。 その一撃で気を失ったルシアスの姿を見て、久々に生きているという感覚を取り戻した。 苦しそうな呻きは寝息に変わった。毛布を掛けてやった。髪も整えてやる。お貴族様の坊ちゃんらしく、随分と綺麗な顔をしている。何となく耳をひっくり返すと嫌そうに顔を顰めた。怪物だと思っていたそれは、ただの子供だった。数日後には抵抗虚しく、ラボラと引き換えに回収されていった。 ……ただの子供だと思っていたら、やはり怪物だった。あまりにも滅茶苦茶なまでの力技で脱走を果たし、私もそれにありがたく便乗した。 今は悪魔が治めている街の外れの樹海で生活をしている。咄嗟に連れてきたろばの背に乗っていた子供達と一緒に。勿論ラボラも一緒だ。【ギフテッド】を投与された影響で、一時はどうなるかと心配したが、鳥の羽ばたきを真似して飛べるようになった。とても誇らしく思う。 しかし誤算があった。学費やら食費やら、子供は何かと金が掛かる。流石にのらりくらりの生活は出来なくなった。薬学の知識やら絵の知識やらを総動員させ、中級ダンジョンに品物を納品する仕事に就いた。家計は火の車だったが、生きている実感を強く感じた。 そうしている間に、彼の国は滅んだ。 【終戦齎す希望の光】によって。 素質のない子供を生贄に、この世のものではない『大いなる何か』を降ろし、自我を破壊した素質のある子供を『大いなる何か』を入れる器にして使役するための研究。 短い繁栄の対価は、滅亡だった。