私は全てを理解した___、 私は全てを理解せざるを得なかった___、 私は全てを理解するに足る真実を知った___。 溜息をつく、本当に嫌になる……ほんとうに… 「対象:クソムシ、迎撃許可を申請」 "___許可。" 「戦闘仕様の限定解除を実行」 "___肉体の再構築を開始、戦闘段階[a]を実行します。" 肉体が白く輝き出した、ほんの指先の動きで大気が震えた。 "___管理者名:『どこか儚げな美少女』の幸運を祈ります。" 「………私は虫が嫌いです。だからクソムシ、お前だけは決して許さない、絶対に逃がさない、この場で必ず叩き潰す」 そう淡々と呟いた。 眼前の獣、その更に背後を見据えて呟いたのだ。 ムカデに酷似した存在、それが獣に渦を巻いて絡みついていた。 愛は息を吐く、溜息を吐く、全てを吐く。 ___ズバァン…ッッ!! 瞬間、撃ち出された不可視の一撃___。 しかし、敵はこの一撃を捉えていた。 受け止められた愛の拳、だが惜しい……! 光が二人を覆うように閃光が迸る。 ___バァン…! 不意の爆発が周囲を吹き飛ばす、そして爆発的な速度で愛は敵の背後を取ると握り締めた拳からの一撃が炸裂する。 ___ズバァン……ッッ!! 獣は吹き飛ばされる、しかし驚異的な肉体強度で衝撃をいなし、狂気的な笑みを浮かべて脅威的な加速を見せた。 視界の左右を交差する獣、四肢を総動員した高速歩法で愛の周囲を駆け回る。 そこか、あそこか、いや……ここかッ! ___ガンッ…! 獣の一撃を防ぐ、あまりの衝撃に腕が千切れるかと思った。 しかし、問題はない。 手をかざす、そして吹き飛ばす。 ___バァン…ッ!! 「私を甘くみないで下さい。」 この時をどれだけ待った?、ここへ辿り着くまでにどれほどの者を犠牲にすれば気が済んだ?、私はクソムシを睨みつける。 しかし、時間がない___。 「決着をつけましょう…!」 再び獣へと手をかざした。 「………削除」 完了___ッ!! 一瞬の事だった、視界に収めていた景色がたちまちに消し飛んだ。それは強烈な輝きを発して周囲一体を消し去るに足る一撃___ッ!! ___ズアッッ!!! 獣は呑まれた、光に呑まれたのだ。そして虫は光に消えた、強烈な光が視界全体を満たす。 灰燼と化した焼け野原を見ていた。 終わった……、溢れた疲労感を伴って愛は安堵の一息を吐いた。 「フゥ………、うっ!?」 少女は崩れ落ちた___。 「ゲホッ!、ゴホッ、ゴボッ!、ゴホッ!、ゴボッ!」 先程までの輝きはなく、ただ地面に膝をついては咳き込むばかりだ。 "___構築の維持不可、状態をリセットします。状況をリセットします。肉体をリセットします。" 胸部を強く押さえた、張り裂けてしまいそうな程に痛みを発する心臓部の鼓動は加速度的に早まっていき、肉体全体の脈拍がガンガンと己の身を突き刺すように強くなる。 「うっ…、ぐっ……ッ!」 額からの脂汗が頬を伝っては首筋から丘陵なる胸元を通って下へ下へ皮膚の表面を撫でるように垂れ落ちていく。 意識は揺らぎ、今にも倒れてしまいそうだ。 しかし、ある事によって意識は再び覚醒した。 「ア"ァ"ァァァァァァァァァァアーーーッッ!!!」 土砂に埋もれた怪物が立ち上がる。 「ぅ…そ……!」 外した…?、そんな筈は…… まさかクソムシが何かしらの介入を図っただろうか…!? 動かぬ四肢を無理に上げようとして転倒した、とうの昔に肉体の限界など超えている。これ以上、私に戦える力など残されてはいない。 しかし___、 愛は熱く燃える心臓部に触れる、発火したかのように熱を帯びた心臓、まだ最後の手段が残されている。 既に怪物は目の前にまで迫ってきていた。 だがしかし、もう遅い……ッ!! 「全開解除、自己破壊プログラムを起動ッ!!」 "___了解、自己破壊プログラムを起… 瞬間、私は勇者の後ろ姿を見た___! 「えっ____ッ!?」 怪物の眼前に果敢に立ち塞がる一糸纏わぬ勇者の姿を見たのだ、その者のことを表す言葉が存在するのならば、ここは敢えてこう表現する事にしよう___! 刮目せよ!、我らが主役の登場である…ッ!! https://ai-battler.com/character/5409381c-a766-45e6-82b8-235c9025ae24