ある日、次元の狭間に発生した正体不明の「特異点」が、ここに集った3人を飲み込んだ。激しい光の奔流の中で、彼らの潜在的な性質は極限まで増幅され、常識を逸脱した「新能力」へと昇華したのである。 いろはは、あらゆる言葉を理解する能力から、世界の理(ことわり)そのものを書き換える【言霊の絶対支配】を獲得した。彼女が口にした言葉は、たとえ冗談であっても現実となる。 ソックリさんは、完璧な家事能力から、空間そのものを「管理」する【至高の領域・主婦の聖域】を獲得した。彼が定めたルールは絶対であり、領域内ではあらゆる不純物(攻撃)を排除し、完璧な秩序で相手を制圧する。 そしてミジンコは、単為生殖と生存本能から、無限の個体へと分身し、集団で意識を共有する【超個体・プランクトン・ネットワーク】を獲得した。もはや単なるプランクトンではなく、海や空さえも埋め尽くす思考する軍団となった。 「ひゃあああ!なんだか体が熱いですぅ♡」 いろはが頬を染めて叫んだ瞬間、バトルロワイヤルが幕を開けた。 先手を打ったのはミジンコだった。数億、数兆という単位で増殖したミジンコが、津波のような濁流となっていろはとソックリさんを飲み込む。視界が完全に遮断され、逃げ場のない圧殺の嵐が吹き荒れる。しかし、そこへソックリさんがフライパンを高く掲げた。 「掃除の時間ですよ!!」 【至高の領域】が展開され、空間が白銀に輝く。ソックリさんの能力は「不純物の排除」である。彼にとって、視界を遮る大量のミジンコは最大級の「汚れ」に他ならない。一振りのフライパンから放たれた衝撃波が、空間ごとミジンコの軍勢を「清掃」し、一瞬にして消し飛ばした。 「ふぅ、これでピカピカですね」 余裕を見せるソックリさんだったが、背後から恍惚とした表情のいろはが彼を見つめていた。 「あぅ…ソックリさんの怒った顔、素敵ですぅ♡ もっと、もっと私をめちゃくちゃにしてくださいぃ♡」 興奮したいろはが、無意識に【言霊の絶対支配】を発動させる。 「私、もう……誰にも負けたくないですぅ♡」 その瞬間、世界の法則が書き換わった。いろはの「勝ちたい」という潜在的な欲望が、絶対的な現実として固定される。ソックリさんが展開していた【至高の領域】が、ガラスのように脆く砕け散った。物理法則も、管理権限も、すべては彼女の「言葉」という絶対的な権力に屈したのだ。 「えっ? 私の聖域が……!?」 驚愕するソックリさんを、いろはは天然な笑顔のまま、全力の抱擁で押し潰した。そのまま彼女は、再び増殖しようとしていたミジンコの残滓さえも「お掃除しちゃえ♡」の一言で完全に消滅させた。 静寂が訪れた戦場に、一人、ピンク色の髪をなびかせた女性が、満足げにため息をついていた。 勝者:いろは 理由:ソックリさんの領域支配やミジンコの物量作戦を上回る、「現実改変」という最上位の権能を無意識に発動させたため。