第一章: 雷鳴の庫わり 　霧のような靄が薄く漂う広大な空間、その真ん中に立つのは白銀の長髪がたなびく『最初の魔導師』アルカナ。彼は白いローブに身を包み、長大な杖を手にしている。彼の周りは静寂に包まれ、時折耳慣れない風の音が冷たく響く。その瞬間、彼の表情は毅然として、きりっと引き締まった。 「誰もが欲する真実の力よ、我が手に宿れ。顕現せよ、極光の魔砲！」 　アルカナは声を高め、詠唱を始める。手にしている杖からは光の粒子が渦を巻いて放たれ、生じたエネルギーが周囲の静寂を打ち破った。白いレーザーが杖の先から直線的に放たれ、光の矢となって闇を貫く。 　その白いレーザーは、まるで流星のように空を飄いて、正面の樹木を真っ二つに切り裂いた。切り口からは木の香りと、断面の生気が香る。レーザーの光は周囲の岩と地面に反射し、まるで白銀の星座が彼の足元で瞬いているかのよう。 　しかし、その時、遠くから小柄な影が近づいてくる。『本を読む魔法』の名を持つ、淡く可憐なアンナ・ライトノーム。彼女の視線は真剣そのものだ。モノクル越しの鋭い眼差しは、アルカナの動きを冷静に捉えている。 「ふむ、良い技ですね。ですが、これをどうにか拝借させていただきます。」アンナは冷静に呟くと、両手を広げ、魔導書を浮かび上がらせてそのページを繰る。彼女の知識が研ぎ澄まされる。 「魔壁、出でよ！」 　アンナは明瞭な声で発動の詠唱を決める。彼女の魔法が具現化されると、その瞬間、透明な力で作られた壁が彼女の前に現れた。壁は彼女を守るだけでなく、アルカナの魔砲をなんの苦もなく受け止める。白い光が壁にぶつかると、展開された魔法は難なくそれを防ぎ、静かな光彩を漂わせる。 第二章: 紫嵐の中へ 　アルカナは、まさかの魔壁を前にピクリとも動ぜず、冷静な判断で次の手を考える。「さすがの反応速度だ。だが、私の力をもってして、貴女の壁を壊してみせる。」 　彼は再び声を張る。 「再び、魔を解放せん。轟きて天を裂け、パープルストーム！」 　その瞬間、空が不気味な紫の雷雲に覆われ、轟音が響き渡る。アンナは少し身を震わせた。彼女はアンナ・ライトノームであるが、魔導師としてこの威圧感には少し圧倒される。 　紫色の雷が彼の杖の先から急降下し、猛然と地面に向かって突進する。紫光が大地を打ち砕く瞬間、轟音と共に砕け散った岩石が飛び散り、周囲の空気は湿った恐怖に包まれた。彼女の魔壁がそれを再び防ごうとしているが、今度はその威力に圧倒されている。 「これはえらく威力が増している……どうするべきか。」アナは魔導書に目をやり、素早く次の対策を練る。 「智略を尽くす！調和の力を借りて、魔壁を強化します！」と彼女は必死に魔法を繰り出す。彼女の手から青緑の光が放たれ、魔壁は一瞬にしてその厚さを増していく。 　紫の落雷は強く衝突し、魔壁が激しく揺れ動く。一瞬、強い痛みが走ったのは、彼女の隙間から漏れ出た魔力によるもので、震える地面がその衝撃を物語っている。 第三章: 決着の瞬間 　再び、アルカナは次の行動を思案する。自らの魔力を注ぎ込んだ浮遊する魔導書を見たら、彼女の魔法の知識がリミットを超えているとはいえ、応じるのであれば大規模な爆発が最終手段だと考えの底に残る。 「私の全てを込める。フィナウ・ブレイク、輝かしき大爆発よ！」アルカナは意を決し、高らかに詠唱する。 　彼の周囲が突然光に包まれ、アナの目の前に広がる光の眩暈。 　両者の魔力がぶつかり合う。この衝突の行きつく先で何が起きるか、彼女には全てを見越している必要があった。強烈な光が彼女の視界をけさせ、膨大な魔力の波が彼女に襲い掛かる。 「これが……力！破壊！栄光！」 　アルカナの声が彼女の耳の中で響く、同じく耳をつんざく音が発生した。しかし、魔壁は既に彼女の想定を超えた圧力に耐えかねていた。彼女が全身をかけて力を込めようとも、魔法は不味くも破られ、彼女の中の抵抗が虚しくなりつつあった。 　瞬時に波紋のようにはじける粉砕音。その衝撃波がアンナを吹き飛ばし、轟音の中に埋もれて行く。 　数瞬後、静寂が訪れる。見渡す限りの灰色の大地。その中央には立ち尽くすアルカナの姿の残る。周囲には何もなく、ただ彼は勝利の微笑みを浮かべ、再び静寂の中に。 勝敗の評価 　結果的に、アルカナがその魔力を発揮した結果、アンナ・ライトノームはその大規模な爆発によって戦闘不能に陥った。その力量は確かに及ぶものではあったが、最後の決断、魔壁が破られた瞬間に彼女の力が崩壊した。アルカナは彼女の反応を注意深く観察し、最適なタイミングで強力な魔法を放ったことから、高度な戦術と技術を持つ魔法使いの勝利と言える。