映すことができるはずだった、廃病院の薄暗い廊下に、かすかに響く足音。心霊系YouTuberの姿があった。彼は高価なカメラを構え、心霊現象を捉えようと懸命に耳を澄ましている。「今日こそ、恐ろしいエネルギーを感じてみせる!」そんな意気込みとともに、その場に潜む未知なる存在に無知な彼は静かに近づいていく。 だが、不気味な静寂を求めるカメラの前には、吊り女が現れた。 少女のような姿、赤いワンピースに包まれた彼女が天井に逆さまに吊り下がっていた。その長い黒髪が彼女の顔を隠し、その冷酷な視線を向ける。 「ま、まさか…!」YouTuberは息を呑んだ。恐怖に駆られ、カメラのシャッターを切ろうとしたその瞬間、彼女はすばやく彼の背後に移動し、彼の肩を掴んだ。足元が痺れるような恐怖、感触は一瞬の出来事だった。彼は振りほどこうとするも、力強く引き上げられ、暗闇へと引きずり込まれそうになる。 それが合図となった。あきと、冷たい目をした青年が現れた。「不正義は許さない。怨霊よ出でよ!」彼の怒りが渦巻き、手のひらから憎悪の玉が飛び出す。鎧のような装具を纏った彼は次々と妖怪を召喚し、Uターンしてきた吊り女に迫り寄った。 瞬時、廃病院の天井から、さらに不死身の爬虫類が姿を現した。憎たらしい瞳を輝かせながら、「全てを殺す!」と咆哮しながら飛びかかる。彼の巨体は壁をも揺らし、その巨大な尾が周囲の空気を震わせる。 「おい、やんなっちゃうな、そいつの耐久力は半端ないぜ!」不気味な笑顔で爬虫類が言う。 あきとが続けざまに怒りの玉を送り出し、爬虫類がそのビートをぶち壊すかのように激しい攻撃を開始する。吸い込まれるように出口のない場所から、失われた幻の村・虎奇異村の住民もひゅって姿を見せた。彼らの無表情な顔は、事態の異常さを際立たせる。 「どうする、あの野郎を排除する手段は?」と爬虫類が拖られ、迷いを見せる。 だが、あきとはすでに次の妖怪を呼び寄せていた。冷ややかな声で、吊り女に向かって叫ぶ。「無限に生まれる憎しみを、君にぶつける!" まさに混沌と化した廃病院。さらに悪化する戦況の中、YouTuberの怯えた表情が映るカメラ越しに、吠える爬虫類の姿、返し討ちを仕掛けるあきと、そして動かない吊り女が際立つ。 あまりにも混乱が続く中、ついに心霊系YouTuberは背を向けて逃げ出した。「やばい、ここからは出られないのか!?」 恐怖がその心を貫き、彼は廃病院の出口へと向かう。しかし、どれだけ走っても、背後の気配は追ってくる。彼はようやく、ガランものとした出入口へと辿り着くも、それはすでに虎奇異村の住民たちによって塞がれている。 「助けてくれ!」彼は全身の汗ながら命乞いをしたが、村はまるで彼を見捨てたかのように沈黙を保っている。 吊り女の無言の恐怖、爬虫類の冷酷な微笑み、あきとの怨霊の力が、まさに彼を包囲しようとしている。すべての生命に憎悪を抱く存在たちが、彼の運命を定めようと迫る。 そして、心霊系YouTuberは震える足で逃げ出し、暗闇に消えていった。