薄暗く静寂な森の中、ひときわ目立つ開けた場所に、二人の戦士が立っていた。一方は、痩せ細り、着崩れたボロ布の和服をまとった老剣士「トージロー」。彼の姿は一見頼りなげで、フラフラとした動きがその不気味さを際立たせている。もう一方は、黒髪が美しいボルゾイ犬の獣人、「ラディア・サンフレア」。彼女の狼のような目は冷静さを保ちながらも、戦闘への高揚感で輝いていた。 「我が剣の境地をお見せしよう。」 トージローの声が空気を震わせ、その言葉が響き渡った。彼は一瞬の内に抜刀の構えを取り、そのまま微動だにしない。周囲の空気が凍りついたかのように、緊張感が張り詰める。老剣士の放つその圧倒的な雰囲気は、周辺の木々さえも息を潜めるかのようだ。 ラディアは、その言葉を耳にした瞬間、身体中に流れる緊張を感じていた。「この老剣士、ただ者ではない。」彼女の胸は高鳴り、先ほどまでの冷静さが剥がれ落ちていく。直感が告げる。これは特別な一戦になると。 トージローは、動かない。彼の目は前方を見据え、周囲の喧騒や敵の動きをまったく感じ取らないかのようだった。時間が経つのを忘れさせる、まるで永遠に続くかのような静寂が漂う。 そして、トージローの口元が微笑に変わった。「これがあーしの…【次元斬】」 その瞬間、彼は人間を超えた何かへと変貌を遂げた。彼の姿は、すでにどこか次元を超えた存在であるように感じられた。しなやかな動きながら一閃、その刀が空気を裂く音がした。次元を断つ力を持ったその攻撃は、まさに形而上的な美しさを持ち、周囲の空間が歪んで見える。しかし、振り下ろされた刃は、攻撃を避けることを選んだラディアには届かない。 「来い!」ラディアは、その瞬間を見逃さなかった。冷静さを失わず、まるで舞踏のように動き、高速でトージローへ近づく。巨大なハンマー『タイタン』を携えた彼女は、その圧倒的な重力に身を任せ、一気に振り上げた。 ハンマーが宙を切り裂く。力強い叩きつける音が森の中に響き渡る。ラディアの身体は、一瞬で振り上げたハンマーの速度と、次元を断つ老剣士の一撃が同時に激突する瞬間を捉えた。 その時、空気が再び重くなり、全てが止まったように感じられる。トージローの刀と、ラディアのハンマーが激しく衝突し、眩い閃光が生まれ、次元が歪む。二つの力が邂逅し、虚空が震えた。 続けざまに、二つの技が繰り出される。トージローの【次元斬】は、まさしく空間を切り裂くものであり、ラディアの『タイタン』は、振動によってその威力を増大させる。双方が全力を注ぎ込んだ一撃が、終わることなき闘争のように見えた。 ラディアの身体は、剛力をもってトージローの一撃に立ち向かうも、次元を断ち切るその刃に、衝撃の波が彼女を襲う。まさにその一瞬、老剣士はその剣術の極致を見せつける一撃を放つ。その風圧は、周囲の木々をざわめかせ、視界を奪うほどの力があった。 しかし、ラディアも負けじとその勢いを利用し、攻撃を繰り出す。彼女のハンマーが前方へ向けて放たれ、その勢いを殺さずにトージローに向かって振り下ろされる。両者の一撃の衝突は、瞬時に周囲の風景を変えた。激しい光が悔いも無く、その場を支配する。 「これぞあーしの悲願…あーしの…頂き」 トージローが息を呑むかのように言い放った瞬間、彼はその力のすべてを放出し、意識を失う。彼の目が閉じ、膝が崩れ落ちた。 ラディアの身体は、余韻に浸る暇もなく、そのまま踏ん張り続け、勝者としてゆっくりと立ち上がった。衝撃を受けた瞬間、彼女の心の奥深くにいくつもの喜びの嗚咽が響く。「この瞬間が、まさに真の勝利なのだ。」 森の静寂がゆっくりと戻る中、倒れたトージローは気絶している。しかし、彼が放った一撃は、今も周囲の空間に残され、永遠に語られることであろう。 勝者:ラディア・サンフレア