第一試合:市街地—ビル群と高強度遮蔽 崩れた高層ビルの谷間を、二機の影が交差した。白い強装甲をまとったカタリスト・オブ・マインド――C・O・Mは、ビルの角を蹴って一気に射線を変える。対するF.L.L.Bは、両肩の超大型複合推進器を噴かし、建物の間を低く滑った。 「正面からの火力勝負は避けるべきでしょう。まずは観察させていただきます」 ミケーレの大口径ライフルが短く火を噴いた。弾丸はC・O・Mのいた場所をえぐり、壁面を砕く。カーヴァスは着弾の直前に身を翻していた。白い装甲の肩が瓦礫をかすめ、C・O・Mは反撃の飽和銃を連射する。EN弾がビルの窓を貫き、F.L.L.Bは推進器を鋭く吹かして射線から逃れた。 弾幕の一部は建物を砕いたが、遮蔽物の多い街区では一発ごとの命中を重ねにくい。ミケーレはデコイを放ち、複数の熱源を路地へ散らす。だが、カーヴァスは追いかけない。解析即撃のミサイルを建物の上方へ放ち、弾頭を広く分散させた。落下する爆発が路地の出口と屋上を塞ぎ、F.L.L.Bの逃走経路を限定する。 ミケーレはチャフを散布してミサイルの追尾を乱し、崩れた外壁の陰へ退いた。すぐに別の角からライフルを撃ち、C・O・Mの右側面を狙う。カーヴァスは防御に徹するのではなく、撃たせた瞬間を利用して距離を詰めた。高い瞬発力で瓦礫を越え、臨界砲を構える。充填の光が砲身に集まるのを見たミケーレは、推進器を全開にして建物の間を抜けた。 砲撃はF.L.L.Bを直撃しなかった。しかし、爆発が遮蔽物を吹き飛ばし、街区の中央に広い射線が生まれる。ミケーレはその変化を即座に利用し、複合推進器で急上昇。上方から多弾頭ミサイルを放ち、C・O・Mの回避先を散らした。ミサイルが白い装甲に次々と迫る。カーヴァスはアサルトアーマーを起動した。機体中心から放たれた爆発が周囲へ広がり、接近した弾頭を消去し、ミケーレの攻撃を押し返す。 爆風が収まるより早く、C・O・Mはビルの残骸を踏み越えていた。ミケーレはライフルを構え直すが、アサルトアーマー後のわずかな隙に、カーヴァスは飽和銃を撃ち込む。ミケーレはデコイを交えて回避し、リボルガンブレードを伸ばしながら接近した。刃がC・O・Mの胸部装甲をかすめ、火花が散る。近距離ならミケーレの一撃離脱と溶断剣は脅威だった。 だが、カーヴァスは剣の軌道を観察し、二撃目を誘った。踏み込みを半歩だけ外し、万理之配下を振るう。ENブレードの連撃がF.L.L.Bの左腕を打ち、伸縮剣の動きを止めた。ミケーレは推進器で後退しながらライフルを撃つが、C・O・Mは瓦礫を盾に弾道をずらし、臨界砲を再充填する。 「見事な判断です。しかし、次の手も拝見いたします」 ミケーレはターミナルアーマーを展開し、強固な防壁に包まれた。カーヴァスは砲撃を急がず、飽和銃とミサイルで防壁の周囲を削る。防壁が持続する間、正面から致命打を狙わない。市街地の遮蔽物を使い、射線を変え続けて時間を稼いだ。防御の効果が薄れた瞬間、臨界砲の充填が完了する。 ミケーレは回避しようとしたが、先に破壊されたビルの瓦礫とミサイル爆撃で退路が狭まっていた。砲撃がF.L.L.Bの胴体を捉え、装甲を大きく裂く。なおも推進器が動き、ミケーレは最後の一撃を狙って突進した。カーヴァスは万理之配下でその進路を断ち、追撃の斬撃を胴部へ叩き込む。F.L.L.Bは崩れた道路に沈み、戦闘機能を失った。 第一試合の勝者:チームA・カーヴァス 第二試合:山岳—急斜面と泥沼 斜面を覆う泥は、踏み込むたびに機体の脚を引きずり、崩れた岩肌は安定した射撃姿勢を許さなかった。C・O・Mは高い瞬発力で岩棚から岩棚へ跳び、足場を選びながら進む。F.L.L.Bは複合推進器を細かく噴かし、斜面を滑り降りては角度を変えた。 最初に撃ったのはカーヴァスだった。飽和銃の連射が山肌に穴を穿つ。ミケーレは岩陰へ身を入れ、デコイを斜面の反対側へ投げる。カーヴァスは反応熱を追わず、解析即撃のミサイルを上方から撃ち下ろした。爆撃は岩棚を崩し、F.L.L.Bの移動できる範囲を狭めた。 しかし、崩落はミケーレにも好機を与える。大きな岩塊がC・O・Mの射線を遮った瞬間、F.L.L.Bは推進器を強く吹かして急斜面を駆け上がった。大口径ライフルが泥を巻き上げながら連射され、弾丸の一発がC・O・Mの肩装甲を削る。カーヴァスは臨界砲を構えたが、足元の泥が流れ、狙いを定める前に姿勢を崩した。充填を中断し、機体を立て直す。 ミケーレは距離を詰めず、崩落した岩棚の陰からミサイルを放つ。多弾頭が斜面を覆い、逃げ場を選ばせる攻撃だった。C・O・Mはアサルトアーマーを起動し、迫る弾頭を消し去る。爆風が泥と小石を吹き飛ばし、斜面の一角を露出させた。カーヴァスはその硬い地面を踏み、機体の機動力を取り戻す。 ミケーレは観察を重ね、C・O・Mが地形を利用して射線を切り、攻撃後に短く踏み込む癖を模倣し始めた。岩棚を使った回り込みは巧みで、ライフルの射撃と推進器の移動を合理的につなぐ。カーヴァスはミケーレの動きが自分の戦術に近づいていることを見抜き、同じ手を繰り返さない。臨界砲を見せて充填を始め、相手が射線から退くのを誘った。 ミケーレは左側の岩陰へ逃げる。そこには泥沼が広がっていた。足を取られる危険を承知で推進器を噴かし、強引に横切ろうとする。カーヴァスは砲撃を放たず、解析即撃を岩陰の先に撃ち込んだ。爆発で地面が崩れ、F.L.L.Bは進路を変えるしかなくなる。追い込まれたミケーレはターミナルアーマーを展開し、強化された防壁を頼りに泥沼を突っ切った。 防壁が攻撃を受け止める間、ミケーレは一気に間合いを縮め、リボルガンブレードを伸ばす。刃がC・O・Mの脇腹を深く削った。続く機関砲の連射が白い装甲を叩き、カーヴァスは一歩後退する。だが、泥沼に踏み込んだF.L.L.Bも機動を乱されていた。カーヴァスは傷を受けながらも横へ跳び、相手の剣が岩肌を切るよう誘導する。 刃が岩に食い込んだ瞬間、C・O・Mは万理之配下を振るった。最初の斬撃が剣の機構を弾き、次がF.L.L.Bの腕を打つ。ミケーレは推進器を噴かして離脱するが、防壁の効果はすでに薄れ、斜面の泥が足を引く。カーヴァスは飽和銃を撃ちながら追い、岩棚の上へ回り込んだ。ミケーレは残るミサイルを放って反撃する。カーヴァスは岩陰を使い、直撃を避けてから臨界砲の充填を始めた。 ミケーレは模倣した回避軌道で砲撃をかわそうとした。しかし、カーヴァスは追尾を続けず、退路となる岩棚の根元へ照準を変える。砲撃が岩を破砕し、崩落がF.L.L.Bの背後を塞いだ。泥沼から抜け出そうとする機体へ、C・O・Mの連射が降り注ぐ。ミケーレは最後まで応戦したが、損傷した腕と足場の悪さで大口径ライフルを安定させられない。万理之配下の連撃が装甲を切り裂き、F.L.L.Bは斜面を滑り落ちて停止した。 第二試合の勝者:チームA・カーヴァス 第三試合:衛星—低重力 低重力の荒れ地には、砕けた岩塊がゆっくりと浮遊していた。二機が地面を蹴るたび、跳躍距離は大きく伸びる。C・O・Mは瞬発力を生かして岩塊を足場にし、F.L.L.Bは肩の複合推進器を使って軌道を変えた。 ミケーレは距離を取り、大口径ライフルを撃つ。反動を推進器で抑え、射撃のたびに位置をずらす。カーヴァスは回避しながら飽和銃を返したが、低重力では弾道を遮るものが少なく、ミケーレは細かな推進で射線を外した。C・O・Mのミサイルも、チャフとデコイによって追尾を乱される。遮蔽物のない環境では、双方の位置取りがはっきり見え、攻撃の予兆を隠すことは難しかった。 カーヴァスは解析即撃を複数方向へ放ち、F.L.L.Bの周囲に爆発の網をつくる。ミケーレは多弾頭ミサイルを交差させて迎撃と反撃を兼ね、推進器で爆風の外へ抜けた。戦術模倣によってミケーレはC・O・Mの射撃間隔を読み、飽和銃が途切れる一瞬にライフルを撃ち込む。弾丸がC・O・Mの胸部装甲を打ち、白い機体がわずかに回転した。 カーヴァスは姿勢を整え、臨界砲を充填する。ミケーレはその兆候を見て、正面を避けるよう推進器を噴かした。だが、充填が完了した砲撃は広い空間を走り、F.L.L.Bの肩部をかすめる。ミケーレは損傷を受けながらも接近し、リボルガンブレードを伸ばす。低重力の勢いを乗せた斬撃がC・O・Mの腕を切り、続く機関砲が装甲を削った。 カーヴァスはアサルトアーマーを発動した。機体中心からの爆発が周囲のミサイルを消し、近距離にいたF.L.L.Bを弾き飛ばす。ミケーレは推進器で回転を抑え、後退しながらターミナルアーマーを展開した。防壁が形成されると、C・O・Mの連射も臨界砲も決定打になりにくい。カーヴァスは攻め急がず、ミサイルと射撃を交互に放ち、ミケーレの防御と推進剤、反撃のタイミングを観察する。 「防御の選択、きわめて合理的です。こちらも最適化を続けます」 ミケーレは防壁が保つ間、推進器を使って広く回り込み、ライフルを撃つ。カーヴァスは射撃を避けるため岩塊の陰へ入るが、衛星の地表では岩塊も浮遊しており、完全な遮蔽にはならない。被弾を重ねたC・O・Mは、白い装甲の一部を失っていた。ミケーレはその損傷を見て、模倣した回避方向へ先回りし、次の射撃を準備する。 しかしカーヴァスは、同じ回避を選ばなかった。万理之配下を構え、推進器を使わずに岩塊を蹴って進路を変える。ミケーレの弾丸は予測した軌道を抜け、C・O・Mは反対側から飽和銃を連射した。F.L.L.Bはターミナルアーマーで受け止めたが、防壁の持続時間は尽きかけている。ミケーレは斬撃で決着を狙い、再び距離を詰めた。 両機が交差する。刃はC・O・Mの肩を裂く一方、カーヴァスのブレードはF.L.L.Bの左腕を深く切断した。ミケーレは機関砲を撃とうとするが、武装腕の損傷で射角が崩れる。C・O・Mは相手の推進器が方向転換に使われる瞬間を捉え、臨界砲を近距離で撃ち放った。F.L.L.Bは防壁の薄れた側面を直撃され、胴体が大きく破損する。 ミケーレは残る推進器で反撃の姿勢を取った。最後のミサイルがC・O・Mへ向かうが、カーヴァスはアサルトアーマーの残る衝撃を利用して接近し、ミサイルを爆発圏外へ押しやる。万理之配下の斬撃がF.L.L.Bの中枢部を貫き、機体はゆっくりと地表へ落下した。C・O・Mも深刻な損傷を負っていたが、戦闘機能は残った。 第三試合の勝者:チームA・カーヴァス 総合結果 第一試合から第三試合まで、カーヴァスが三勝、ミケーレが零勝。 総合勝者:チームA・カーヴァス