冒頭 重厚な石造りの円卓が置かれた地下会議室。そこは国家の最高機密が集う場所であり、外界から完全に遮断された静寂と緊張感に包まれていた。壁に掛けられた時計が刻む秒針の音だけが、出席者たちの意識を研ぎ澄ませる。 政府は、諜報部から提出された極めて異質な二つの個体、イハザおよび黒塗りの絵画についての報告を受け、その危険性を審議することを決定した。現時点では、彼らが国家にとっての致命的な脅威となるのか、あるいは管理可能なリソースとなるのかが不透明である。そのため、政府の枢軸を担う四人の卿が集められた。 内務卿は、治安の維持を至上命題とする感情豊かな女性である。彼女は市民の安全を願うあまり、未知の存在に対して強い不安と拒絶反応を示す傾向がある。対照的に分析卿は、科学と魔術の深淵に精通した冷静な男性だ。彼はあらゆる事象をデータと論理で解き明かそうとする客観性の塊である。軍務卿は、陸海空の全軍を指揮する荒々しい男性であり、力による制圧こそが唯一の正解であると信じて疑わない。そして穏健卿は、気さくな人柄で知られる女性で、いかなる異常個体であっても対話と共存による平和的な解決を模索する立場を取っていた。 「さて……。諜報部から届いたこの『化け物』たちの報告書について、結論を出しましょうか」 内務卿が震える手で、二つの厚いファイルを開いた。