第一試合:市街地—ビル群と高強度遮蔽 高層ビルが密集する市街地で、ショーケースとICARUSは互いに距離を取って対峙した。建物は射線を遮る一方、屋上や壁面はICARUSが速度を乗せて飛び抜けるための足場にもなる。だが、地上での活動能力を持たないICARUSにとって、低空で進路を頻繁に変える空間は、ただ速度を誇るだけでは抜けられない迷路でもあった。 オスカーはまずPGH-20を構える。超音速徹甲弾は、遠距離から装甲を貫くための選択だ。対するイカロスは飛翔を始め、建物の谷間を縫うように加速する。反射神経と知覚速度は、照準の動きや銃口の向きを読む助けになる。最初の徹甲弾が放たれると、ICARUSは軌道をわずかにずらして回避した。弾丸は背後のビル外壁を穿ち、破片が路上へ降り注ぐ。 オスカーはむやみに連射せず、弾数を意識して射線を組み直す。ショーケースの右肩に備えたショーウィンドウから弾倉を選び、次の攻撃に備えた。イカロスは遮蔽を利用した射撃を避けるため、建物の壁すれすれを高速で横切る。長い直線を取れば、速度は増す。しかし、それはオスカーに狙いを定める時間を与える。イカロスは短い飛行線を連ね、角を曲がるたびに急旋回した。関節推進機が機体姿勢を立て直すが、加速と旋回を繰り返すほど機体は熱と空気抵抗にさらされ、融解が進む。 オスカーはPSH-20へ切り替え、接近を待つ。亜音速の重量弾はPGH-20より弾速に劣るが、近距離での大口径弾として強力だ。イカロスは飛行速度を保ったまま、ビルの陰からショーケースの側面へ回り込む。オスカーはその突入に合わせて粘着榴弾を放った。ICARUSは直前で機体を傾け、直撃を免れる。弾は道路に付着し、爆発とともに周囲の瓦礫を跳ね上げた。 二人は一度、ビルを挟んで視線を切った。イカロスは遮蔽の向こうから一気に距離を詰め、翼のIC-855でショーケースを斬る機会をうかがう。攻撃手段は剣による辻斬りのみ。刃が届けば致命傷を与え得るが、接近時にはショーケースの銃口とミサイルの射程内へ入らねばならない。オスカーはその一点を見逃さず、マトリョーシカを発射した。 母弾はビルの間を進み、段階的に複数の小型ミサイルへ分裂する。イカロスは反応して上昇し、剣を振るう進路を捨てて回避へ移った。高い運動性能でいくつかの小型弾を振り切るが、ビルの壁と屋上が進路を狭める。ミサイルは遮蔽を回り込むように追い、ICARUSの翼端と推進部を捉えて爆発した。翼そのものは直ちに失われなかったが、飛行姿勢は崩れ、融解の進行で機体の損傷も重なる。 それでもイカロスは退かない。HAYATEを超過稼働させ、絶技《日天》を発動した。速度と融解速度がともに引き上げられ、ICARUSは短時間、弾幕を振り切る勢いで突進する。オスカーは距離を取るため後退するが、市街地の遮蔽は逃走路を限定する。イカロスはビルの角をかすめ、ついにショーケースの正面へ躍り出た。IC-855が大きく弧を描く。 しかし、突進で進路を変えにくくなった瞬間、オスカーはアサルトアーマーを起動した。ショーケースの中心から放たれた爆発が、周囲の敵弾を消し去り、接近したICARUSを広範囲に包む。刃が装甲へ届くより先に、爆発が翼と機体を打った。イカロスは《日天》の加速を保とうとするが、損傷した姿勢制御と融解が限界に達する。ICARUSは建物の壁へ叩きつけられ、飛行能力を失った。 ショーケースも無傷ではない。だが、オスカーは射撃とミサイルで接近を制限し、最後は接触距離で発動できる拡張機能を有効に使った。イカロスの速さは脅威だったものの、遮蔽の多い戦場では攻撃機会を作るための接近が必要で、その接近を許したことが決定打となった。 第一試合の勝者:チームA(オスカー) 第二試合:海上—遮蔽なし、強風 海面には身を隠すものがなく、強風が機体を横から押し続けていた。遠方まで見通せる条件はオスカーの射撃に好都合だが、風は弾道の読みを難しくし、海上での姿勢保持にも影響する。ICARUSにとっては、妨げとなる建物がなく、飛翔速度を生かして接近しやすい戦場だった。ただし、強風は高速飛行中の機体にかかる負荷を増し、飛ぶほど融解するという弱点も消えない。 開始と同時にオスカーはPGH-20を撃つ。超音速徹甲弾は一直線に海上を走り、イカロスはその軌道を見切って旋回した。射撃のたびに風向きと相手の進路を読み直さねばならず、オスカーは無駄撃ちを避けて間隔を置く。イカロスはその間を逃さず、低空で海面すれすれを飛んだ。水しぶきが後方へ長く伸び、ICARUSは風を受けながらも急速に距離を詰めていく。 オスカーはショーウィンドウから弾倉を選び、PSH-20に持ち替えた。近距離向けの重量弾と粘着榴弾は、接近してくる敵へ有効な選択だ。だが海上に遮蔽物はなく、イカロスは銃口の向きを読んで横へ急旋回する。最初の重量弾は機体を捉えず、海面を打って水柱を上げた。次の粘着榴弾も、強風に流されて狙いから外れ、遠くで爆発する。 ICARUSは直線飛行を交えながら、剣の届く距離へ入る。速度を最大限に生かした辻斬りは、命中すればショーケースを深く傷つける。オスカーは照準を追従させ、残る射撃機会を吟味する。イカロスが一度目の斬撃を繰り出すと、ショーケースは大きく身を引いた。IC-855は装甲をかすめ、金属片を散らす。オスカーはその退避に合わせ、マトリョーシカを発射した。 母弾が分裂しても、見通しのよい海上ではミサイルの動きが隠れない。イカロスは優れた知覚速度で進路を選び、ミサイル群の間を高速で抜けた。いくつかの弾が爆発に巻き込まれたが、大半は回避される。それでも回避のための急旋回は、ICARUSを海面近くで揺さぶり、機体へ負荷を蓄積させた。オスカーの弾数も無尽蔵ではない。複数の弾種を使い分けても、攻撃を続けるほど残弾は減っていく。 イカロスは一気に決めるため《日天》を発動した。HAYATEの超過稼働によって速度が上がり、ICARUSは強風を切り裂いて接近する。しかし融解速度も同時に増す。加速の代償で機体表面が焼け、部材が崩れ始める。それでも剣の間合いまでたどり着き、二度目の斬撃がショーケースを横切った。オスカーはターミナルアーマーを展開する。機体を追従する防壁が斬撃の威力を受け止め、その間だけショーケースの防御性能を飛躍的に高めた。剣先は装甲を深く断つ前に押し返され、イカロスの進路がわずかに逸れる。 その一瞬、オスカーは温存していたPSH-20の重量弾を至近距離で撃ち込んだ。弾丸はICARUSの機体を打ち、すでに融解と風圧で傷んでいた姿勢制御をさらに損なう。イカロスは立て直そうと推進機を連動させるが、《日天》で増した速度は今や制御の助けより負担となった。オスカーは残弾を確認し、射撃を重ねずに回避へ転じる。ICARUSは最後の接近を試みるものの、刃を振るう位置へ戻る前に飛行姿勢を崩し、海面へ墜落した。 遮蔽物がないため、ミサイルは決定打にはならなかった。だが、イカロスの攻撃もまた、剣を届かせるための突入を繰り返す必要があった。ターミナルアーマーがその決定的な斬撃を一度しのぎ、融解の進むICARUSへ反撃する時間を作った。強風と高速の負荷も、最後には翼型機の弱点として現れた。 第二試合の勝者:チームA(オスカー) 第三試合:山岳—急斜面と泥沼 急斜面が連なる山岳地帯には、稜線の向こうに死角があり、谷底には泥沼が広がっていた。ショーケースは足場を選びながら移動できるが、斜面と泥は射撃姿勢を乱す。地上活動能力のないICARUSは地面に降りられず、飛行を保つ以外に選択肢がない。空を自由に使える利点はあるものの、山肌と稜線が見通しを断ち、融解し続ける機体に休息の場はない。 オスカーは尾根の陰からPGH-20を構え、相手が姿を見せる瞬間を待つ。イカロスは山肌に沿って飛び、稜線を越えるたびに位置を変えた。遮蔽があるため、オスカーは遠距離から狙い続けられない。徹甲弾を撃てる機会は限られ、ICARUSもまた、山肌に近すぎれば進路を制限され、離れすぎれば接近に時間がかかる。 最初の交錯では、イカロスが斜面の裏から急上昇し、ショーケースの頭上を抜けた。オスカーは反応して銃口を向けるが、ICARUSは剣を振る距離へ入らず、旋回して次の進路を探る。切断を成立させるには接近が必要であり、その間、ショーケースの銃とミサイルは脅威となる。イカロスは高機動を生かして攻撃機会をうかがい、オスカーは遮蔽を背にしながら射撃機会を待つ。 ショーケースは山腹へ位置を移すが、泥濘に脚を取られ、機体の移動が鈍った。イカロスはその瞬間を狙って低空から突進する。オスカーはPSH-20の粘着榴弾を撃つが、相手は急上昇して回避した。榴弾は斜面に付着して爆発し、泥と石を吹き上げる。その土砂が視界を塞ぐ間、イカロスは回り込んでIC-855を振り下ろす。ショーケースは身をひねり、刃は肩部を切り裂くにとどまったが、確かな損傷を与えた。 オスカーは距離を取り、ショーウィンドウから弾倉を交換する。マトリョーシカは稜線の向こうへ放たれ、母弾が頂を越えたところで段階的に分裂した。小型ミサイルは山肌に沿って散開し、遮蔽の裏へ逃げるICARUSを追う。イカロスは反応速度と姿勢制御で次々と進路を変え、爆発を避ける。しかし急旋回のたび、融解した部材が飛び散り、機体の負担は蓄積する。山岳の入り組んだ地形はミサイルの追尾を妨げる一方、ICARUSの飛行路も狭めていた。 イカロスは機体の損耗を承知で《日天》を使い、速度を上げて一気にショーケースへ向かった。稜線を飛び越える勢いのまま、剣を交差させるように斬り込む。オスカーはターミナルアーマーを起動し、追従する防壁で切断を受け止めた。剣の衝撃でショーケースは後退し、泥沼の縁へ滑る。防壁は攻撃をしのぐが、イカロスは接近をやめない。二撃目を狙うため、強引に姿勢を変えた。 その機動で《日天》の代償が一気に表面化した。融解が加速した機体は、推進機の出力を受け止めきれず、翼の姿勢が崩れる。オスカーは斜面を滑りながらも照準を合わせ、PGH-20を撃った。超音速徹甲弾はICARUSの胴体部を貫き、飛行の制御を断つ。イカロスはなお剣を振ろうとしたが、機体は斜面を越えられず、泥沼へ墜落した。オスカーは追撃の弾を浪費せず、敵機が動きを止めたことを確認する。 この試合では、ICARUSは接近を成功させ、ショーケースへ実際に損傷を与えた。だが、地形の死角と泥濘は両者に影響し、空中活動しかできないICARUSには飛行を崩した後の立て直しが難しかった。ミサイルと射撃は回避された場面も多かったものの、回避のための負荷を重ねた末、《日天》による速度と融解の加速が自らの飛行能力を失わせた。 第三試合の勝者:チームA(オスカー) 総合結果 チームAが三試合すべてで勝利した。 総合勝者:チームA(オスカー)