第一試合:市街地—ビル群と高強度遮蔽 崩れかけた高層ビルが並ぶ市街地に、二機の影が降り立った。ネラのParadoxerは、巨大な白傘を閉じたまま右腕に構える。向かい合うAtlasの3S.Cometは、両翼をわずかに開き、自律子機三機を前後左右へ散らした。建物の角や道路の陥没が遮蔽となり、互いの姿は数秒ごとに見失われる。遠距離から一方的に決着をつけるには、どちらにも簡単な戦場ではない。 最初に動いたのはAtlasだった。γの予測を反映した鋭い加速でビルの壁面を蹴り、銃形態のTST357を撃つ。子機の銃も別角度から射線を作り、ネラの退路を狭めた。しかし、ネラは遮蔽を盾にして逃げるのではなく、傘を開いて弾線に差し込む。高強度の傘面が弾を受け流し、背面の啓蒙が相殺式パルス防壁を重ねる。継続の装甲も銃撃による損傷を抑えた。ネラは敵の攻撃が途切れる瞬間を見定め、ビルの間を自在に移動する。 Atlasは即座に戦法を変えた。βが子機を盾形態で密集させ、3S.Cometの正面を守る。αは剣形態のTST357を持ち、子機の銃撃を隠れ蓑に距離を詰めた。ネラは傘を閉じ、横から振り込まれた斬撃を柄と傘骨で受ける。機体の装甲は斬撃にも強いが、正面から押し合えば、複数の子機と本機の連携が脅威となる。ネラは長く耐え続けるのではなく、姿勢を崩さぬ脚部機動で一度距離を取り、建物の柱を挟んで攻撃の角度を切った。 傘は巨大で頑丈だが、操作速度と取り回しに難がある。Atlasはそこを見抜き、左右の子機に別々の角度から攻めさせた。盾の子機が傘を押さえ、剣の子機が脇を狙う。ネラは傘を開いて防御を広げるが、その間、攻めの切り替えは遅れる。3S.Cometの翼が一気に加速し、銃形態のTST357が傘の縁を回り込む射線を得た。啓蒙の防壁は銃撃を相殺し、継続の装甲も損傷を抑えたものの、同じ箇所に攻撃を集中されれば無傷ではいられない。 ネラは戦況を静観し、相手の連携が一瞬だけ密集するタイミングを待った。子機三機と3S.Cometが、ビルの狭い交差点へ追い込むように連動した瞬間、ネラはコア拡張・頂瞰を作動させる。機体中心から多段アサルトアーマーが広がり、EMPを伴う衝撃が交差点を包んだ。近距離にいた子機は防御姿勢を取り、3S.Cometも翼で急旋回して爆心から離れようとする。だが、狭い市街地では建物が回避の軌道を制限し、衝撃を完全には避けられない。機体中心の爆発は周囲の弾を消し、子機の連携を一時的に崩した。 ただし、頂瞰の一撃で決着がつくわけではない。Atlasは持久力と集中力を保ち、子機を再編成して銃撃を再開する。ネラのアサルトアーマーには有限の発動機会があり、連続して頼ることはできない。対するAtlasも、銃撃を無制限に続けられるわけではなく、遮蔽を挟むたびに命中機会を失っていく。ネラは防壁と傘を併用して被弾を抑えながら、子機が再び傘の死角へ回ろうとする動きを読む。 今度は傘を閉じた状態で、盾の子機が進路を塞ぐ直前に傘を横へ振った。大きな武装ゆえに初動は遅いが、敵の進路を先読みした一撃は、盾の子機を弾き飛ばし、剣の子機の踏み込みも止めた。ネラはその隙にビルの影を抜け、3S.Cometの側面を取る。Atlasはγの予測回避で旋回したが、ネラの脚部は地形に即応し、崩れた路面でも姿勢を乱さず追随する。傘の縁が翼の一方を打ち、機動力が落ちた。 Atlasは最後まで銃と剣を切り替えて反撃し、ネラの装甲にも損傷を与える。しかし、子機の一部が先のEMPとアサルトアーマーで連携を乱された状態から立て直す間に、ネラは防御を崩さなかった。啓蒙が残存する弾を相殺し、継続の耐性が近接の打撃を受け止める。最後の接近では、ネラが開いた傘を盾として機体を包み、Atlasの剣撃を受け流した後、傘の柄で3S.Cometの胴部を打ち据えた。機体は動力を維持できず、戦闘不能となる。 第一試合の勝者:チームA(水雲 ネラ) 第二試合:衛星—低重力 灰色の衛星表面には、浅いクレーターと岩塊が点在していた。低重力は両機の跳躍を大きくする一方、姿勢を誤れば着地後の立て直しに時間がかかる。遮蔽物は市街地ほど多くない。Atlasの翼は加速と機動に優れ、子機も三方向へ展開できる。ネラの脚部は地形適応と姿勢安定に秀でるものの、巨大傘の取り回しの難しさは消えない。互いに相手の強みを簡単には封じられない戦場だった。 開戦と同時にAtlasは上昇し、銃形態のTST357と子機の射撃で広い角度を作った。低重力の跳躍を利用し、岩塊の背後へ回り込む。ネラは傘を開き、啓蒙の防壁を射線へ向けながらクレーターの縁を移動する。弾丸は傘に弾かれ、パルス防壁に相殺されるが、四方からの射撃は無視できない。防壁は長期継続できるとはいえ、攻撃をすべて無効にするわけではない。ネラは岩塊を一つずつ利用し、射線を切る。 Atlasは遮蔽物の少なさを活かし、無理に一気に突入せず、子機に射撃と防御を交互に担当させた。αが剣を構えて接近する間、βの子機が盾を作り、γの予測が回避軌道を補う。ネラは傘を閉じ、剣撃を受け止める。だが低重力では押し合いで生じた力が機体を浮かせ、二機とも地面から離れた。Atlasは翼を使って姿勢を調整し、ネラは脚部の随時安定化で傘を地面に引っ掛け、回転を抑える。地形に頼れるネラと空中制御に優れるAtlasが、別々の方法で不安定さを処理していた。 ネラは浮いた状態で傘を開き、盾のように広げてAtlasの追撃を防ぐ。しかし大きな傘は空中での向き直りに時間がかかる。Atlasはそこを狙い、子機を上下に分けて一斉射撃した。ネラの装甲は熱や爆発を含む攻撃にも強いが、弾数と防壁の相殺には限度がある。傘の縁に損傷が重なり、ネラは防御姿勢から反撃へ切り替える機会を探す。 Atlasが剣形態で踏み込んだ瞬間、ネラは地表へ落下する軌道を選んだ。脚部が着地を受け止め、姿勢を安定させる。Atlasはそのまま追撃するが、クレーターの縁を使って角度を変えたネラの動きにより、剣先は傘の外側をかすめた。ネラは頂瞰を発動する。多段のアサルトアーマーとEMPが機体中心から広がり、近距離の3S.Cometと子機を巻き込む。低重力では衝撃を受けた機体が大きく押し流され、三機の子機は陣形を保てず散った。 Atlasは瞬発力で爆心から逃れようとしたが、直前まで近接戦を続けていたため完全な離脱は間に合わなかった。防御特化のβは子機を集めて3S.Cometを庇わせるものの、爆発は機体中心から広範囲へ及び、EMPも加わる。子機のうち二機は機能を大きく損ない、残る一機も盾としての連携を失った。ネラにも反動とエネルギー消費があり、これを何度も繰り返す余地はない。Atlasは損傷したまま体勢を立て直し、銃形態へ変えて応射した。 二機は岩塊の間を移動しながら、残弾を意識して撃ち合う。Atlasは残った子機と連携し、ネラの傘が開き切る前を狙う。ネラは弾を無駄に追わず、傘の角度で受ける弾と避ける弾を選別した。継続の装甲が損傷を抑え、啓蒙が射撃の一部を相殺する一方、Atlasは翼の推力で射線を変え、反撃をかわす。長期戦になればAtlasの持久力と集中が有利に働く可能性はあった。 しかし、先の爆発で子機の連携が崩れたことが、再編成後も決定的な差として残る。Atlasは本機と残存子機で包囲を試みるが、ネラは傘を閉じて前へ出た。傘は重く、振り回す速度に難がある。それでも敵の進路を限定するように構えれば、巨大な武装そのものが障害となる。Atlasは翼で上昇して避けようとするが、ネラは傘を開き、最後の射撃を防ぎながら頂瞰の残る出力を集中させた短い多段爆発を浴びせる。損傷した3S.Cometは推力を維持できず、地表へ沈み込んだ。 第二試合の勝者:チームA(水雲 ネラ) 第三試合:海上—遮蔽物なし、強風 荒れた海の上には遮蔽物がなく、強風が機体の姿勢と射撃の精度を乱していた。低い波頭が絶えず視界を遮るが、ビルや岩のように身を隠せるものはない。ネラの脚部は地形に応じて姿勢を保てるものの、足場そのものが揺れる。Atlasは翼による加速と機動を得意とし、空中から攻められるが、強風はその軌道にも影響する。これまでの戦いで互いの攻防を知った二人は、先の試合の結果にかかわらず、新たな戦場の条件だけを見て構えた。 Atlasは高く飛び、子機三機を広く散開させた。遮蔽物のない海上では、銃撃の射線を遮るものがない。銃形態のTST357が正面から撃ち、子機が左右から弾を送り込む。ネラは傘を開き、啓蒙の防壁と組み合わせて弾を受ける。強風で飛翔体の軌道は乱れるが、三方向からの攻撃は数でそれを補う。ネラは装甲の耐性を頼みに踏みとどまり、波の傾きに合わせて脚部の姿勢を調整する。 AtlasのAIは射撃を続けながら、βの子機を盾に、αの子機を接近役に分けた。γは強風下で変動する軌道を補正する。ネラは傘の広さで前方の攻撃を止められるが、全周を覆うことはできない。傘の取り回しの難しさも、左右からの攻撃に対する切り替えを遅らせる。ネラは防壁を長く維持しながら受け続けるのではなく、風向きと敵の位置を読み、攻撃が重なる瞬間を避けて移動する。 傘の縁をかすめる銃撃が続き、ネラは機体の一部に損傷を負った。対してAtlasも、ネラの防壁で相殺される弾と、強風で外れる射撃により、弾薬を消費する。ネラは傘を閉じ、海面すれすれに姿勢を落として射線を狭めた。波が視界を遮る一瞬に接近し、傘の柄を突き出す。Atlasは翼を急旋回させてかわし、剣形態のTST357で反撃する。ネラは閉傘状態の骨組みで斬撃を受け止め、装甲の耐性で押し返す。波しぶきの中、二機の距離は一気に縮まった。 Atlasはこの接近を利用し、子機を防御位置へ集めて機体を囲む。銃と盾の連携でネラの傘を押さえ、剣で攻める構えだ。ネラは傘を開いて包囲の一角を塞ぐが、その動作は素早くない。Atlasは開き切る前に側面へ回る。そこでネラは頂瞰を起動した。機体中心から広がる多段アサルトアーマーは、近距離にいた子機と3S.Cometを一斉に襲う。敵弾を消し、EMPを伴う爆発が周囲を包む。海上に遮蔽物がないため、衝撃の影響をそらす場所もない。 子機は高耐久であっても、広範囲の致命的損傷を与える爆発を無傷で受けきれない。盾役の子機が大きく損傷し、銃役も機能を失う。3S.Cometは翼で離脱を試みるが、強風と至近距離の爆発により姿勢を崩した。それでもAtlasは機体を立て直し、残された剣と翼でネラに迫る。ネラもアサルトアーマーの発動後は余力を使い切れず、防御と反撃を繰り返すしかない。 ここからはAtlasの個人操縦技術と持久力が力を発揮する。子機の数的優位は失われたが、3S.Cometの瞬発力と翼の加速は残っている。Atlasは強風の流れを見て、風に逆らわずに斜めへ抜け、ネラの傘が向き直る前に剣撃を重ねた。ネラは継続の装甲で打撃を受け止め、傘を盾にして致命打を防ぐ。しかし、複数方向から連続して攻められると、防壁が相殺しきれない攻撃も生じる。装甲に損傷が積み重なり、傘の可変機構も動きが鈍くなった。 ネラは最後の反撃として傘を開き、機体を守りながら海面へ向けて突進する。だが、Atlasは真正面から受けず、翼で横へ逃れてから低空を走るように回り込んだ。ネラは地形に即応する脚部で姿勢を保つが、波に足を取られ、傘の大きさも風を受けて機体を揺らす。Atlasの剣が傘の支点を打ち、銃撃が損傷した側面へ続いた。ネラはなお戦闘を続けようとするものの、機体の姿勢制御と攻撃機能が同時に限界へ達する。3S.Cometの最後の斬撃でParadoxerは停止した。 第三試合の勝者:チームB(Atlas) 総合結果 第一試合と第二試合はチームA、第三試合はチームBの勝利。勝利数により、総合勝者:チームA(水雲 ネラ)