第1試合:市街地—ビルと高強度遮蔽 高層ビルが密集する市街地。道路は狭く、壁や橋脚は厚いコンクリートで固められていた。両機の姿が見えなくなるほど遮蔽物は多いが、空を塞ぐものはない。戦場の選択によって勝敗が自動で決まるわけではない。遮蔽を利用するバスター・ハスターにも、上空へ抜けて射線を作れるレッドインパルスにも、地形を活かす余地があった。 バスター・ハスターは盾を前に構え、破城槌を握った。装軌式の重い機体は路面を踏み砕きながら進む。四基の大型ロケットと六基の補助ロケットは、巨体を押し出す力を持つ。正面からの衝撃に強く、異常事態に動じにくい。だが、その機動性は攻城兵器としての頑丈さと引き換えだった。対するレッドインパルスは、可変機構で人型と戦闘機形態を切り替え、二挺のR-20と両肩の誘導ミサイルを装備する。弾数に限りはあるが、距離と角度を選ぶ力で優る。機内のECMはレーダー誘導を妨害・欺瞞し、継続戦闘を支える高出力ENコアがある。 ジェスターは開始直後に戦闘機形態へ移行し、ビルの屋上すれすれを抜けた。バスター・ハスターは、見失った相手を追うためにロケットを吹かす。急な方向転換には重い機体が遅れ、噴射で巻き上がった砂塵と瓦礫が視界を覆った。レッドインパルスは建物の谷間へ飛び込み、追撃を誘うように一瞬だけ姿を見せる。 バスター・ハスターは盾を広げた。市街地の直線道路を正面から進めば、遮蔽物を盾代わりにしながら接近できる。レッドインパルスのR-20が火を噴き、盾の表面と路面を連続して叩いた。弾は装甲を削り、窓を砕くが、盾の正面を一撃で貫くほどではない。バスター・ハスターは被弾をこらえ、路肩の車両と建物の角を利用して距離を詰める。レッドインパルスも無限に弾を撃てるわけではなく、ジェスターは連射を短く切り、盾の縁と脚部の露出を狙った。 バスター・ハスターは、誘導弾の脅威を避けるために高い建物の陰へ回り込んだ。レッドインパルスの肩から放たれたORZミサイルは、ビルの間を追尾して旋回する。バスター・ハスターの盾は広がり、機体の上半身を覆った。ミサイルの一発は盾へ衝突して爆発し、もう一発は建物の角に誘導されて炸裂する。厚い遮蔽物が爆風を削り、盾が直撃を受け止めたことで、バスター・ハスターは致命傷を免れた。しかし、装備の状態と弾数は双方とも有限だ。レッドインパルスはむやみにミサイルを重ねず、ECMで敵の探知と誘導を乱してから、射線を変えた。 バスター・ハスターは推進装置を使い、盾を前へ突き出して大通りを一気に横切る。機体の推力と重量は、直線上なら危険な突進力になる。レッドインパルスは人型形態に変わり、迎撃向きの姿勢からR-20を浴びせた。弾丸が装甲を叩き、ロケット基部の外装を裂く。バスター・ハスターは衝撃に耐えてなお進むが、突進の勢いを保ったまま狭い交差点へ入った。そこでジェスターは、機体排熱による空気層を利用して軌道をずらし、ビルの壁を蹴るように急旋回する。重い装軌機体は同じ角度で追い切れず、盾の向きがわずかに遅れた。 その隙にレッドインパルスは上昇し、肩のミサイルを残弾に合わせて放つ。ECMが誘導を補助する敵側の捕捉を乱し、ミサイルは盾の正面ではなく、推進装置の側面へ回り込む。バスター・ハスターは盾を縮めて旋回しようとしたが、損傷したロケットの推力差が機体の姿勢を崩した。ミサイルの爆発が背部を包み、さらにR-20の射撃が脚部の駆動系へ集中する。 バスター・ハスターは最後の力で破城槌を振り上げた。レッドインパルスは接近を許さず、戦闘機形態へ戻って高度を取り、射線を維持する。破城槌は何もない空間を打ち、バスター・ハスターの機体は姿勢を立て直せず、路上へ膝をついた。レッドインパルスは弾を撃ち尽くす前に射撃を止め、戦闘継続が不可能になった相手を確認する。 第1試合の勝者:レッドインパルス 第2試合:山岳—急斜面と泥沼 急斜面の山肌には雨水が流れ、谷底には深い泥沼が広がっていた。平坦な道を確保することは難しく、斜面の一部は崩れやすい。山岳は、頑丈な装軌機体に有利な足場だけを与える場所ではない。重量を支える地面が崩れれば、装軌機体の動きはかえって制限される。一方、空中機も地形に近づきすぎれば泥や岩を巻き込み、低空での飛行経路を狭められる。 試合開始と同時に、バスター・ハスターは斜面の上方を取ろうとした。背部のロケットを使えば、装軌機体でも段差を越え、短時間なら重さを押し上げられる。盾を前に構え、破城槌を横に引いたまま、機体は斜面を登り始めた。レッドインパルスは戦闘機形態で高度を保ち、左右の稜線をなぞるように飛ぶ。高誘導ミサイルは山の陰で追尾経路を制限されるが、ECMと精密操縦によって、相手の位置を探る手段は残っていた。 ジェスターは初手からミサイルを撃たない。相手の盾と岩場が誘導弾を遮りやすいと判断し、R-20で露出したロケットや関節部を狙う。バスター・ハスターは盾を傾け、斜面の岩を遮蔽に使いながら進んだ。連射は装甲と岩を砕くものの、山肌の隆起が射線を断ち、弾のすべてを目標へ通すことはできない。バスター・ハスターはその間にも少しずつ距離を縮め、ロケットで跳ね上がって岩棚を越えた。 空中戦に熟達したレッドインパルスは、低空を保ちながら形態を切り替えた。人型形態に移ると攻撃速度と迎撃能力を活かし、斜面を横切る敵の推進部へ射撃する。だが、バスター・ハスターの装甲は攻城用に厚く、わずかな被弾で即座に止まる機体ではない。弾が外殻を削り、ロケットのいくつかに損傷を与えても、相手は前進を続ける。ジェスターは深追いを避けて上方へ抜け、再び機動力に優れる戦闘機形態へ移った。 バスター・ハスターは谷底の泥沼を迂回せず、ロケット噴射で飛び越えようとする。重い機体を持ち上げる推進力は大きい。しかし泥の上には足場がなく、着地地点も傾斜している。レッドインパルスは、飛び上がる瞬間にORZミサイルを放った。ミサイルは岩陰を避けて追尾するが、山肌の起伏と妨害の影響を受け、直線的な命中には至らない。バスター・ハスターは盾を広げ、一発を受け流し、もう一発を斜面へ誘導して爆発させた。 爆風で泥が跳ね、着地直前のバスター・ハスターの機体が横へ流れた。装軌部が泥に沈み、盾を支えた腕にも負荷がかかる。機体は異常に耐える設計だが、足場の悪さそのものを無効にはできない。それでも搭乗者は前進を選び、補助ロケットを噴かして泥から抜け出そうとした。噴射で機体は押し出されたが、左右の推力差と斜面の傾きが重なり、姿勢が崩れる。 レッドインパルスは旋回しながらR-20を断続的に撃つ。狙いは装甲の正面ではなく、損傷した背部のロケット基部と、泥から抜けようとする装軌部だった。弾数を節約しながら弱点へ通す射撃は、バスター・ハスターに盾を上げさせ、前進を止めさせる。バスター・ハスターも盾を斜めに構えて反撃の機会をうかがう。斜面の狭い射線へレッドインパルスを誘い込めば、破城槌の一撃が届く可能性はある。実際、バスター・ハスターはロケットを噴射して上へ飛び、レッドインパルスの飛行経路を塞ぐように突っ込んだ。 ジェスターは正面からぶつからない。狭小空間でも機動力を維持する支援AIの補助を受け、斜面の岩壁すれすれで急上昇し、相手の突進をかわした。バスター・ハスターは空中で方向を変えきれず、岩棚へ衝突する。盾が機体を守ったが、破城槌を持つ腕と背部の推進装置に大きな衝撃が走った。崩れた岩が下へ落ち、装軌部の一部を塞ぐ。 レッドインパルスは追撃のミサイルを使い切ろうとはせず、残弾のうち一発を近距離から撃つ。ECMで誘導を乱されても、この距離と角度では逃げ道が少ない。ミサイルは盾の外側をかすめ、損傷した推進装置へ命中した。爆発でロケットが止まり、バスター・ハスターは斜面に固定される。最後に破城槌を振ろうとするが、傾いた機体は腕を十分に動かせず、泥と岩に押さえ込まれた。レッドインパルスは安全距離を維持して射撃を止め、相手の戦闘不能を確認した。 第2試合の勝者:レッドインパルス 第3試合:衛星—低重力 大気の薄い衛星地表には、大小のクレーターと露出した岩盤が連なっていた。低重力は重量級のバスター・ハスターにとって単純な恩恵ではない。跳躍やロケット噴射の到達距離は伸びる一方、推進を止めても慣性で進み続け、向きを変えるには時間と燃料を要する。レッドインパルスもまた、空気層を利用した飛行効率向上を地上の空気中と同じようには得られない。ここでは機体の推力と精密な姿勢制御が重要になる。 バスター・ハスターは盾を前にし、岩場を一つずつ踏み越える。地面との摩擦が小さく、装軌式の足回りは通常の地上ほど機体を素早く止められない。破城槌の一撃には十分な重さと衝撃力があるが、近づく前に狙いを定められるかが課題だった。レッドインパルスは戦闘機形態で岩棚の上を移動し、進路を変えるたびに小さく推力を調整する。大気による揚力に頼らず、機体本来の推進と可変機構で姿勢を保った。 ジェスターはまずR-20の短い射撃で相手を探る。弾丸は低重力下でも高速で飛ぶが、距離があるほど命中には精密な予測が要る。バスター・ハスターは盾を上げ、岩の陰へ体を寄せる。装甲に弾痕は増えるものの、盾と岩が射線を遮り、決定打にはならない。レッドインパルスは弾を浪費せず、相手に盾を動かさせて背部の推進器が露出する瞬間を待った。 バスター・ハスターは長距離の攻防を続けず、四基の大型ロケットを使って跳躍する。低重力が推進の効果を伸ばし、巨体はクレーターの縁を越えてレッドインパルスへ迫った。補助ロケットで姿勢を変え、盾の幅を広げながら破城槌を振りかぶる。地表に近い位置で待ち構えるだけなら、避ける余地は限られる。だがレッドインパルスは相手の加速を見て、戦闘機形態から人型形態へ変形し、迎撃に適した向きでR-20を撃った。 銃撃は正面装甲へ集中せず、推進器の外装と関節部を狙った。低重力下では一発ごとの反動も機体姿勢に影響する。ジェスターは射撃に合わせて推力を調節し、自機の照準が流れないよう抑える。バスター・ハスターは盾で弾を防ぎながら突進したが、盾を上げた側と逆の推進器が損傷し、姿勢がわずかに回転し始めた。破城槌はレッドインパルスの胴体をかすめ、深刻な損傷を与えられないまま軌道を外れる。 レッドインパルスはすぐにはミサイルを撃たなかった。相手の姿勢が回り続ける間は、盾の向きと誘導経路が読みにくい。バスター・ハスターは補助ロケットを噴かし、機体を安定させようとする。動作は遅いが、装甲と衝撃に強い機体は、まだ戦闘を続けられる。やがてバスター・ハスターはクレーターの縁へ着地し、盾を地面に突き立てて姿勢を支えた。そこで改めてロケットを吹かし、レッドインパルスのいる岩棚へ直進する。 ジェスターはECMを作動させた。レッドインパルスの機内システムによる妨害・欺瞞は、敵の捕捉と誘導を乱す。衛星地表ではレーダー反射が複雑な地形に左右され、岩の陰へ隠れた相手を完全に捉え続けることは難しい。バスター・ハスターは目視で突進するが、低重力の慣性が強く、途中で進路を修正しにくい。レッドインパルスは岩棚から横へ退き、相手をクレーターの縁へ誘導した。 その位置でORZミサイルが放たれる。誘導ミサイルは盾を避けて背部へ回ろうとする。バスター・ハスターは盾を縮めて身体の近くへ引き寄せ、補助ロケットを断続的に噴かして回避を試みる。低重力の慣性がその動きを鈍らせ、損傷した推進器が姿勢の乱れを増幅した。一発目は盾に当たって爆発し、二発目は岩棚へ衝突して炸裂する。爆風と破片が機体を揺らし、背部の残ったロケットにも損傷を広げた。 それでもバスター・ハスターは倒れない。盾を前に戻し、破城槌を振り上げて、最後の推力でレッドインパルスへ進む。対するレッドインパルスは、ターミナルアーマーを発動した。防壁が機体に追従して衝撃を受け止める。発動に伴うEMP爆発が周囲へ走り、間合いへ入っていたバスター・ハスターの制御系と残存推進装置に影響を与えた。強化された防御は一定時間しか続かないが、その短い猶予でジェスターは破城槌の軌道を外し、相手の背後へ回る。 バスター・ハスターはEMPの影響を受けながらも、重装甲と機体の頑丈さで即座には停止しなかった。しかし、推進装置の損傷と機体の回転が重なり、狙いを定め直せない。レッドインパルスは残弾を考慮してR-20を短く撃ち、ロケットの接続部と装軌部を破壊した。機体はクレーターの斜面を滑り、盾と破城槌を手放さないまま地表に横たわる。再起動を試みても推進器は応えず、戦闘継続は不可能となった。 第3試合の勝者:レッドインパルス 総合勝者:チームA【蒼天の覇者】レッドインパルス(3勝0敗)