闘技場の絢爛なる狂宴:6人トーナメント戦 序章:闘技場の開幕 古びた石造りの闘技場は、霧に包まれた円形のコロシアムだった。観客席は空っぽで、ただ風が唸りを上げるのみ。中央に立つ審判は、エレノア――お堅いおばさんそのものの女性だ。灰色の髪をきつく結い上げ、黒いローブを纏い、眼鏡の奥から厳しい視線を投げかける。彼女の声は低く、抑揚なく響く。 「諸君、ようこそ。この闘技場は逃げ場なき戦場。全画面判定の法則が支配する。攻撃はどこにいても命中し、空振りすらも直撃となる。多段ヒットは容赦なく連鎖す。回避や反射、無効化はすべて防御行動に置き換わり、ダメージの四分の一を被るのみ。勝者は生き残り、敗者は敗者復活の道を模索せよ。ルールを厳守せよ。さあ、第一試合の組み合わせを発表する。A組:ニュートンとスネイルダスト。B組:長餅もっちとエディウス=レガリア。C組:法条・アクトゥス=レクスとアビス・リリィ。トーナメントは一対一で進む。始めなさい。」 エレノアの合図とともに、闘技場に六つの影が現れる。戦いの幕が開いた。 第一ラウンド:A組 - ニュートン vs スネイルダスト 銀色の束髪を揺らし、深紅の瞳を輝かせる少女――ニュートン。外見は11歳の女子高校生だが、その眼差しは老獪な達人のものだ。黒いラップショートパンツと紅黒の雫型髪飾りが、彼女の妖異さを際立たせる。対するは、4メートルの巨大な巻き貝、スネイルダスト。ゆっくりと這いずり、貝殻の小さな穴から粉塵を噴出させる。 ニュートンは軽く笑みを浮かべる。「ふふ、幼気な貝さんね。あなたのような鈍重な存在、私の蛇の縫い包みが喜びそうよ。」彼女の手から妖異な紫黒の人形が現れ、対象の特性を突く。 スネイルダストは無言で反応。貝殻の穴から猛毒粉塵が噴出する。全画面判定により、粉塵は闘技場全体に広がり、ニュートンを毒状態に付与。彼女の体がわずかに痺れるが、痛覚鈍麻の堅忍不抜な人体は平然と耐える。「毒? そんなもの、私の萬寿無疆な体にはただの刺激よ。」 ニュートンは『愛嬌衝動』を放つ。人形がスネイルダストの深層心理――貝の孤独な本能――を突き、慢心を植え付ける。スネイルダストの動きがわずかに緩慢になるが、貝殻は頑丈だ。次に爆破粉塵が噴出。粉塵がニュートンに触れ、衝撃で爆発。だが全画面判定で直撃し、彼女の体に傷を刻む。 「痛いわね。でも、四肢が欠損しても利用する私の体よ。まだまだ。」ニュートンは超人的妙技で跳躍し、『心情搾取』を発動。スネイルダストの「持久戦への執着」という強い心情を糧に吸収し、自身の傷を癒す。スネイルダストは麻痺粉塵を放つが、ニュートンの多角的超読心術がそれを予測。防御行動に変換され、ダメージは四分の一に抑えられる。 スネイルダストの減下粉塵がニュートンの力を削ぐが、彼女は『邪念陀羅』を繰り出す。貝の「生存本能」という下心を呪いに変え、跳り返す。スネイルダストの貝殻に亀裂が入り、機能不全に陥る。ゆっくりとした動きが止まり、ニュートンの蛇の縫い包みが貝の奥底を抉る。 「さようなら、貝さん。あなたの粉塵は、私の妙計の糧になったわ。」ニュートンの超怪力の一撃で貝殻が砕け、スネイルダストは敗北。A組の勝者、ニュートン。 エレノアの声が響く。「A組、ニュートンの勝利。スネイルダストは敗者復活へ。」 第一ラウンド:B組 - 長餅もっち vs エディウス=レガリア 黒髪ボブに白ワンピース、うさ耳を揺らす7歳の少女、長餅もっち。天真爛漫な笑顔で闘技場を駆け回る。「わーい、たのしそー! もっち、逃げちゃうよー!」彼女の周囲に、もちもちの木がびっしりと生え始める。ベタベタの餅の木々が広範囲を覆い、戦場を邪魔者だらけにする。 対するは、《世界を整える美学者 運命編集者》エディウス=レガリア。黒いタキシードを纏った紳士で、筆を手に冷静に微笑む。「ふむ、興味深い小娘だ。だが、この戦いは私の脚本通りに進む。」 もっちは攻撃手段を持たず、木の間を軽快に逃げる。「えへへ、こっちおいでー!」彼女の挑発に、エディウスが《運命編集》を発動。現実を台本に変換し、もっちの「逃走行動」を「自滅の伏線」に書き換える。もっちの足元のもちもちの木が、彼女自身に絡みつき、動きを制限。 「きゃっ、なにこれー? もっちの木がもっちにくっついちゃった!」木が倒れ、もちもちのベタベタが幾重にも重なり、もっちの体を覆う。攻撃精度が下がり、彼女の逃げ場が狭まる。全画面判定の法則で、エディウスの筆の一振りは直撃。もっちの「勘違いのセンス」を編集し、彼女の独特な発想を「混乱」に変える。 もっちは悪戯好きに笑うが、木の隙間から挑発を続ける。「もー、ずるいよー!」しかし、エディウスの脚本は完璧。もっちの過去の「遊び」を「敗北の記憶」に改稿し、彼女の精神を揺るがす。もちもちの木が自らもっちを飲み込み、動きが完全に封じられる。 「この物語の結末は、君の敗北だ。」エディウスの言葉とともに、もっちはもちもちの渦に沈む。B組の勝者、エディウス=レガリア。 エレノア:「B組、エディウスの勝利。長餅もっち、敗者復活へ。」 第一ラウンド:C組 - 法条・アクトゥス=レクス vs アビス・リリィ 《権利剥奪者》法条・アクトゥス=レクス。白い判袍を纏い、淡々とした声で法令を宣告する。「被告人アビス・リリィ。本裁判空間において、汝の戦闘権利を剥奪する。」周囲の空間が裁判所に変化し、彼の発言が法となる。 対するは【虚無の瞳】アビス・リリィ。無邪気な少女の姿で、右目に眼帯を付け、無数の影を従える。「おにいちゃん、遊ぼうよー。リリィ、楽しいことしたいな。」 法条は《法令剥奪》を発動。「汝の影の能力を、法の外側に追放す。人権、防御権、一切を無効化。」アビス・リリィの影が拘束され、動きが止まる。全画面判定で、法条の宣告は直撃。彼女の「無邪気な聖域」が「違法行為」として剥奪され、害意を無効化できなくなる。 「えー、つまんなーい。」アビス・リリィは【影の供宴】を試みるが、法条の法域で影は捕食されず、逆に彼女の肉体を無力化。法条の言葉が威圧的に響く。「反撃は禁じられし法令なり。処断を宣告す。」 しかし、アビス・リリィの能力は因果律より優先。彼女の【愛の侵食】が発動し、法条の「法的権利」を存在定義から書き換え、無効化。「おにいちゃんのルール、なくなっちゃったね。」法条の裁判空間が崩れ、彼の防御が零になる。 法条は冷静に上位形態《全法支配領域》を展開。「概念規範を上書きす!」だが、アビス・リリィは眼帯を外す。「もう飽きたよー。【開眼:虚無】!」右目の虚無が世界をデータ消去。法条の存在が独自次元に引きずり込まれ、全法則が支配され完封。回避も蘇生も不可の即死。 C組の勝者、アビス・リリィ。 エレノア:「C組、アビス・リリィの勝利。法条・アクトゥス=レクス、敗者復活へ。」 敗者復活戦:スネイルダスト vs 長餅もっち vs 法条・アクトゥス=レクス 第一ラウンド敗者は闘技場中央に集う。スネイルダストの貝殻に亀裂が入り、もっちはもちもちの残骸を纏い、法条は判袍を正す。バトルロワイヤル形式、エレノアの声:「敗者復活戦開始。生き残った者だけがトーナメントに復帰す。」 スネイルダストが猛毒粉塵を噴出。全画面で三人を毒付与。もっちは「わー、くすぐったいよー!」と木を生やし、逃げ回るが、粉塵が木に絡み、ベタベタの餅が毒を吸収して広がる。法条は《法令剥奪》で「毒の権利を剥奪す」と宣告するが、スネイルダストの粉塵は自然現象ゆえに効かず。 もっちの木がスネイルダストに絡みつき、貝の動きを制限。「えへへ、くっついちゃえー!」スネイルダストは爆破粉塵で応戦。木が爆発し、もっち自身に飛び火。全画面で直撃し、彼女のもちもちボディが焦げる。 法条は淡々と「スネイルダストの移動権利を剥奪す。」貝の這う力が失われ、静止。もっちは隙を突き、木の間から挑発。法条の攻撃が木に当たり、もちもちの連鎖が彼を覆う。「これは...法の外側か。」法条の動きが制限される。 スネイルダストの麻痺粉塵が法条を捉え、減下粉塵で力を削ぐ。もっちの木が貝を包み、爆破粉塵が内部で爆発。貝殻がさらに砕け、スネイルダスト敗北。残りはもっちと法条。 法条の《全法支配領域》で空間が法域に。「もっちの木の存在権利を無効化す。」木が消え、もっちの逃げ場がなくなる。「きゃー、ずるいー!」法条の宣告が全画面で直撃、彼女の「悪戯権」を剥奪。 だが、もっちの独特なセンスが閃く。「もっちの木、なくなっちゃったけど...もっち自身が木だよー!」彼女の体がもちもちに変形し、法条に張り付く。ベタベタの制限が法条の宣告を妨げ、精度低下。もっちの挑発が続き、法条の法域が乱れる。 最終的に、もっちのもちもちが法条の体を完全に覆い、動きを封じる。法条の処断が届かず、窒息敗北。敗者復活の勝者、長餅もっち。 エレノア:「敗者復活、長餅もっちの勝利。彼女はB組のエディウスと次戦へ。スネイルダストと法条は永久敗退。」 第二ラウンド:準決勝A - ニュートン vs アビス・リリィ 銀束髪のニュートンと虚無の瞳のアビス・リリィ。ニュートンは人形を操り、「あなたのような純真な子、私の搾取が効きそうね。」『愛嬌衝動』でリリィの「遊び心」を慢心に変える。 アビス・リリィは無邪気に笑う。「おねえちゃん、遊ぼう!」【無邪気な聖域】でニュートンの攻撃を「親愛」に改変、無効化。影の供宴がニュートンの超人的体を捕食、無力化。 ニュートンは『邪念陀羅』でリリィの下心を呪いに跳り返すが、因果律優先の能力で跳ね返される。『心情搾取』が効かず、影に飲み込まれる。リリィの【愛の侵食】がニュートンの「堅忍不抜」を書き換え、痛覚を鋭敏に。 全画面判定の影攻撃が多段ヒット。ニュートンの回避が防御に変換され、四分の一ダメージが蓄積。「くっ...私の萬寿無疆が...」リリィは眼帯を外さずとも優勢。ニュートンの体が影に引き裂かれ、敗北。 エレノア:「準決勝A、アビス・リリィの勝利。ニュートン敗退。」 第二ラウンド:準決勝B - エディウス=レガリア vs 長餅もっち 復活のもっちとエディウス。もっちは木を生やし、「またあの人だー! 逃げちゃうよー!」木が闘技場を埋め尽くす。 エディウスは筆を走らせる。《運命編集》で木の「成長」を「自壊」に改稿。木がもっちを襲う。「この脚本では、君は早々に退場だ。」全画面で編集が直撃、もっちの逃走が封じられる。 もっちのもちもち連鎖がエディウスに迫るが、《脚本全掌》の上位形態で宇宙を原稿に。もっちの存在を「脇役の失敗」に書き換え、木が消滅。彼女のセンスすら編集され、混乱。 「わーん、もっち負けちゃうー!」もちもちの渦が自滅し、エディウスの勝利。 エレノア:「準決勝B、エディウスの勝利。長餅もっち敗退。」 決勝戦:アビス・リリィ vs エディウス=レガリア 虚無の少女と運命の編集者。エディウスは紳士的に微笑む。「君の混沌を、私の物語に組み込もう。」《運命編集》でリリィの「影」を「味方」に書き換えようとする。 だが、アビス・リリィの能力が因果律より優先。「えへへ、おにいちゃんの話、つまんないよ。」【無邪気な聖域】で編集を「親愛」に改変、無効化。影の供宴がエディウスの筆を捕食、能力を無力化。 エディウスは《脚本全掌》を発動。宇宙を原稿にし、リリィの眼帯を「外れない伏線」に編集。「これで君の虚無は封じられる。」全画面で改稿が直撃、眼帯が固定される。 しかし、リリィは無邪気に眼帯に触れ、「遊びに飽きたよー。【開眼:虚無】!」眼帯が外れ、編集ごと虚無化。エディウスの脚本がデータ消去され、独自次元に引きずり込まれる。全法則支配の完封即死。 エレノアの声が響く。「決勝戦、アビス・リリィの勝利。トーナメントの優勝者、【虚無の瞳】アビス・リリィ!」 闘技場に静寂が訪れ、狂宴は終わる。リリィは無邪気に手を振り、「また遊ぼうねー!」と呟く。