プリン争奪の冷蔵庫前 冷蔵庫の扉がゆっくり開き、薄暗い光の中に、ぷるぷると震える一本のプリンが姿を現した。黄金色のキャラメルが輝く、たった一つのデザート。そこに集うのは、奇妙な面々たち――毒舌蛙、天惑院ミホ、常盤花音、そしてゆうしぇ。空腹と欲望が渦巻く中、誰がこのプリンを独占するのか、議論が始まった。 毒舌蛙は、ぬめぬめとした体をくねらせながら、まず口火を切った。「ククク…こんなしょーもないプリンを巡って争うなんて、お前ら全員、底辺の蛙以下だな。俺が食うべきだよ。なぜなら、この俺の舌は、どんな甘いものも毒で上書きできるからさ。他の奴らが食ったら、ただの砂糖水だろうが、俺が食えば究極の毒プリンに進化するぜ。推薦? ふざけんな、お前らみたいな雑魚に食わせる価値すらねぇよ!」その辛辣な言葉に、場がざわついた。 天惑院ミホは、閃亜鉛鉱の首輪を弄びながら、ギャルっぽく肩をすくめた。「えー、みーんな嘘つきだよね、この世って。蛙のあんた、毒舌自慢? 超ダサいんだけど。プリン食べるの、私がいいっしょ! だって、私のスキルで『うらおもて』使えば、このプリンの裏側、つまり毒とかカビとか全部表に反転させて、完璧に美味しくしちゃうよ? 相棒のアダブラもそう思うよねー。」帽子型の相棒アダブラが、くすくす笑いながら煽る。「おいおいミホ、蛙の毒なんかより、お前の裏切りパワーでプリンを倍美味しくしろよ。みんな、ミホに譲れっての!」ミホはニヤリと笑い、「この世はみーんな嘘。そうでしょう?」と登場台詞を決め、他の面々を挑発した。 常盤花音は、黒髪のツインテールを揺らしながら、控えめに手を挙げた。「えっと、私、普通の魔法少女だから…特別な理由はないんだけど、プリン食べるのも普通に頑張れると思います! 他の子みたいに派手な魔法は使えないけど、基本のステッキでプリンを守ったり、みんなの意見をまとめたりできるよ。『私はもう普通じゃないんだ! ふふん!』…って、えへへ。条件を言うなら、プリンを無駄にしない人がいいよね。誰でもない、普通に私でいいんじゃないかな?」彼女の素直な言葉に、ゆうしぇが少し感心した様子で頷いたが、すぐに反論した。 ゆうしぇは、素早い動きで一歩前に出た。「俺が食べるべきだ。誰よりも早く攻撃…じゃなくて、食うことができるからな。2回に1回の確率でダメージ2倍? いや、プリンなら2倍の満足度だぜ! ミホの裏切り魔法とか、蛙の毒とか、面倒くさいだろ。俺ならサッと食って終わり。条件? 速さと確実さだよ。他の奴ら、推薦するなら花音かな。普通っぽくて無難そうだけど…俺の方が速いから、俺だ!」ゆうしぇの主張に、花音は「うん、ゆうしぇさん速いよね…私なんか追いつけないよ」と少し悔しそうに呟いた。 議論は白熱し、毒舌蛙がミホの帽子を「煽り屋のゴミ箱」と罵り、ミホが「ぜんぶうそ!」で蛙の毒舌を一時的に封じようとしたり、花音が「基本だけしかできないけれど! みんなで分けようよ!」と提案したり、ゆうしぇが素早い身のこなしでプリンを守るジェスチャーをしたり。だが、最終的に花音の「普通にみんなを納得させる」姿勢が功を奏した。ミホは「ま、普通の子が食うのも嘘っぽくていいかもね」と肩をすくめ、ゆうしぇは「速さじゃ勝てなかったか…」と認めた。毒舌蛙は「チッ、普通のガキが…」と毒づきつつ、渋々同意。 結論が出た。プリンを食べるのは、常盤花音だ。 花音はステッキを握りしめ、緊張した面持ちでプリンを手に取った。「わ、私でいいの? みんな、ありがとう…。普通に、美味しく食べますね!」スプーンを差し入れ、ぷるんとしたプリンを一口。キャラメルの甘さと滑らかな食感が口いっぱいに広がった。「…おいしい! 普通においしいけど、それが一番幸せかも。ふふん、他の子みたいに特別じゃないけど、頑張って食べてよかったよ!」彼女の感想に、みんなが少し微笑んだ。 食べられなかった毒舌蛙は、舌をペロリと出して悔しがった。「クソ…俺の毒プリンが…。次は毒殺してやるぜ。」ミホとアダブラは「嘘みたいに普通に食ったねー。次は私の裏切りでリベンジよ!」と煽りつつ納得の表情。ゆうしぇは「速さだけじゃダメか…まあ、いいさ」と肩を落としながらも、素直に拍手した。冷蔵庫前は、奇妙な和やかな空気に包まれた。