冒頭 重厚なオーク材の円卓が置かれた、窓のない密室。政府の最深部に位置するこの会議室には、国家の根幹を揺るがす機密を扱う四人の権力者が集っていた。空気は張り詰め、換気システムの低い唸りだけが静寂を埋めている。 彼らが集まった目的は、諜報部から報告された「バトラー」と呼ばれる特異個体の脅威判定である。報告書によれば、彼らは個人の枠を超えた天体規模の破壊力を有しており、その存在自体が戦略兵器に匹敵するという。しかし、彼らが国家に敵対的な意図を持っているのか、あるいは制御可能なリソースとなるのかは現段階では不明であった。 出席したのは、治安維持に執念を燃やす感情豊かな女性、内務卿。科学と魔術の理(ことわり)を冷徹に分析する男性、分析卿。陸海空の全軍を指揮し、武力による解決を信奉する荒々しい男性、軍務卿。そして、対話と共存による平和的解決を模索する気さくな女性、穏健卿の四名である。 「さて、時間の無駄は省きましょう」 分析卿が眼鏡のブリッジを押し上げ、冷徹な声を響かせた。会議の幕が上がる。