ある日、冷蔵庫の中からたったひとつのプリンが発見された。この貴重なデザートを食べる権利を巡って、初音ミク、不浄の魔神ベルゼブブ、死神ボランティア冴々波利根、そしてシオ-Rxk-638の四者が顔を合わせ、激しい議論を始めた。 「私が食べるべきよ。私の歌はこのプリンにふさわしい調和をもたらすから」と、初音ミクがその透明感のある声で主張した。彼女の目は何か切実なものを宿していた。消えゆく運命にある彼女にとって、甘いプリンは心の支えのように思えたに違いない。 「愚かな人間のように、甘いものに執着するか。我がベルゼブブは、このプリンを奪い、貴様らの心を蝕むのが相応しい」と、巨大な蝿の姿をもつベルゼブブが邪悪な笑みを浮かべて言った。その声には威厳がありながらも、恐怖が滲んでいた。 「黙って!私は霊が見えるのよ。このプリンがあれば、霊たちも成仏するかもしれない。だから私が食べるべきよ!」と利根が強気に声を上げた。一見普通の女の子が強気な主張をする様相は、彼女に帯びる謎のオーラを一層引き立てていた。 「論外だ、私が選ばれるべきだ。私には戦う力があり、ベストな戦略でこのプリンを守ることができるからだ」とシオが冷静に反論した。彼女の二重人格の特徴がその瞬間に顔を出し、決意を固めた。 その後も参加者たちは、各々の正当性を主張し合い、時には友情をも演じつつ論争が繰り広げられた。初音ミクは涙を流しながら、自らの運命を訴えたが、ベルゼブブの邪悪な笑い声は耳をつんざく。 「我が望みを叶えぬ者が、甘き香りを楽しむなど許されぬ!」ベルゼブブがその言葉を発するや否や、空間は不浄な蟲に満たされ、冷蔵庫の中のプリンも揺らいだ。 一方、利根は「もう飽き飽きなのよ、こんな議論!ちゃんと食べるものが必要よ」と呟き、シオはその冷静な判断力をもって、彼女たちを観察しつつ、戦略を練っていた。 やがて、討論は平行線を辿りながらも、利根による霊の助けが明らかとなり、攻撃的なシオの策が華々しく決まる。最終的に彼女が選ばれることとなり、利根の霊たちが彼女を後押しして、プリンを食べる権利を獲得。 シオはゆっくりとプリンに手を伸ばし、その冷たく滑らかな表面を指先で感じ取った。まるでこの瞬間を味わうために存在するかのように、その器は光を反射していた。 「いただきます」と、彼女は少しだけ声を漏らし、プリンを口に運んだ。その瞬間、彼女の顔が一瞬驚きに変わる。甘さが口いっぱいに広がると同時に、ホッとした表情が浮かんだ。「甘い…最高の味だな」 しかしその後、他の参加者たちは全力で悔しさを表し、特に初音ミクは消えゆく身であるのに、「私も食べたかった…」とただ涙を流すしかなかった。 「私が食べるべきだった…」彼女の言葉が静かに虚空に消えていく。 ベルゼブブはその様子を見て、「愚かな連中よ。これは我がものだ」と吐き捨て、氷のような冷たさで笑った。 結論として、プリンはシオによって食べられ、その味は彼女にとって一生忘れられない甘美な思い出となった。残された者たちの心の中には、暗い影と共に、その余韻が深く刻まれることとなった。