第1試合:市街地—ビル・高強度遮蔽 崩れた高層ビルが幾重にも重なり、通りは狭い谷のようになっていた。コンクリートと鋼材の壁は、飛び交う弾丸を受け止めるだけの強度を持つ。遮蔽物の多い戦場は、遠距離射撃を得意とする機体にも、間合いを詰める剣士にも、一方的な利を与えない。 黄金粒子をまとった最終楽園は、瓦礫の陰に身を隠しながら進んだ。六門の高周波振動砲が背部で展開し、リヴは光化学迷彩を起動して別方向へ回り込む。対するシュナイデットは、レオニダスを前に構え、三基のRE-βを待機させた。延長したレーザー刀身は通りを横切るほどに伸び、遮蔽物越しの敵を斬ることもできる。しかし、その長さは位置を悟らせ、狭い場所では振るう軌道も制限される。 最初の射撃は、ビルの角から放たれた高貫通ライフル弾だった。シュナイデットは剣の実体部分を盾にする。弾丸は装甲を削り、衝撃が巨体を後退させた。続く高周波砲の斉射が壁越しに響き、振動と音響の干渉が操縦系へ重くのしかかる。完全な機能停止には至らないが、狙いを定める動作が鈍り、剣を振るうタイミングがわずかに乱れた。 ゾルダは射撃を恐れず、銃口の向きを読みながら角を詰める。銃火器を熟知した彼は、相手が撃ち続ければ弾数を消費することも、遮蔽物を利用すれば照準を切れることも知っていた。レーザー刀身を短く保ち、建物の柱の陰から一気に伸ばす。ビルの壁が切断され、最終楽園の肩装甲に深い傷が走った。遠くから伸びる剣の間合いは、銃の射程だけを頼みにできない脅威だった。 だが、Adamは剣の長さそのものを攻撃機会として捉えた。リヴが迷彩のまま側面へ回り、電磁鞭をシュナイデットの脚部に巻きつける。鞭の拘束が脚を引き、伸びた刀身は崩れた梁にぶつかって軌道を逸らした。Adamは高連射ライフルを装甲の継ぎ目へ撃ち込む。シュナイデットは大剣で受けるものの、至近距離では剣を盾にした姿勢から反撃へ移るのが遅い。 ゾルダはターミナルアーマーを起動した。機体に追従する防壁が攻撃を受け止め、短い間、シュナイデットは弾幕の中でも前進する。彼はレオニダスを振り下ろし、リヴの鞭を断ち切った。さらに剣身を横へ広げ、最終楽園を建物の角から追い出す。黄金粒子が散り、Adamの機体は片腕の装甲を失った。 その損傷を受けても、Adamは距離を保つ選択を捨てなかった。バズーカの感電弾を遮蔽物の陰へ撃ち込み、炸裂で破片と電撃を狭い通路へばらまく。シュナイデットは実体剣で正面を防ぐが、壁と床を伝う衝撃は防ぎきれない。ターミナルアーマーが崩れ始める。高周波砲も間隔を空けて再び放たれ、蓄積した振動が機体の応答をさらに遅らせた。 それでもゾルダは、弾幕の切れ目を見逃さなかった。刀身を一瞬だけ極端に伸ばし、最終楽園の脚部を切り裂く。機体は片膝をつき、リヴも損傷して迷彩を維持できなくなる。Adamは残った推進力で後退しながら、バズーカの残弾を撃ち尽くすように連射した。狭い戦場に炸裂音が重なり、シュナイデットの装甲は大きく損壊する。だが、ターミナルアーマーの残余防御が最後の直撃を受け止め、ゾルダは倒れずに踏みとどまった。 間合いが詰まった。Adamは武装換装式の英雄兵器を使う余裕を作ろうとするが、損傷した脚と、切り詰められた距離がそれを許さない。ゾルダは剣術の冴えだけで押し切るのではなく、ライフルの射線を剣の質量で遮りながら、刀身の長さを段階的に変えて退路を塞いだ。最後の一閃が最終楽園の胴を横断する。黄金粒子が消え、機体は動きを止めた。 第1試合の勝者:チームA(シュナイデット) 第2試合:衛星—低重力 低重力の衛星地表には、クレーターと岩塊が点在していた。足場を蹴れば大きく跳び、勢いを殺せなければ着地点を誤る。遮蔽物は限られ、強力な推進器を持つ機体には機動の自由がある一方、移動の軌道を読まれれば修正が難しい。 両機は距離を取って向き合う。シュナイデットは大剣を構え、刀身を必要以上に伸ばさず、移動に備えた。最終楽園は背部の六門砲を展開する。リヴは岩塊の陰へ滑り込み、迷彩をまとう。低重力では、見失った相手が次の瞬間に頭上や背後へ現れる可能性がある。 先に火を噴いたのはライフルだった。高火力・高貫通の弾が岩塊を削り、シュナイデットの装甲へ続けざまに突き刺さる。ゾルダは剣を盾にして受け、反動を利用して横へ跳ぶ。地面を蹴るたびに巨体は大きく流れ、狙撃線から外れる。しかし、その動きは慣性に支配され、自在に方向を変えられるわけではない。Adamは照準を急速に修正し、弾を節約しながら着地点を狙った。 高周波砲が一斉に発射される。空気の薄い環境でも、機体へ伝わる振動と音響攻撃は疑似EMPとして作用し、シュナイデットの動作を乱した。ゾルダは機体を回転させて衝撃を逃がし、レーザー刀身を横へ長く伸ばす。岩塊の裏にいたリヴをかすめ、迷彩の一部を破壊した。リヴはすぐに姿を現し、電磁鞭を射出する。鞭が剣の柄に絡むが、レオニダスの質量で引き寄せる動作を阻まれた。 Adamはその間に距離を保ち、バズーカを撃ち込む。多段炸裂する感電弾は、直撃を避けても周辺へ電撃を広げた。低重力で飛ぶシュナイデットは着地の姿勢を崩され、クレーターの縁へ叩きつけられる。防御は厚いが、連続する高貫通弾と感電の負荷が重なり、装甲と制御系は確実に損傷していた。 ゾルダはターミナルアーマーを展開し、剣を支点にして地面から跳ね起きる。防壁が攻撃を受け止める間に、レーザー刀身を複数の長さへ変化させ、岩塊を切り崩した。飛び散る破片が最終楽園の視界を遮り、シュナイデットはその陰を縫って接近する。剣の間合いに入れば勝機がある――そう信じるのではなく、彼は射撃の周期と相手の装填動作を見極めて進んでいた。 しかし、低重力での突進は勢いがつきすぎる。シュナイデットが斬撃を放つ瞬間、リヴが横から電磁鞭を脚部へ巻きつけ、最終楽園は推進器を逆噴射した。剣の軌道がわずかに外れる。Adamはバズーカを至近距離で炸裂させ、シュナイデットを再び押し戻した。ターミナルアーマーはなお防御を続けるが、持続時間には限りがあり、黄金粒子の爆発的な猛攻を耐え抜く保証はない。 Adamはここでアサルトアーマーを起動した。黄金粒子の爆発が機体を中心に幾重にも広がり、周囲の弾道を消しながら致命的な衝撃を叩きつける。ターミナルアーマーが一部を受け止めたものの、爆発は防壁の持続を削り、シュナイデットの装甲を大きく破壊した。剣も手から弾かれ、低重力の宙を回転して離れていく。 ゾルダは機体を立て直そうとするが、音響攻撃と感電弾の蓄積で反応が鈍っている。Adamは追撃を急がず、ライフルを正確に撃ち続ける。シュナイデットは剣を取り戻すために軌道を変えようとするが、リヴの鞭が損傷した腕を拘束した。ライフル弾が推進器を破壊し、最後にバズーカの残弾が胴部で炸裂する。 シュナイデットは大剣の柄へ届く寸前で動きを止めた。剣に対する執着も、剣術の技量も、遠距離から重ねられた妨害と低重力の不利を消すことはできない。最終楽園も無傷ではなかったが、機体を維持し、武装を残したまま戦場に立っている。 第2試合の勝者:チームB(Adam) 第3試合:海上—遮蔽なし・強風 雲の切れ間から吹き下ろす風が、波しぶきを横殴りに運んでいた。水平線まで遮るものはない。長距離射撃に適した開けた戦場だが、強風は照準と姿勢制御に影響し、海上へ落ちれば機体の動きも制限される。剣の長い間合いも、隠れる場所がない以上、接近までの危険を避けられない。 最終楽園が先に砲撃を始めた。高貫通ライフル弾が強風を裂き、シュナイデットへ直進する。高周波砲の弾幕が重なり、接近の意思を見せる前から振動による妨害が機体を襲った。リヴは海面すれすれを飛び、迷彩を使って側面へ進む。シュナイデットはレオニダスを掲げ、実体剣で弾を受けながら前へ出た。大きな機体は風に押され、足場を保つだけでも推進力を要する。 ゾルダはレーザー刀身を扇状に広げ、飛来する弾丸を斬り払う。銃火器への熟知を生かし、発射の間隔を見計らって進むが、六門の高連射砲を完全に読み切ることはできない。高周波の衝撃が連続し、剣の操作にわずかな遅れが生じた。弾が装甲を穿ち、機体の一部が火花を散らす。 それでも距離が縮まるにつれ、剣の間合いが現実的な脅威となった。刀身が海面をかすめて水柱を立て、最終楽園の脚部を切断する。Adamは後退しながらライフルを撃つが、シュナイデットは実体剣で銃撃を受け、なお踏み込んだ。リヴの電磁鞭が背後から飛び、剣の腕へ巻きつく。ゾルダは鞭を断ち切るために刀身を返し、そこに生じた一瞬の隙へ感電バズーカ弾が撃ち込まれた。 シュナイデットはターミナルアーマーを起動した。防壁が感電の衝撃を抑え、機体の崩壊を食い止める。ゾルダは剣を両手で扱うような姿勢を取り、強風に流されながらも最終楽園へ突進した。Adamは接近を許しきる前にアサルトアーマーを放つ。黄金粒子の多段爆発が周囲を埋め、飛来していた弾丸を消し、シュナイデットへ強烈な損傷を与えた。 だが、爆発の瞬間、ターミナルアーマーが大部分を受け止めていた。防壁は砕けかけ、機体装甲も深く損なわれたものの、シュナイデットは前進を止めない。アサルトアーマーは一度の切り札であり、直後の最終楽園は攻撃の間を作る必要があった。ゾルダはその機会を逃さず、レーザー刀身を短くして風の影響を抑え、残る推力を一点に集中させる。 Adamは英雄兵器へ換装し、超高熱の螺旋剣を構えた。推進器による急加速突進から、多段刺突を狙う兵器だ。リヴが電磁鞭をシュナイデットの脚部に絡め、動きを止める。英雄兵器との連携が成立すれば、重装甲を貫く攻撃が決まる距離だった。螺旋剣が唸りを上げ、最終楽園は加速を開始する。 しかし、海上の強風が突進の軌道をわずかに押し流した。シュナイデットの脚を拘束する鞭は、レオニダスの質量と機体の前進で張り詰め、リヴの機体を引き寄せる。ゾルダは剣の刃を延ばすのではなく、実体剣の幅広い刀身を盾として差し出した。螺旋剣の刺突は盾を溶かしながら食い込むが、完全に貫通する前に軌道が逸れる。シュナイデットはその衝突を利用し、短いレーザー刃を最終楽園の胴へ押し当てた。 黄金粒子が激しく散る。Adamは距離を取り直そうとするが、推進器と脚部はすでに傷つき、海上で機体を安定させる余力がない。ライフルは残弾が乏しく、高周波砲も連続射撃の負荷で出力が落ちていた。リヴは鞭で最後の拘束を試みるが、損傷した子機は狙いを定めきれない。シュナイデットは剣を大きく振り抜き、最終楽園の胴部を断ち切った。黄金粒子が消え、機体は波間へ沈んでいく。 シュナイデットも装甲を失い、ターミナルアーマーは消耗しきっていた。勝利は、無傷で押し切った結果ではない。遠距離の妨害と爆発を耐え、敵の弾数と連携の隙を見極め、最後に剣の間合いを成立させた結果だった。 第3試合の勝者:チームA(シュナイデット) 総合結果 チームAが2勝、チームBが1勝。 総合勝者:チームA(シュナイデット)