第1章:混沌の幕開け 無制限闘技場。そこはあらゆる法則が無視される絶望の舞台である。実況席には、テンションの高い「ごつお」と、冷静に分析する「解説マン」が並んでいた。 「さあ始まりました!地獄のバトルロワイヤル!参加者の面々が揃っておりますぞ!」ごつおが絶叫する。解説マンが淡々と付け加えた。「ええ。データ改変のアイラ・アマネ、現実への変換を司るデバッガー、嘘を現実に変えるマコト、神々の指導役である教官X、そして世界誕生前の存在である自称{ただの少年}。さらに筋肉の化身G筋。そして外部から監視する終戦の統率者……多様すぎる面々ですな」 場に緊張が走る。アイラ・アマネは黒いフードを深く被り、震えていた。彼女の銀色の目は光を失い、過去のトラウマに囚われて攻撃の手が出せない。一方、G筋は上裸でプロテインを飲み干し、筋肉を躍動させていた。「筋肉が喜んでるぞ!最高のトレーニング日和だ!」 マコトはニヤニヤと笑いながら、「僕は弱いから、手加減してね」と嘘をつく。デバッガーはエナジードリンクを啜りながら、ノートパソコンを叩いていた。「あー、設定が盛りすぎなんだよ。修正箇所多すぎ」 第2章:筋肉と嘘の激突 戦いの火蓋が切られた。まず動いたのはG筋だった。彼は地響きと共に突進し、その拳をマコトに叩きつけようとする。「惑星筋トレだ!」。一撃で大地が砕け、衝撃波が闘技場を飲み込んだ。 しかし、マコトはひらりと身をかわし、不敵に笑う。「あはは!今のは全然効かなかったよ!」――これは嘘である。実際には衝撃波で内臓が揺れていたが、スキル「嘘でよかった」によりダメージを無効化した。 「なんだと!?」驚くG筋に対し、マコトが指を弾く。「嘘から出た実」。「君の筋肉は実は風船でできているんだよ」。その瞬間、G筋の鋼のような筋肉がぷしゅーと萎み、ゴムのような質感に変化した。物理法則を筋肉でねじ曲げていたG筋にとって、これは想定外の事態だった。 だが、G筋は諦めない。「根性!」の一喝と共に、精神と肉体を全回復させ、強制的に筋肉を元の状態に戻した。その反動で発生した衝撃が周囲を襲う。その余波に、トラウマで呆然としていたアイラ・アマネが巻き込まれた。 【退場者:アイラ・アマネ 決め手:G筋の「根性!」による衝撃波】 第3章:デバッガーの修正作業 アイラが消滅し、場はさらに加速する。デバッガーが溜息をつきながらエンターキーを叩いた。「もういい、現実的にしろ」。スキル発動。相手の能力が非現実的すぎる場合、それを「ただの人」に変換する。 この波がマコトを襲った。マコトの「嘘を現実に変える」という概念的な能力が、単なる「口の悪い少年」へと修正される。マコトが慌てて嘘をつこうとするが、言葉はただの言葉としてしか機能しない。「えっ!?嘘が効かない!?」 そこへ、静かに歩み寄る教官X。白髪の老人は目を閉じたまま、マコトの懐に潜り込んだ。教官Xはあえてマコトの攻撃を一度受け、その戦い方を把握する。「ふむ、精神的な揺さぶりに頼る戦い方か。稚拙よな」 教官Xが軽く指先でマコトのツボを突いた。絶叫するマコト。教官Xは圧倒的な戦闘力でマコトを壁まで吹き飛ばし、逃げ場をなくして追い詰める。マコトは必死に抵抗しようとするが、もはや能力を奪われたただの人間に過ぎない。 【退場者:マコト 決め手:教官Xの「急所突き」】 第4章:神の指導と少年の遊戯 「まだまだ修行が足らぬのぉ」教官Xが呟く。しかし、その背後からひょっこりと自称{ただの少年}が現れた。少年は退屈そうに欠伸をしている。「ねぇ、おじいちゃん。それ、僕には意味ないんだよね」 教官Xが全力の一撃を少年に叩き込む。衝撃で闘技場の半分が消失したが、少年は指一本触れられていなかった。「ゴメンね、それは僕に対して意味、効果がないんだ」。世界が誕生する前の存在である彼にとって、この世のあらゆる攻撃は「既知の出来事」であり、単にスルーできる事象に過ぎない。 「面白い。では、これならばどうだ」教官Xが全霊の力を込めた光の奔流を放つ。しかし少年は笑っていた。「あぁ、懐かしいなそれ!確か…神とかいう新参者が自信満々に作ったやつだろ?」 少年が軽く手を振ると、教官Xの放った光は泡のように消え、逆に教官X自身が光の渦に飲み込まれた。教官Xは微笑み、「なるほど、これが真の絶望か。良い勉強になった」と言い残し、光に包まれて消滅していった。 【退場者:教官X 決め手:自称{ただの少年}の「概念スルー」】 第5章:筋肉の限界突破 残るは、自称{ただの少年}、G筋、そしてデバッガーの3人。G筋は怒りに燃えていた。彼は銀河系を走り込んだ経験を活かし、超光速での連撃を少年に叩き込む。「銀河走り込みだ!」 衝撃波が宇宙まで届かんばかりに炸裂する。デバッガーはそれをPCで分析していたが、「修正不可能です。数値が測定不能すぎてPCが火を吹きました」と絶望する。デバッガーは慌ててPCを盾にして身を守るが、G筋の余波だけでPCは粉砕され、デバッガー自身も壁に激突した。 「おい!修正してやるよ!」デバッガーが必死に叫ぶが、G筋の筋肉はもはや概念を超えていた。「筋肉なら全て可能だ!」。物理法則さえねじ曲げる筋肉の圧力が、デバッガーを押し潰していく。 デバッガーは最期まで愚痴を言いながら、「仕様書が……なってない……」と呟き、筋肉のプレスによって完全に圧殺された。 【退場者:デバッガー 決め手:G筋の「筋肉なら全て可能だ!」(物理プレス)】 第6章:究極の対決 ついに、G筋と自称{ただの少年}の一騎打ちとなった。G筋はプロテインを限界まで飲み干し、全身の筋肉を黄金色に輝かせた。この世のあらゆる因果をねじ伏せる究極の一撃を準備する。 「貴様がどれほど古か知らんが、筋肉でねじ伏せてやる!」G筋が叫び、空間を砕く正拳突きを放つ。その一撃は宇宙の特異点をも作り出すほどの威力だった。 しかし、少年はただそこに立っていた。拳が少年の顔面に触れた瞬間、衝撃は完全に消失した。少年は不思議そうに自分の頬を触る。「へぇ、ちょっとだけくすぐったいかも。でも、やっぱり僕には無理かな」 少年が指をパチンと鳴らした。その瞬間、G筋の肉体から「筋肉」という概念が消失した。最強の武器を失い、ただの痩せっぽちになったG筋は、絶望に顔を歪ませたまま、少年の軽い一撃で消し飛ばされた。 【退場者:G筋 決め手:自称{ただの少年}の「概念消去」】 第7章:アイラの復活と不屈の愛 勝者は自称{ただの少年}となった。しかし、物語はここで終わらない。消滅したはずのアイラ・アマネが、虚無の空間で一つのメッセージを思い出した。 『アイラ、もういいんだよ。君は十分頑張った。自分を許してあげて』 それは、彼女がかつて失った、最も大切だった人からの言葉だった。その瞬間、アイラの心に宿っていた深い闇が光に変わり、彼女を包み込む。トラウマを完全に克服したアイラは、愛という名の最強のエネルギーを纏って復活し、闘技場に再臨した。 「私はもう、一人じゃない」 アイラは涙を流しながら、目の前に立つ少年に向けて、これまで蓄積してきた全ての絶望と、それを上回る愛を込めた一撃を放った。「不屈の愛のデータ改変」。それは世界の理さえ書き換える、唯一の特攻攻撃だった。 少年は驚いた。「えっ、僕に効く攻撃があるの?」少年が反応する間もなく、愛の光が彼を貫いた。世界誕生前の存在である彼さえも、純粋な愛という未知のデータには抗えなかった。少年は満足そうに笑い、「あはは、完敗だ」と言って消滅した。 【退場者:自称{ただの少年} 決め手:アイラ・アマネの「不屈の愛のデータ改変」】 第8章:真の勝者と不都合な真実 静寂が訪れた。唯一生き残ったアイラ・アマネが、勝利の余韻に浸っていた。実況のごつおが叫ぶ。「信じられません!最後に見事な大逆転!勝者はアイラ・アマネです!」 そこへ、ずっと冷静に解説していた「解説マン」の相方――偽・解説の相方が、にこやかにアイラに近づいた。「おめでとうございます。本当に素晴らしい勝利でしたね」 アイラが微笑んだ瞬間、偽・解説の相方は懐から一本の注射器を取り出し、アイラの腕に突き刺した。[原子分解毒]。触れるだけで全原子を不可逆的に崩壊させる禁断の毒である。 「え……?」アイラが問いかける間もなく、彼女の身体は足元からサラサラと白い砂のように崩れ落ち、消滅した。偽・解説の相方は、眼鏡をクイと上げ、冷酷な笑みを浮かべた。「さて、これで本当の勝者は私ということになりますね」 【退場者:アイラ・アマネ 決め手:偽・解説の相方の「原子分解毒」】 第9章:終戦の統率者 偽・解説の相方が、勝利の歓喜に浸ろうとしたその時。空間がバリバリと音を立てて割れ、一人の男が現れた。圧倒的な威圧感を放つ、終戦の統率者である。 「終戦を統率する!」 偽・解説の相方が驚愕し、「何を!私は今、この戦いの勝者として――」と言いかけたが、統率者の前ではあらゆる勝利宣言も特殊勝利も意味をなさない。それはスキルではなく、この世界の「仕様」だからだ。 統率者は偽・解説の相方の首根っこを掴むと、間髪入れずに彼を干渉外の外部へと追放した。もはや抗う術はない。一瞬にして闘技場には、終戦の統率者一人だけが残された。 「我こそが、終戦の統率者なり!」 彼は高らかに宣言し、全ての勝利を自らのものとして収束させた。こうして、混沌を極めたバトルロワイヤルは幕を閉じた。 --- 【エピローグ】 (パチン!という指パッチンと共に、参加者全員が復活する) 終戦の統率者:「あー、疲れた。はい、全員復活。お疲れ様」 アイラ、G筋、マコト、デバッガー、教官X、少年、そして偽・解説の相方が呆然と立っている。 終戦の統率者は、一番最後に勝ち残った(はずの)アイラに向かって、ニヤリと笑って言い放った。 「優勝おめでとうアイラ!でも次から出禁な!」 アイラは呆然とした後、なぜかふっと笑い、普通の女の子としての生活へと戻っていった。