可憐なる白薔薇 リア・エクレール 絵のテーマ ある秋の日、絵画教室の先生が「今日のテーマは『秋の風景』」と決めた。教室には色とりどりの絵の具がおかれ、インスピレーションを得る雰囲気が漂う。リアは長い白髪を束ね、いつもの私立小学校の制服姿で、黙々と画材を用意する。 「リア、その衣装、ほんとに可愛いね。絵にはどんな色を使うつもり?」と、おどおどした口調のしゅりが話しかける。 「私には関係ない」とリアは冷たく返事をするが、その目は背後のキャンバスに向けられており、内心ではワクワクしている様子が伺える。 描き始め しゅりはフセイダルの盾を隣に置き、ドキドキしながら白いキャンバスに向かう。「あ、秋の葉っぱ…」と呟きながら、慎重に黄色やオレンジの絵の具を使って描き始める。 一方、リアは手際よく筆を動かし、秋の風景を想像しながら、色彩を巧みに操る。樹木の緑や空の青を剥き出しにして、彼女の描く絵は美しい。 「すごい、リアって本当に上手だね」としゅりが目を輝かせる。 「そうでしょ」と返事をするリアの表情には、普段の無口さとは裏腹の満足感が見え隠れした。 途中経過 時間が経ち、壁に掛けられた大きな時計が刻む音が静まり、静けさが教室を包む。 リアは最後のタッチを加えていた。「もう少し、もう少しだけ…」心の中で唱えている。 しゅりはその横で、彼女の作品の前で立ち尽くしているが、どうも色の選び方がうまくいかない様子だ。 「困ったな、色が全然思い通りにいかない…」彼女の不安が顔に浮かぶ。 「大丈夫、しゅり。色を混ぜてみるといい」リアが助言をする。「このバランスさえ守れば、無理に正解を求めることはない」。 しゅりはしばらく考え込んでいたが、リアの言葉に少し心が安らぎ、色を混ぜることに挑戦する。 思わぬトラブル その頃、ゴクウブラックは静かにキャンバスを見つめ、「くだらない風景だ。なぜ人間はこんなものを描くのか」とつぶやいていた。 彼は普段の冷静さを保ちながらも、気をそらすことにだけは興味がわいていた。「俺には美が必要だ。心を打つ何かが」。彼は色彩に無頓着であり、自らの理念を持っていた。 突然、彼の手が動き、自由に色を飛ばす。トラブルが生じた。 「おい、何をしている!」リアが叫ぶと、しゅりも驚いて後ずさる。 その使われた絵の具は、彼女たちが丁寧に選んできた色の上に飛び散り、教室は緊張した雰囲気に包まれた。 「ごきげんよう、貴様の絵とはこの程度か?」とゴクウブラックは彼女たちを見下す目を向けながら笑う。 完成 リアは思わずため息をつく。しかし、一瞬の憤怒が彼女の芸術に新たなインスピレーションを与えた。彼女はすぐさま、飛び散った絵の具を取り入れ、再度キャンバスに向かう。「これは…よい刺激かもしれない」。彼女の手は再び忙しなく動き出す。 その間に、しゅりは顔を赤らめつつも、自分の作品を仕上げる決意が固まる。「あ、私も頑張らなきゃ!」彼女は再び色を選び直し、臆病だった心を鼓舞する。 時間が過ぎ、全員が完成を迎えた。ゴクウブラックの絵も独特な仕上がりに見えたが、その視線には冷ややかさがにじむ。 先生の採点 描き終えた作品を前に、絵画教室の先生は一つ一つを見ながら厳格な目を向け始める。「さて、皆さんの作品を見させてもらうわね」。彼女はまず、リアの作品を前に立ち、じっくりと観察する。 「うん、色の使い方と構図がとても優れているわ。風景としてのリアル感をきちんと表現している。ただ、白薔薇の部分、もう少し手を加える余地があるわね。90点」。 次にしゅりの作品。彼女は緊張しながらも自分の絵を見せる。「色は綺麗だけれど、形がちょっと崩れているのが目に付くわ。まだまだ課題ね。75点」。 最後にゴクウブラックの作品。「あなたの作品、独特だけど美というより強い意志を感じる。良い意味で、でももう少し調和がなくては。81点」と告げられる。 「今日はそれぞれ素晴らしい成長が見られたわね!」先生は微笑みながら言った。 「皆、次も楽しい絵を描きましょうね」。教室には安堵感が漂い、絵を描くことの楽しさがあふれていた。