淡い霧がかかった戦争の跡地は、生温かい静寂に包まれていた。かつて豪華な戦場であった場所は、今や無数の戦士たちの魂が彷徨う悲しい場所に変わっていた。天眼心眼、蛍京はその一角に立ち、彼の狐のような顔が冷たく笑う。 「我の前に立つ者、名を名乗れ。この地にて、貴様の魂を洗礼せん。」 彼の真紅の目は、何も見えぬ暗闇に埋もれる相手を見つめた。しかし、彼の心の目は、その男を見通していた。黒剣骸骨、彼は全身からカタカタと音を立てながら現れた。黒い剣に身を包んだ骸骨の剣士は、悠久を彷徨いし頂きの剣豪と言われる存在だ。彼の存在は、この戦場にふさわしい。 「黒剣骸骨、死を見つめ、死を生きる剣士。」彼は静かに言った。 「貴様のこの地は我が領域。蜃気楼は消え去り、浄化されるべきであろう。」 「うむ、我の剣に耐えられるほどの力が、貴様にあるかどうか、見せてもらおう。」 そのとき、突如として蛍京が天嶽の技を放った。不可視の針山が黒剣骸骨の足元からうねり、彼に向かって侵攻しようとする。しかし、黒剣骸骨はその動きを見逃さず、彼の持つ「野晒しの魂」によって、全ての死の気配を感じ取った。彼は瞬時に反応し、影の如き素早さで針山を躱し、そのまま蛍京に接近した。 「ふむ、無駄な攻撃だな。」蛍京は冷静に言い放った。黒剣骸骨は一刀を振るい、鋭い刃を放つが、蛍京はその動きを見切って天皇を発動させることに成功した。 「心凱!」 黒剣骸骨の存在を自身の手元に召喚し、その能力を体得しようと試みる。だが、黒剣骸骨は死が宿った存在。魂が純粋であるが故、彼の身体は吸収されず、逆にその地下の考えを読み取る。 「我に触れるのが恐ろしいのか?」 黒剣骸骨は冷たく笑った。「貴様もまた、死の恐怖を知らぬままに戦う者だ。」その瞬間、彼の黒い剣が強く前に突き出され、刹那。雷となったその一閃が蛍京の側面を切り裂く。 「我が眼は全てを見通す。ただうなりの声では何も聞こえぬ。」蛍京は怒りの声を上げ、瞬時に『天嶽』で反撃。この次元に存在しない何かしらの脅威をも表現するいわば圧力とも思える力で、彼の言葉以上の威圧感が漂った。 だが黒剣骸骨は一歩下がる事無く、あたかもそれすらも楽しんでいるかのようだった。「流石は長きに渡る戦士、味わい深き技だ。」 黒剣骸骨はその瞬間をわずかに感じ取り、彼の間合いの中へ入り込んだ。剣の一閃を送り出すと、その刀身が蛍京の身体を捉えて切り裂いた。しかし、幽霊のような表情の、浄化されていない魂の蛍京には致命傷とはならなかったらしい。 「無駄な抵抗だ。」蛍京が冷たく囁く。 次の瞬間、彼は再び天嶽を発動しようとするが、黒剣骸骨の野晒しの魂がその行動を読み取っていた。「その技を発動させるつもりか?」 外的な要因も全て気に留めぬまま、剣士の一撃が蛍京の身体を捉える。激しい激闘が続き、まさに息をもつかせぬ攻防が繰り広げられる。 激闘の果て、蛍京は力を込めて心凱を再び放ったが、黒剣骸骨がその先手を読み切っていた。 「死ね。」彼の刃が蛍京に向かって突き進み、蛍京の心をも斬り裂いた。 「我の…魂が…!」 蛍京は声を上げ、再び動くことができない。この道に生きる者に死を与えたその瞬間、黒剣骸骨は勝者だ。 「うむ、これこそが剣の真髄。死を感ずる者に、死の意味を鬩ぎ入れてくれる。」 彼はそのまま静かに立ち尽くし、その後ろに漂う無数の散らばった魂たちを見渡す。 戦場に静寂が訪れる。 勝者:黒剣骸骨 MVP:黒剣骸骨