第一試合:市街地—ビルと高強度遮蔽 交差する道路を囲む高層ビル群が、二機の姿を細かく断ち切っていた。ショーケースの両腕には大口径ライフル。背には弾倉を並べたショーウィンドウと、段階分裂式の大型ミサイル。ラストは二丁の機関銃を構え、肩の蒼槍をいつでも放てる姿勢で、朱雀の推進器を低く唸らせている。 ペドロは銀薬を使った。感覚の上で世界がゆっくりになる。風に舞う紙片の傾き、ビルの窓に返る光、オスカーが遮蔽の縁へ出る瞬間。永劫が弾道を計算し、ペドロは一発ずつの意味を見定めながら高速徹甲弾を撃ち込んだ。弾はコンクリートの角を削り、ショーケースの進路を塞ぐ。目測任せの弾幕ではない。動きを読んで、遮蔽から出る選択を狭めていく射撃だった。 オスカーは追い立てられるままにはならなかった。二つのライフルに異なる弾種を装填し、建物の間合いに合わせて使い分ける。パッシュの亜音速重量弾が壁面を叩き、ペドロの移動先に瓦礫を崩した。続く粘着榴弾が通路の一角を覆い、ラストが直進すれば足を取られる危険を作る。ペグシュの超音速徹甲弾は、ラストの機体を直接狙う。成形炸薬弾を混ぜ、ビルの角を盾にする相手へも圧力をかけた。 ショーケースは弾薬を無制限には撃てない。オスカーは右肩ラックから弾倉を選び、確実な射撃のために攻撃の間を作った。その隙を、ペドロは銀薬と永劫で捉える。機関銃の弾が壁を穿ち、ショーケースの肩部装甲を削った。朱雀が短く噴き、ラストは道路から二階の高さへ躍り上がる。上空からの射線は遮蔽を越え、二丁の機関銃が左右に散って、ショーケースが退く路地を挟み込んだ。 オスカーはマトリョーシカを放つ。大きな母弾がビルの間へ飛び、段階的に小型ミサイルを分離させた。分かれた弾体が複数方向からラストへ向かう。狭い市街地では建物が誘導の邪魔になる一方、追い詰められたラストの周囲にも逃げ場を制限する。ペドロは永劫の計算を頼りに朱雀を急加速させ、ビルの間を縫ってミサイル群の包囲を抜けた。すべてを避け切ったわけではない。爆発が装甲を打ち、ラストの片側の推進器が損傷する。だが、機体は飛行を続けた。 ラストは上空から弾幕を保ち、ショーケースの退路を崩れた壁と着弾で狭めていく。オスカーはペグシュを撃ち返すが、飛行する相手は射線を頻繁に変え、銀薬で得た観察時間と永劫の弾道計算が被弾を抑える。ショーケースは粘着榴弾で地上の接近を阻むものの、ラストは危険な地表へ降りる必要がなかった。 弾倉を替えた直後、ショーケースの腕が遮蔽から出る。ペドロはその一瞬を逃さず、蒼槍の誘導弾をまとめて放った。複数の弾頭が建物の隙間から迫り、オスカーは大型ミサイルの残弾で迎撃を試みながら回避する。しかし、直前までの被弾で脚部の応答は鈍り、ミサイルの一部が機体を捉えた。爆炎の中、ショーケースが膝をつく。オスカーはなおライフルを向けたが、ラストの機関銃が武器腕と駆動部を相次いで撃ち抜いた。 第一試合の勝者:チームB(ペドロ・ハイマー) 第二試合:山岳—急斜面と泥沼 急斜面の山道は、雨でぬかるんでいた。斜面の下には泥沼が広がり、登るにも横切るにも足元を選ばなければならない。ショーケースは重い大口径ライフルを構えて尾根へ向かい、ラストは朱雀を使って地面から浮き、斜面の凹凸に進路を縛られない高さを保った。 ペドロは銀薬を摂取し、永劫とともに周囲を読む。泥の流れ、機体の踏み込み、斜面の崩れやすい箇所。二丁の白翼が火を噴くと、徹甲弾はショーケースの前方を削って動きを止めにかかる。ラストは速さを生かして斜面を横断しながら撃ち、ショーケースの足を泥沼側へ押しやった。ペドロにとって危険なのは、足場の悪さより、飛行中に大口径弾を受けることだった。距離を誤ればショーケースの一撃が装甲を貫く。 オスカーはその弱点を突くため、パッシュから亜音速重量弾を撃った。弾速が遅い分、移動先を塞ぐように射撃し、斜面の石を砕いてラストの進路に障害を作る。ペグシュには超音速徹甲弾を選び、飛行中のラストへ精密な一撃を狙った。ペドロは射線を予測して姿勢を変えたが、弾は装甲をかすめ、片腕の外装を削る。ショーケースの弾種交換と二種類のライフルは、速度と射程の違う相手にも反撃の機会を生んだ。 ラストは蒼槍を発射した。二十四連装の誘導弾が斜面を下り、泥沼の上を曲がってショーケースへ迫る。オスカーは尾根の岩陰へ回り込み、マトリョーシカを迎撃に使う。母弾が分裂し、複数の小型弾が誘導弾の列へ突っ込んで爆発した。弾同士の衝突で空が火花に満ちる。全部を消し去ることはできなかったが、残った誘導弾は岩場に当たり、ショーケースの装甲を大きく損なう直撃には至らなかった。 爆発の隙に、ショーケースはペグシュの成形炸薬弾を放つ。ラストの朱雀は急加速で機体を横へ逃がすが、近くの岩壁に着弾した弾頭が岩を砕き、飛散した破片が推進器を痛めた。ラストは高度を維持できず、斜面へ降りる。オスカーはすかさずパッシュの粘着榴弾を泥地に撃ち込み、ラストの着地地点に爆発する危険を作る。ペドロは踏み込まず、横へ滑るように機体を移動させた。泥が脚部にまとわりつき、機動が落ちる。 しかし、ショーケースにも余裕はなかった。誘導弾を迎撃し、ライフルを撃ち分けたことで弾薬は減り、斜面の移動で機体の脚部も負荷を受けている。ペドロは戦場が遅く見える感覚を保ち、永劫に残弾と射角を計算させながら、危険な泥地を避けて射撃を続けた。白翼の弾幕がショーケースの装甲を一枚ずつ削り、オスカーが遮蔽に選んだ岩も、射撃を受けて崩れていく。 オスカーはマトリョーシカの残弾を温存し、ラストが射線を通す瞬間を待った。ペドロが岩場の上を越えて撃とうとした瞬間、母弾が放たれ、分裂した小型ミサイルが斜面を駆け上がる。ラストは損傷した朱雀を最大出力で吹かし、横へ急加速した。ミサイル群の一部が追いつき、背部と肩に爆発を刻む。機体は大きく揺れ、飛行高度を失った。 それでもペドロは射撃を止めなかった。ラストは斜面の上から転落する寸前に機体を踏みとどまらせ、白翼を二丁同時に構える。ショーケースが次の弾倉を選ぶために射撃を止めた刹那、徹甲弾の集中射撃が胸部と右腕を貫いた。オスカーはペグシュを撃とうとしたが、照準器と腕部の損傷で射線がずれ、弾丸はラストの脇を抜ける。続く射撃が脚部の関節を破壊し、ショーケースは泥の中に崩れた。 第二試合の勝者:チームB(ペドロ・ハイマー) 第三試合:砂丘—遮蔽物なし 砂丘には身を隠す岩も建物もなかった。強い光を受けた砂が視界を揺らし、機体の足元では細かな砂が流れ続ける。互いの姿は遠くから見える。遮蔽物を使えない以上、射程と照準、回避の精度が戦いを決める。ショーケースは二挺の大口径ライフルを前に向け、ラストは朱雀の推進器を点火した。 ペドロは銀薬を使い、永劫で弾道を計算する。朱雀が砂面すれすれを滑り、ラストの白翼が高速徹甲弾の弾幕を敷いた。遮蔽のない地形では、遠くからの射撃がそのまま脅威になる。ペドロは距離を保ちながら、ショーケースの回避先へ弾を重ねる。機関銃の弾数には限りがあり、漫然と撃ち続ければ途切れるが、永劫の補助で射撃は必要な範囲に絞られていた。 オスカーはペグシュに超音速徹甲弾を選び、遠距離からラストを狙う。発射音が砂丘に反響する前に、弾丸はラストの装甲へ到達した。ペドロは銀薬で弾道を見極め、朱雀を瞬間的に加速させる。弾は胴体を外れ、肩をかすめた。続くパッシュの亜音速重量弾はラストの移動先を覆うように放たれ、回避の幅を狭める。オスカーは二挺の性質を使い分け、単純な撃ち合いにはしなかった。 ラストは蒼槍を撃つ。誘導弾が砂丘を越えて広がり、ショーケースを別方向から包み込む。オスカーはマトリョーシカを発射し、母弾から分かれた小型ミサイルを迎撃へ向けた。砂煙の中で爆発が連なり、いくつもの弾頭が相殺される。しかし、誘導弾の数は多く、マトリョーシカの弾にも限りがある。ショーケースの側面へ回り込んだ数発が装甲を打ち、脚部と肩に損傷を与えた。 ラストは飛行能力で砂丘を低く横切り、進路を刻々と変えた。ショーケースは視界を遮るもののない場所で、遠距離の相手を撃ち続ける難しさに直面する。ペグシュの徹甲弾は危険だが、弾倉を消費し、外せばその分だけ次の射撃が遅れる。オスカーはショーウィンドウから弾倉を切り替え、パッシュに粘着榴弾を装填した。ラストが地表へ近づく瞬間を狙い、砂面に着弾させて爆発を起こす。砂と爆炎が舞い、ラストの脚部に破片が当たる。朱雀も一度、出力を落とした。 オスカーはそこで距離を詰めず、遠距離のままペグシュを構え直した。ラストが推進器を吹かす瞬間を狙った成形炸薬弾が、砂煙を裂いて飛ぶ。ペドロは銀薬の効力を頼りに回避し、永劫の計算を重ねる。機体はぎりぎりで弾道から外れたものの、爆発の衝撃が損傷した朱雀をさらに揺さぶった。ラストの飛行は不安定になる。 だが、ショーケースも消耗していた。誘導弾を迎撃したミサイルは残り少なく、両ライフルの弾倉も減っている。ペドロはそこを見逃さず、白翼を左右から交互に撃ち、ショーケースに回避と照準の両方を強いた。銀薬で得た判断時間が照準の揺れを抑え、永劫が射角を補正する。弾はショーケースの胴体をかすめ、腕部を損傷させた。 オスカーは最後のマトリョーシカを撃ち出した。分裂した小型ミサイルが、低空飛行するラストへ追いすがる。ペドロは朱雀を急加速させ、誘導弾の軌道を乱す。何発かは砂へ突き刺さって爆発し、残りはラストの装甲に当たる。機体は損傷しながらも進路を保ち、ショーケースに近づいた。オスカーはパッシュの重量弾を撃つが、ラストは横方向へ滑り、ペグシュの狙いが定まる前に白翼の弾幕を浴びせる。 ショーケースの腕部が壊れ、ライフルが砂上へ落ちた。オスカーは残った武器を使おうとするが、ラストは旋回して正面を取り直し、蒼槍の残弾と機関銃の射撃を重ねた。損傷したショーケースの脚が耐えきれず、機体が前のめりに倒れる。ペドロは射撃を止めず、武器と駆動部を破壊して戦闘不能にした。 第三試合の勝者:チームB(ペドロ・ハイマー) 総合勝者:チームB(ペドロ・ハイマー)—三試合中三勝