【試合前】 静寂が漂う荒れ果てた戦場、降り注ぐ灰色の雲の下、二人の対戦者は運命的な瞬間を迎えようとしていた。左側には何の前触れもなく胡坐をかいて寝ている少年、源家六郎目。その目は閉ざされており、まるでこの世のすべてを背負っているかのような威圧感をはらんでいる。しかし、その柔らかい寝顔は、静かに微笑み、明鏡止水の境地を保っていた。一方、右側には今田耕司先輩、その無表情は一切崩れることなく、鋭い視線で源家を捉えていた。彼の両手にはバタフライナイフが握られ、その冷酷さが一瞬でも油断を許さない雰囲気を醸し出していた。 普段は全く無価値と思われる源家だが、彼の剣才は一切の邪念を断ち切り、無瞬の雷のような速さを持っている。対照的に、無表情かつ直立不動である今田は、高IQという武器を持ち、瞬時に弾道を予測し回避することが可能だった。圧倒的な剣才と冷酷な戦術、両者の実力がぶつかり合うことは、もはや避けられない運命であった。 【合図を待つ】 空気が重く、緊張が張り詰めていた。審判の合図が響く音は、この場の静けさを破り、勝者を決する唯一の瞬間となる。両者はひたすらその瞬間を待つ。ただ、源家は静かな寝息を立て、目を閉じた状態を保っている。その姿は無防備にも見えるが、彼の内には確かな自信が宿っている。今田は微動だにせず、手に持つバタフライナイフの刃を光らせながら、冷ややかな目で源家を見据えていた。時間がゆっくりと過ぎる。周囲の空気が重苦しくなる中、緊張感は最高潮に達していく。 【刹那の見切り】 「合図!」 その瞬間、源家の閉じた目の奥に何かが瞬いた。彼は動かない。静止したまま、ただ思考が回り始める。合図を受けた瞬間、体は一切動かさず、意識だけがクリアになる。それと同時に、今田がバタフライナイフを思い切り振り下ろす。冷徹で無表情なその様子は、まるで死神が舞い降りたかのように不気味だった。源家は彼の動きをトレースし、自身の極限の脱力によって、全ての恐怖や不安を無効化する。彼は感じていた、今田の動きの刻を。 「来る......」 その刹那、源家の体が反応する。目を開けずとも、すべての呼吸さえも感じられるかのような集中力。その瞬間、六尺大刀が居合抜刀の姿勢を取る。今田のバタフライナイフが空気を切る音が聞こえた瞬間、源家は今田の右腕を斬り飛ばした。 【決着】 全てを断った瞬間、今田は身体を捻じ曲げることなく、冷静に自らの失った腕を見つめた。恐怖も、驚きも、痛みすら感じないような表情。だが、彼の表情は変わらずそこにあり、無言のうちにその場から消え去った。 源家六郎目は、高度な集中力で己の技を決して無駄にしなかった。彼は、再び静かな寝顔に戻り、全てを無にしてしまった。 勝者: 源家 六郎目 合図から攻撃にかかる時間: 200 ミリ秒