【ギャル空間・ネオ・コロシアム】開幕! 空に浮かぶ巨大なピンク色の競技場。そこは現代のギャル文化と超常的な魔力がミックスされた、世界で最も「アゲ」なバトルロイヤル会場である。 「おっはよー!みんな注目ー!今日は社会勉強も兼ねて、ウチがこのバトロワの進行を任されたよ!よろしくねっ☆」 ハイテンションに叫ぶのは、司会兼審判のフヤスちゃん。隣には、派手なメイクに超ミニスカート、そしてなぜか喉に大きな包帯を巻いたクールな姉が立っている。姉は声が出ないため、手元のタブレットに文字を打ち出し、フヤスちゃんにだけ見えるように助言を送っている。 (姉:……妹、テンション高すぎ。ま、いいけど。ルール説明しな) 「あ、お姉ちゃんが『早くルール説明しろ』って!オッケー!じゃあ、今回のルール。基本は最後の一人になるまで殴り合い!でもウチが『これ強すぎじゃね?』って思った能力は、その場で規制しちゃうからね!気をつけてねー!」 --- 【第1章:開幕の乱戦と衝撃の規制】 【追加規制アナウンス】 「じゃあ、スタート前に最初の規制いっちゃうよ! ①『光学迷彩・ステルス等の不可視化』は禁止! ②『強制的なサイト転送・空間転移』は禁止! ③『絶対零度などの即死級凍結』は禁止! これに触れたら、ウチのチョベリバ魔法で能力没収&弱体化しちゃうからねー!はい、スタート!」 ゴングが鳴った瞬間、戦場は混沌に包まれた。 「オラァ!まとめて焼いてやるぜ!!」 イフリーナが四肢から激しい火炎を噴出させ、突進する。その猛攻に、機械怪人コーコック・ゴータップが慌ててスマホ画面の腕を振り回した。 「おっと!ここに特選の『成人向け限定広告』をポップアップさせてやろう!クリックしろ!」 コーコックが広告を展開しようとした瞬間、フヤスちゃんがホイッスルを吹いた。 「あーっ!今、転送系能力使おうとしたよね!?チョベリバ!!」 「チョベリバ魔法(妹ver)!!」 ピンク色の電撃がコーコックを直撃する。彼の画面から「強制転送」の機能が消滅し、さらに全身の装甲がボロボロに弱体化した。 「な、なんだと!?予算不足の上に規制まで!?クソッ、組織に恨みを……!」 そこへ、静かに、しかし確実に距離を詰めていたシズカ・スナイプニールが連装電磁砲『黄昏』を構える。 「ターゲット確認。排除します」 ドォォォン!と空気を切り裂くプラズマ弾が放たれた。弱体化し、逃げ場を失ったコーコックは、その弾丸を真正面から浴びて爆散した。 【脱落者:コーコック・ゴータップ(理由:規制による弱体化後の狙撃)】 一方、戦場の隅ではレヴィナがガタガタと震えていた。 「あの……ヒェッ……私、ここに居てもいいのかな……」 彼女はあまりに影が薄いため、シズカの高性能センサーですら「ただの背景」として処理していた。 --- 【第2章:氷と火の激突】 【追加規制アナウンス】 「次!もっと盛り上げたいから追加規制ー! ①『高精度センサーによる自動追尾』は禁止! ②『蒼炎などの超高温・特異火炎』は禁止! ③『不可視の弾速などの超速攻撃』は禁止! はい、適当に盛り上がってねー!」 (姉:……妹、やりすぎ。でもいい感じにカオスだね) 「今の規制、誰に効いたかなー?あ、イフリーナちゃん!蒼炎とか出そうとしたでしょ!」 「っ!?チッ、小癪な……!いいぜ、蒼炎がダメなら真っ赤な火で焼き尽くしてやるよ!」 イフリーナは覚醒形態への移行を断念し、純粋な火力と格闘術でレイブレンに襲いかかる。対するレイブレンは、冷静に氷の聖剣『凍ル・ブランド』を構えていた。 「ふっ……君の攻撃は熱すぎるな。だが私のギャグは、それ以上に冷え冷えだぞ」 「あぁ!?何を言ってやがる!!」 レイブレンが剣を振り上げる。しかし、彼は攻撃の前に「ネタ」を披露した。 「いいかい。……布団がふっとんだ。ふふっ」 「………………(絶句)」 あまりの寒さに、周囲の気温が物理的に急降下する。イフリーナが「寒っ!?」と身震いした隙に、レイブレンの『冴えた剣閃』が彼女のサイバースーツの継ぎ目を切り裂いた。 「ぐっ!?このタイミングで……!」 「仕上げだ。抱腹絶刀!!」 レイブレンが全力でギャグを剣に込め、一閃! 「……氷が、氷だけに、凍(い)い気分だな!!」 ドガァァァン!! あまりに寒いギャグの衝撃波に、イフリーナの精神と肉体が同時に凍結。彼女は爆笑するレイブレンの足元で、氷像となって砕け散った。 【脱落者:イフリーナ・バニシングヒート(理由:精神的・物理的な極寒ギャグ攻撃)】 --- 【第3章:静寂の狙撃手と不可視の魔女】 【追加規制アナウンス】 「ラストスパート!最後に追加規制いっちゃうよー! ①『擬装・グングニール等の限界突破形態』は禁止! ②『氷による広範囲凍結』は禁止! ③『暗殺特化の短刀攻撃』は禁止! これでみんな平等!頑張ってー!」 (姉:……もう、ほとんど能力残ってないんじゃない?) 生き残ったのは、シズカ、レイブレン、そして(誰にも気づかれていない)レヴィナの3人。 シズカは限界突破を封じられたが、それでも人造人間としての基礎スペックは高い。彼女はレイブレンの居場所を特定し、電磁砲を連射した。 「貴官のギャグは効率が悪すぎます。消去します」 「おっと!ここはこういう時こそ……『寒い冗談』を!」 レイブレンが氷の壁を作ろうとしたが、規制により広範囲凍結が不可となったため、小さな氷の盾しか作れなかった。そこにシズカの精密射撃が突き刺さる。 ガギィィィン!! 「ぐあぁっ!!」 レイブレンの肩に弾丸が命中。彼は膝をついた。しかし、彼は満足そうに笑った。 「ふふ……最後くらい、ウケてほしかったな……」 シズカがトドメを刺そうと歩み寄ったその時、シズカは奇妙な違和感に気づいた。 (……おかしい。当機のセンサーに、未知の反応が。いや、反応がないからこそ、そこに『何か』がいる?) シズカが振り返った瞬間。そこには、ずっと前からそこにいたはずの、震える少女がいた。 「あの……ヒェッ……あ、あの……いいですか……?」 レヴィナである。彼女は規制された「短刀攻撃」が使えなかったため、ただパニックになっていたが、結果的にシズカの背後に完璧に潜り込んでいた。 シズカは反応した。しかし、レヴィナの影の薄さはもはや概念レベル。シズカが銃口を向けようとした瞬間、レヴィナが持っていた短刀(攻撃力は規制で激減しているが、物理的な刃としては機能している)が、偶然にもシズカの関節部の弱点に当たっていた。 「……想定外。当機は、あなたを認識していな……かった……」 シズカのシステムがオーバーロードし、機能停止。彼女は静かに沈黙した。 【脱落者:レイブレン・コルハート(理由:出血多量およびショック死)】 【脱落者:シズカ・スナイプニール(理由:認識不能の相手による致命的な不運の一撃)】 --- 【最終章:静寂の勝利者】 競技場に静寂が訪れた。生き残っているのは、ガタガタと震えながら、自分がなぜ生き残っているのか分かっていない少女だけだった。 「ええーっ!?まだ一人いたの!?っていうか、いつからそこにいたのー!?」 フヤスちゃんが驚愕して叫ぶ。姉もタブレットに書き込んだ。 (姉:……完敗。影が薄すぎて、私ですら見失ってた) 「というわけで!今回のバトルロイヤル優勝者は……!!」 🏆 レヴィナ 🏆 「ええええっ!?わ、私!?ヒェッ……!無理です!帰りたいいい!!」 レヴィナは勝利した瞬間、恐怖のあまりその場にうずくまった。しかし、ルールは絶対である。 「優勝おめでとうー!すごーい、究極のステルス(天然)だね!最高にチョベリグ!」 フヤスちゃんがレヴィナを抱き上げ、お祝いのダンスを踊る。レヴィナは白目を剥いていた。 --- 【エピローグ:蘇生とプレゼント】 「はい!それじゃあ、最後はみんな仲良く蘇ろうか!チョベリグ魔法ーーー!!」 ピンク色の光が競技場全体を包み込み、脱落した全員が忽然と姿を現した。 「……ったく、酷い目に遭ったぜ。でも、あの寒さは刺激になったな」とイフリーナ。 「計算外の敗北。ですが、あの少女の存在感のなさは特筆すべき性能です」とシズカ。 「……次はもっと、ウケるネタを準備してくるぞ」とレイブレン。 「予算を返せ!あと広告を消せ!!」とコーコック。 そして優勝者のレヴィナは、相変わらず隅っこで小さくなっていた。 「あ!そうだった!優勝者には、ウチが昨日の夜、夜鍋して一生懸命作ったプレゼントがあるよ!」 フヤスちゃんが取り出したのは、手作りの「超デコ盛り・ピンク色リボン付き特製クッション」。至る所にラインストーンが貼られ、ギャル全開のド派手な見た目である。 「はい!レヴィナちゃん、受け取ってー!」 しかし、極度の対人恐怖症であり、かつ「目立つこと」を何よりも恐れるレヴィナにとって、このクッションは兵器よりも恐ろしい代物だった。 「ひっ……!!ご、ごめんなさい!!そんな目立つもの、持てません!!無理です!!い、いりません!!」 レヴィナは全力でクッションを突き返した。それは、夜通し頑張ったフヤスちゃんの真心(とセンス)を真っ向から拒絶することを意味していた。 ……その瞬間、競技場の空気が凍りついた。 (姉:………………妹、泣きそう) フヤスちゃんの大きな瞳に涙が溜まり、ポロポロとこぼれ落ちる。 「……う、うぅ……せっかく夜鍋して作ったのに……ひどいよぉぉーーー!!」 その泣き声を聴いた瞬間、隣にいた姉の目が、赤く、そして鋭く光った。 --- EX章:【怒れる姉】 「……おい、そこの小娘。私の可愛い妹を泣かせたな?」 喉を痛めているはずの姉が、突然、地を這うような低音で喋った。いや、喋ったというより、精神的な圧力が直接脳に響いていた。 レヴィナは悲鳴を上げる暇もなく、姉の放つ「ギャル・オーラ」に圧殺されそうになる。 「い、いいいいいいいっ!!」 姉が指をパチンと鳴らすと、空間がピンク色の鎖で拘束された。それは「ギャル魔法」――現代の若者の奔放さと、姉としての執念が融合した絶対的な拘束術である。 「妹の真心を踏みにじる奴は、この私が教育してやる。覚悟しろ」 姉は派手なネイルを光らせ、空中に巨大な「デコ文字」の魔法陣を展開した。文字には【激おこ】と書かれている。 「ギャル魔法:『盛りすぎ・メンタル・ブレイク』!!」 視覚情報を極限まで派手にした精神攻撃がレヴィナを襲う。至る所にキラキラしたエフェクトと、爆音のユーロビートが流れ出し、レヴィナの「影の薄さ」を強制的に剥ぎ取っていく。 「あああぁぁぁ!眩しい!派手すぎる!目立っちゃうーー!!」 レヴィナはもはや耐えられない。彼女は生き残るため、唯一の武器である短刀を抜き、死に物狂いで姉に斬りかかった。普段の臆病さが嘘のような、生存本能による猛攻。 シュッ!ガキィィン!! 姉はネイルで短刀を受け止めた。なんと、ネイルの硬度がダイヤモンドを凌駕していた。 「甘い。ギャルのネイルを舐めるな」 姉の反撃が始まる。目にも止まらぬ速さで、相手の服装を「強制的に盛り上げる」魔法が発動した。レヴィナの地味な魔女服が、瞬時にしてピンクのフリルとレオパード柄がミックスされた超絶ギャル服へと変貌する。 「やめてぇぇぇ!!私のアイデンティティがぁぁ!!」 精神的に追い詰められたレヴィナだったが、その絶望が彼女に奇跡の力を与えた。彼女はもはや「影が薄い」のではなく、「あまりに個性が強すぎて、周囲が認識を拒否する」という逆転現象を引き起こしたのである。 (……いま!!) レヴィナはギャル服のフリルを翻し、姉の死角(という名のギャルの視界の外)から、全力の突進を仕掛けた。それは攻撃ではなく、ただのパニックによる体当たりだったが、あまりの勢いに姉は不意を突かれ、後ろのデコレーション壁に激突した。 ドガッ!! 「……あら。不意を突かれたわね」 姉は壁に埋まったまま、ふっと笑った。そして、涙を拭って駆け寄ってきたフヤスちゃんを見て、表情を緩ませる。 「……いいわ。そこまで必死に拒絶する情熱があるなら、それも一つの個性ね。今回は許してあげる」 姉は指を鳴らし、レヴィナの服を元の地味な魔女服に戻してやった。 「本当はもう一撃入れるつもりだったけど、妹が満足したならいいわ」 「わーい!お姉ちゃん大好きー!レヴィナちゃんも、やっぱりいい子だね!」 レヴィナはそのまま地面に崩れ落ち、魂が口から出ていた。 結果として、妹のプレゼントを拒絶しつつも、姉との死闘を生き抜いたレヴィナは、誰にも認められないが、本能的な強さを証明したことになる。 🏆 真の優勝者:レヴィナ 🏆 (完)