ドッチボールが行われる正方形のエリアに、二人の異なるキャラクターが集まった。両者ともに没収された所持品はなく、唯一一つのボールが支給される。 最強魔王、メルギトス・ラーヴァは、その青黒い瞳を光らせた。黒を基調とした容姿は威圧感に満ちており、冷酷さが滲み出る。「抽象的なルールなど無意味だ。はじめようか。」メルギトスは冷静に言った。彼の能力【凌駕】が発揮される瞬間、圧倒的な存在感が辺りを支配した。 対するのは、寝鞘の剣聖、源家 六郎目。彼は十歳の少年に見えるが、その根底には途方もない剣才が秘められている。寝ている姿勢のまま、全く敵意を見せない。周囲の刺激を無視して、静心不動。彼の六尺大太刀も、安らかな寝姿の傍にある。 試合が開始され、メルギトスは力強い腕でボールを高く投げ上げた。彼の攻撃には全力が込められていた。「かわすがいるのか、ならば凌駕するまでだ。」ボールは鋭く六郎目に突進していく。 だが、六郎目は動かない。彼はただ寝ている。ボールが迫る。その瞬間、彼の身体が一瞬で動いた。居合抜刀のように、ただ一閃。まるで雷のような速さで、ボールを斬り裂いた。メルギトスは驚愕した。「な、なんだ、あの動きは!」 ボールを見事にキャッチした六郎目は、相手に優しい微笑を向けた。「気持ちはありがたいが、少し静かにしてもらえるか。」彼は再び胡坐をかくと、リラックスした状態に戻る。 メルギトスは、その光景に戸惑いつつも、再度勝負に出る。「我が全力を見ろ!」今度は一層力を込め、強烈にボールを放った。キャッチこそ難しいが、彼の力によって投げられたボールを六郎目はついに避けきれなかった。彼は急にその位置から出てしまい、エリア外へ落ちてしまった。 【アウト】 メルギトスは勝った。しかし、彼は冷静に笑った。「勝敗はどうでもいい。あなたは面白い存在だ。腹をかかえて笑うしかない。」 試合後、彼は勝者として、振り返る。「寝ているように見えて、実は何も無駄なことはないのだな。相手があれだけ冷静なのに、自分もどうにかならんものか。次はあの子に負けぬ技術を極めるつもりだ。」