冒頭 重厚な石造りの円卓会議室。窓の外には灰色の雲が垂れ込め、帝都の不穏な空気を映し出していた。部屋の中には、国家の根幹を担う四人の権力者が集まっている。彼らの目的はただ一つ。諜報部から提出された「監視対象者」に関する報告書を精査し、彼らが国家にとっての脅威となるか、あるいは利用価値のある駒となるかを判定することである。 内務卿は、不安げに指先を組み合わせていた。彼女にとって、街の治安を乱す不確定要素は何よりも恐ろしい。対照的に、分析卿は眼鏡のブリッジを押し上げ、手元の資料に視線を落としている。その瞳には感情はなく、ただ効率的なデータ処理のみが行われていた。軍務卿は不機嫌そうに腕を組み、時折、机を拳で叩いて苛立ちを表現している。そして穏健卿は、柔らかな微笑みを浮かべながらも、鋭い観察眼で周囲の空気感を読み取っていた。 「それでは、始めましょう。諜報部より報告のあった二つの特異個体についてです」 内務卿が震える手で、一冊の分厚いファイルを開いた。