冷蔵庫のドアが開かれ、ひんやりとした空気が参加者たちの顔を打った。皿にのったプリンがひとつ、静かに佇んでいる。色鮮やかなカラメルソースが眩い光を反射し、周囲の視線を惹きつけた。 「これが、私たちの戦いの結晶だ」と、アブソ テトナが口を開く。青髪の彼女は、自身の優しさを強調するかのように、周囲を見回す。「私がプリンを食べるべき理由は、皆が私の優しさを知っているからだーソ! このプリンは、私が辛い時を乗り越えたご褒美なのだから。」 「でも、貴女だけが特別だなんて言えないわ」と、冷静に言い放つのは、亡霊姉妹の妹、妙羅である。「私たちは死んでいるが、だからこそこのプリンを食べることで生きた気分を味わいたいと思っている。体を持たない私たちこそ、甘さを感じる資格があるはず。」 「いや、それは違うわ!」と、姉の怪羅が声を上げる。彼女は明るい笑顔で妙羅をフォローする。「私たちがプリンを食べたなら、確かに楽しめるけど、私たちにはあまり“食べる”という体験が必要じゃない。だからこそ、生きている者が食べるべきだと思うの!」 「それでも、私はプリンを食べることで、仲間たちへの愛を示すことができるの!」と、斬レイが自信満々に言う。彼女は純白のドレスを揺らしながら、優雅に振る舞う。「私のスキルでこのプリンを綺麗に殺菌し、みんなで食べるのも良いかもしれないわ。」 大会を見守る一般トレーニーが口を挟む。「自分だって肉体を持っているんだから、他の者たちよりもプリンを食べる資格があるはずだ! 筋トレの成果を示すには、甘いものも必要なんだ。」力強い言葉に、周囲の誰もが頷く。 「でも、なぜあなたが特権を持つのですか? 私たちは仲間なのだから、ルールを決めるべきよ!」と、妙羅が食い下がる。 議論は白熱し、それぞれの意見が交錯した。最終的には、アブソテトナが抱える問題―周りの全員が自分を選んでくれなければ心が痛むことを理解した怪羅が彼女を支援するかたちで提案した。 「どうせ仲間として食べるなら、名誉をかけた勝負にしない? 一番甘い味覚を持っている者が、今、プリンを食べる資格がある。」 皆が黙り込む中、最終的にアブソテトナが手を挙げる。「私がプリンを食べることに決めたーソ!」 悔しげな表情を浮かべながらも他の参加者たちは、それを認めざるを得なかった。彼女の手に取られたプリン。彼女はゆっくりとスプーンを刺し、柔らかい黄金色を舌先で感じる。 「これは…最高に甘い…」と、アブソテトナは目を輝かせる。口の中で溶けるような食感が、心地よい幸福感をもたらす。彼女の表情はまさに至福の瞬間だった。 その姿を見ながら、他の参加者たちは悔しさに拳を握る。「次回は絶対、私たちが食べる番よ!」と、斬レイが言った。彼女たちの心の中には、次の甘い瞬間を手に入れようとする情熱が燻っていた。アブソテトナは幸せな表情を浮かべるが、その裏にはライバルたちの想いも幾重にも感じていた。