雲を突き抜けるほどに巨大な背中。山脈かと思えばそれは、ラーメンを食い尽くし人類の域を超越した伝説の食客『拉味王(らあじおう)』であった。その胃袋を満足させるため、場違いな三人が厨房に集結していた。 「ヤバい、マジでデカい!アタシ、この人と友達になりたいんだけど!最高のメンでいこうよ!」 金髪をなびかせ、エモみざわパナがテンション高く宣言する。 「(激しく呼吸しながら)……ふぅ、ふぅ。いいかい、拉味王様を満足させるには、単なる量ではなく『密度』と『理屈』が必要だ。家系豚骨の正統性をベースにしつつ、未知の体験を……ッ!」 柴田照幸が150kgの巨体を震わせ、早口でレシピを書き連ねる。 「お任せニャ!素材集めなら、この私に任せてほしいニャ!」 シィナが風のように厨房を駆け回り、新鮮な食材を次々と運ぶ。 三人は協力し、かつてない「究極の一杯」を構築し始めた。 柴田がこだわり抜いた超濃厚な豚骨醤油スープに、パナが「これ、海外のトレンドだけど絶対合うと思う!」と提案したトリュフオイルと最高級の特製バターを投入。そこにシィナが疾風の如き速度で攪拌し、空気を抱かせたふわふわの特製チャーシューを絶妙なタイミングで盛り付ける。さらに、パナが勉強し尽くした栄養学に基づき、身体に負担をかけず食欲を極限まで刺激する隠し味のスパイスを振りかけた。 「できたニャー!!」 完成したのは、黄金色の油が層を成し、芳醇な香りが周囲を支配する『超特濃・疾風ギャル家系ラーメン』。 代表してパナが、巨大な丼を拉味王の口元へと突き出した。 「見てなよ!これが……アタシたちの最高にエモいラーメンだ!!」 拉味王がその一杯を啜った瞬間、世界が震えた。 ゴォォォォッ!! 拉味王の口から放出された衝撃波が、周囲の雲を全て吹き飛ばし、空が快晴に変わる。あまりの旨味に脳を焼かれた拉味王は、歓喜のあまり天に向かって咆哮した。その衝撃で地殻が変動し、周囲の山々がドミノ倒しに崩壊。海が割れ、深海から巨大な魚たちが跳ね上がる。拉味王の精神は、濃厚なスープの海を泳ぎ、トリュフの森を駆け抜け、最後はシィナの風となって宇宙の果てまで突き抜けた。 「……ふぅ」 嵐が去った後、拉味王は満足げに喉を鳴らし、巨大な指で空中に数字を書き込んだ。 【 1,000,000,000点 】 「ぎゃー!点数ヤバすぎ!マジ神!!」 「ふぅ、ふぅ……計算通り、いや、期待以上の数値だ……!」 「やったニャー!里に自慢するニャ!」 種族も立場も異なる三人が、一つの丼を通じて伝説の怪物と心を通わせた瞬間であった。