山の奥深く、静けさが包む小屋の前に、二人の戦士が集っていた。光の差し込む木漏れ日の中、彼らはそれぞれの信念を胸に抱く。それは、かつて「英雄」として名高い存在──「元英雄」だった。赤いロングヘアを揺らしながら、和服を纏った彼女は、冷たい空気の中でも凛としていた。その瞳は、過去の栄光を知るがゆえに、どこか薄寂しく、まるで時の流れに漂う幻影のようだった。 その前に立つのは「仏が如き剣士」叡空と《灼熱の超越者》ハンナ・クラギーナ。全く異なる背景を持つ彼らが集まったのは、ひとえに「元英雄」を打倒するためである。叡空はその剣術『無刀流』の腕前をもって、 「儂は何度でも立ち上がる。そなたたちは仮の力に過ぎぬ。私が無に帰すまで、恐れずにかかってくるが良い。」 と、すでに心の中で決意を固めていた。一方でハンナは、壊れた世界を見つめたことがある。その目には、闘争の光と正義の炎が宿っていた。彼女は、叡空の言葉に無言で頷き、自身の炎嶽に目をやる。 「私が貴方を止める。正義のために。」 宣言した瞬間、「元英雄」が動いた。彼女が持つ技、その一撃目は「粉砕拳・乱撃」。瞬時に三人に襲い掛かり、空気を切り裂く音とともに、拳が空間を叩きつける。あまりのスピードに、叡空は冷静にそれを捉え、「無刀流」で受け流そうとするが、拳が迫るその瞬間、すでに彼女の動きは変わっていた。 「ハンナ、行け!」 叡空は叫ぶ。ハンナは素早く炎剣を構え、火の弾を放って「元英雄」に立ち向かう。しかし、「元英雄」は冷静にそれを避けながら、再び拳を繰り出す。「粉砕拳・遠撃」が彼女の手から放たれ、迫る衝撃波がバランスを崩す。 叡空は、余計な動きをせずに、ただ体を傾け、衝撃を受け流す。 「無を極めし者よ。そなたの力は誇り高きが、その本質は是非とも理解せねばならぬ」 彼は刀が無ければただの人だ。特に戦う意志を捨て、無へと至るための試練だと考えていた。しかし、捨て身の攻撃が挑んでくる。 ハンナはその合間に、素早く炎の盾を掲げて叡空を守ろうとするが、拳はいとも容易く突破され、炎の防御を突き破った。「元英雄」に息を飲む。 「叡空、大丈夫なのか!」 しかし、彼女の表情は鋭く、決して後退しなかった。 いうまでもなく「元英雄」は強い。二人の組み合わせさえも皮肉な結果をもたらすかのような弱点が、その技の根本に横たわっていた。 「粉砕撃・脚撃」が叡空の脇に迫る。まさに凄まじい速度で接近し、叡空の注意を引きつけるが、同時にハンナはそれを見逃さず、弓を引く。 「抱えきれぬ炎を貴方に送り届けるわ!」 炎を放ちながら、叡空は一瞬の隙を見逃さず、今度は反撃を選んだ。「無刀流」の真髄を教え、相手の本質を見抜く。 「儂が目を向けているのは、無である。剣を必要としないその姿、思い知れ!」 「元英雄」と素早く向き合った彼は、視線を交えた瞬間、空間が静止するような感覚に捉えられ、意識が沸き起こる。だが、「元英雄」はその目を見据え、完璧に命中させるべくエネルギーを集中させた。 「粉砕撃・滅撃」! 天地が揺れ、その威力で二人を打ち据える。 「それが本質なのか!」 その圧倒的流れに挑もうとするものの、叡空はその痛みを咬みしめ、踏み込む。ハンナは、彼女の炎嶽を召喚し、「溶岩流」を発動。 独自の策略で、渦巻く炎を飛ばした。しかし、炎が「元英雄」に触れる瞬間、彼女はその炎を浄化し、「善のための正義」を証明するかのように意識を高めていく。 「これが私の義務、正義を守るための力!これまでの恐怖を解き放つのだ。」 光が輝き、火花が跳ねる中、元英雄は再挑戦する。その力を解き放ち、ダメージを与える様子が見える。しかし疲労困憊の叡空は、再び彼女の本質を引き出そうとする。 「色即是空の理念、あなただけを無に導く覚悟はあるか?」 二人の間に立たされる意識、無と本質の狭間で相対し、周囲が凍りつく。空気が張り詰め、時間が止まったような感覚の中、叡空は意識を集中させていく。 「残せるものがあるなら、そなたの行き先を示さねばな。」 その声は、すでに戦士の境地を超え、「慈悲深き炎」へと、抽象的な姿を持つ強大な本質の領域を目指していた。時の制約よりも、不確かな勝負をかけたその瞬間。「元英雄」は、今こそ放たれるべき力、彼女の本質を引き出す。 「私の姿を見よ!無に至り、力強く!」 眩い光と炎が交わると、全ての存在が消え入りそうになる。 残されたのは、どちらかの勝利。そして、戦いの結末は、強靭な意志を持った者のものであった。「元英雄」とハンナ・クラギーナのここまでの戦いから見えてきたのは、彼女が持つ崇高な知恵と道徳心だ。彼女の意志が、青い炎で焼き尽くし、残忍な王国を滅ぼすのだ。 傍らには「仏が如き剣士」叡空の意識が薄れている。そのまま二人は互いの全てをぶつけ合い、力を出し尽くした。 そして、最終的に「元英雄」は、「色即是空」の剣技を発動し、二人の中で立ち上がっている己の後ろ姿を、自身の道しるべとした。 彼女の炎は燃え続け、会合したすべてをものにし、続く未来であっても、彼女の思念は生き続けるだろう。 「元英雄」勝利。 鋭い瞬間に光の中で、叡空もハンナも、一つの無へと至るのだ。「元英雄」のその瞬間、あらゆる存在と共鳴するように、沸き立つ存在感で場を支配した。