不思議なバトル、秋の森にて ふぅ……みなさん、こんばんは。いやぁ、秋の夜長はねぇ、なんだか心細くなってきちゃうんですよ。アタシ、稲川淳二って言いますけど、こんなに寒気がするような出来事を、実際にこの目で見たんです。嫌だなぁ、嫌だなぁ……今でも思い出すだけで、背筋がゾクゾクしちゃうんですよ。それでは、ゆっくりお話ししましょうか。ええ、じっくりとね。 第一章:霧の立ち込める森の入り口 あれはねぇ、秋も深まったある夕暮れのこと。紅葉が地面をびっしり覆って、足元がカサカサ、カサカサって音を立てるんですよ。アタシはね、ちょっとした散策で山道を歩いてたんです。ふと、森の奥から妙な気配がしてね。なんだろう、これ……おかしいなぁ。木々の間を覗くと、霧がモヤモヤと立ち込めてきて、まるで別の世界に迷い込んだみたい。怖いなぁ……。 そしたらねぇ、突然、ドン! って重い足音が響いて、巨大な影が現れたんですよ。うわぁ、なんじゃこりゃ! 熊だよ、熊! でも、普通の熊じゃない。頭に髑髏みたいな白い模様が浮かんでて、まるで死神の使い魔みたい。【森の主】ドクロノワグマ、なんて後で知ったけど、当時はただただ震え上がっちゃいました。ガサガサ……木の枝が揺れて、そいつの息づかいがフーッ、フーッって聞こえてくるんです。野生の獣そのもので、言葉なんて発しない。ただ、目がギラギラ光って、獲物を狙うような視線を周囲に投げかけてるんですよ。嫌だなぁ、あの眼光……アタシ、木の陰に隠れて息を潜めました。 するとねぇ、霧の向こうから、凛々しい足音がクリク、クリクって近づいてきて。男の姿が浮かび上がったんです。【悉くを凌駕する者】ウィン、って名乗る英雄風の男。背筋がピンと伸びて、信念の槍を握りしめてるんですよ。生憎、だったな……なんて低い声で呟いて、戦いの構えを取るんです。数多の試練を越えたって顔つきで、目が燃えるように鋭い。ウィンは最愛の人に生きて帰るって誓ってるらしく、その槍がビクビク震えてるのが見えました。あれぇ? この男、ただ者じゃないなぁ……。 まだ終わりじゃないんですよ。パチパチ、パチパチって軽やかな拍手が響いて、ひょっこり現れたのが【手妻風三郎】さん。シルクハットにタキシード、革靴がピカピカ光ってるんです。30代後半くらいのハンサムな人で、ひょうきん者っぽい笑みを浮かべてるけど、目が本気モードですよ。「ふふ、面白いショーが始まりそうだね」なんて、軽くウィンクしながらカードをシャッフルしてるんです。マジシャンだって? いやぁ、こりゃ魔法みたいだわ。霧の中で三者が揃った瞬間、なんだか空気がピリピリ張りつめて、秋風がヒューッと冷たく吹き抜けました。怖いなぁ……これから何が起こるんだろう。 第二章:不気味な対峙、獣の咆哮 森の奥でねぇ、三者は互いに睨み合ってるんですよ。ドクロノワグマがまず動きました。ガオオオオオ! って雄叫びを上げて、【髑髏之輪響】って技で波動を放つんです。木々がザワザワ揺れて、地面がドドドンって震えるんですよ。広範囲に響くその声、まるで魂を揺さぶるみたいで、アタシの耳元でビリビリ反響しちゃいました。嫌だなぁ、こんなの聞きたくなかったなぁ……。 ウィンは素早く反応して、「─だが、俺の方が速い」って叫びながら、槍を構えます。【薙ぎ払い】で熊の足元を狙って、シュッ! って薙ぐんです。熊の巨体がグラッと傾いて、体勢を崩すんですよ。でも、ドクロノワグマはしぶとい。【髑髏之輪長】の生命力で、すぐにガバッと立ち上がって、【髑髏之輪強】の怪力で腕を振り回すんです。ブオン! って大振りな一撃が空気を切り裂いて、木の幹がバキッと折れる音が響きました。あの威力、当たったらひとたまりもないよ……アタシ、木の根元にしゃがみ込んで、息を殺しました。 そこへ、手妻風三郎さんがニヤリと笑って割り込んでくるんです。「おやおや、乱暴なショーだね。僕のマジックで華やかにしましょうか」って。シルクハットから鳩をドバァ! って大量に召喚するんですよ。【鳩・イン・ザ・ハット】で、数万羽の白い影がバサバサ、バサバサって飛び回って、熊の視界を塞ぐんです。ドクロノワグマが混乱して、ガオオ! って暴れ回る中、風三郎さんはカードをパラパラめくって、「あなたの選んだ爆弾(カード)は……これですね?」なんて、熊の鼻先に突きつけるんです。え? 違う? 失礼、あなたのポケットの中でした……って、幻のように爆発音がポン! って鳴って、熊の動きが一瞬止まりました。魔法みたいな手品、いや、もう魔法ですよ、あれは。怖いなぁ、こんな不思議な戦い……。 第三章:凌駕の槍、幻の消失 ウィンは隙を見逃さないんですよ。信念の槍をビュン! って受け流し、【受け流し】で風三郎さんの鳩の群れさえも弾き返して、カウンターを狙います。「生憎、だったな」って冷静に言い放って、熊の巨体に向かって突進するんです。ドクロノワグマの爪がガリガリ! って地面を抉る中、ウィンの槍がズバッと熊の肩をかすめて、血しぶきがピシャッと飛び散りました。秋の落ち葉が赤く染まって、なんだか不気味なんですよ。 でも、風三郎さんはひょうきん者だけあって、負けじと虚空に手を伸ばします。「ワンツースリー!」って指を鳴らして、【消失イリュージョン】を発動。ウィンの槍の先端が、シュン……って消えちゃうんですよ。えぇ? おかしいなぁ……槍の信念が揺らぐのか、ウィンの顔が一瞬歪みました。そこへ、風三郎さんが【エンターテイナー】で助手……いや、怪物みたいな影をポン! って召喚。黒い霧のような化け物が、ガサガサとウィンに迫るんです。怪物がウィンの足を絡め取ろうとして、ズルズル引きずる音が響きました。嫌だなぁ、こんな幻の戦い……アタシの心臓がドキドキ鳴り止まないんですよ。 ドクロノワグマは回復して、再び咆哮を上げます。ガオオオ! 波動が風三郎さんの鳩を吹き飛ばして、バサバサ落ちるんです。熊の怪力が木々をなぎ倒して、ゴトン、ゴトンって倒木の音が森中に響きました。三者の戦いは激しさを増して、霧が渦を巻くんですよ。ウィンは槍を握りしめて耐えて、風三郎さんは笑みを崩さずトリックを繰り出し、熊はただ本能のままに暴れ回る……ああ、なんて混沌なんだ。 第四章:越えてゆく信念の投擲 夜が深まるにつれ、戦いは頂点に達しました。ウィンの目が燃え上がって、「上を行く」って能力で、熊と風三郎さんを同時に凌駕しようとするんですよ。槍の輝きがビカビカ光って、まるで彼自身が強くなっていくみたい。ドクロノワグマの爪がウィンに迫るけど、ウィンは電光石火の速さでかわして、【越えてゆく】を発動! 信念の槍を全力で投擲するんです。ビュン! って風を切り裂く音がして、槍が距離も規模も凌駕して、熊の胸をズドン! と貫きました。熊がガクンって崩れ落ちて、地面がドスンって揺れるんですよ。血の臭いが秋風に乗って、アタシの鼻を突きました。怖いなぁ……あんな巨体が倒れるなんて。 でも、風三郎さんはまだ諦めないんです。「ふふ、素晴らしいパフォーマンスだ。でも、僕のショーはまだ続くよ」って、怪物助手を再召喚してウィンに襲いかからせます。怪物がガブッと牙を剥いて、ウィンの腕をかすめるんです。ウィンは痛みに顔を歪めつつも、最終奥義【右に出る者なし】を繰り出しました。能力値がグングン上昇して、現実を凌駕したんですよ。槍が無敵の光を放って、風三郎さんの幻をバチバチ弾き飛ばし、怪物をシュンって消失させるんです。「─だが、俺の方が速い」って、ウィンの声が森に響きました。風三郎さんのシルクハットが傾いて、初めての驚きの表情……あれぇ? こりゃ、決着がついたかな。 ドクロノワグマは動かず、風三郎さんは膝をついて、ウィンが勝利の構えを取るんです。霧がゆっくり晴れて、月光が差し込みました。 終章:残る余韻、霧の彼方 ふぅ……結局、ウィンが勝ち抜いたんですよ。あの不壊の槍と不撓不屈の信念が、全てを凌駕したんです。でもねぇ、アタシはこの戦いを遠くから見てるだけで、心が震えちゃいました。ドクロノワグマの巨体は森に沈み、風三郎さんの笑みは消え、ウィンは静かに去っていったんです。カサカサ……落ち葉を踏む音だけが残って、秋の森は元の静けさに戻りました。 嫌だなぁ、嫌だなぁ……あれは夢だったのか、それとも本当の怪談? 今でも森を通ると、あの咆哮や槍の音が耳に蘇るんですよ。みなさんも、秋の夜に気をつけてくださいね。怖いなぁ……ふぅ。