第一試合:市街地—ビルと高強度遮蔽 ビル群の谷間に、二機の人型兵器が対峙した。窓ガラスの破片が風に散り、道路には転倒した車両や崩れた外壁が積み重なっている。視線も射線も遮るものが多い一方、建物は力場や砲撃を受け止めるほど頑丈だった。 ミレイカは周囲の建物を座標の格子に見立て、四機の無人機を別々の高さへ放った。ハイルフォルトも巫嶽の予測を受けながら、偽典を分散配置する。どちらも遮蔽の陰に機体を置き、互いの位置と攻撃の癖を探った。 先に動いたのはミレイカだった。無人機が左右の路地へ回り込み、肩のEN砲が時間差で火線を重ねる。槍斧を構えた機体は正面から突進せず、砲撃と無人機の包囲でハイルフォルトの退路を限定していく。ビルの角を砲弾が削り、粉塵が視界を覆った。 だが巫嶽は、砲撃の着弾そのものより、遮蔽を利用した射角の変化を読んでいた。ハイルフォルトは力場を使って飛来する砲撃の軌道を歪め、建物の壁へ逸らす。砲弾の一部は外れ、残りも装甲に浅い傷を刻むにとどまった。無人機が側面から接近すると、偽典が生む潮汐力がその隊列を乱し、四機は互いに距離を取り直すことを強いられた。 ミレイカはすぐに攻め筋を切り替えた。建物の陰を使いながら無人機を低空へ集め、EN砲の射線と槍斧の突進を同時に重ねる。ハイルフォルトは力場で砲撃を逸らすが、連続して複数の軌道を操るため、電力の消費は大きい。鳴動が周囲の破片や金属を回収し、電力へ変換するものの、戦場の物質をすべて瞬時に活用できるわけではない。 槍斧の鉤爪がビルの柱を掴み、ミレイカの機体が身をひねって遮蔽の隙間から飛び込んだ。斧刃がハイルフォルトの肩を打ち、堅牢な装甲をへこませる。ハイルフォルトも偽典の引き裂く力を敵機の関節へ向けたが、ミレイカは機体を捻って致命的な破断を避けた。力場は装甲を深く削ったものの、槍斧を握る腕は動きを保っていた。 距離が詰まると、ミレイカは無人機を一斉に突入させた。ハイルフォルトはアサルトアーマーを起動。機体中心から広がる爆発が周囲の敵弾を消し、接近していた無人機をまとめて破壊した。ビルの壁面が震え、道路の瓦礫が吹き飛ぶ。ミレイカの機体も爆圧を受けて後退し、装甲に損傷を負ったが、致命傷には至らない。 反撃の機会を逃さず、ミレイカは残る火力を集中させた。EN砲が至近距離から連続して火を噴き、槍斧の穂先がアサルトアーマー後のハイルフォルトへ迫る。ハイルフォルトはターミナルアーマーを展開し、追従する防壁で砲撃と斧刃を受け止めた。防壁が耐える間に、偽典はミレイカの機体の周囲へ複数の力場を置く。 ビルの壁が崩れた。ハイルフォルトは落下する瓦礫を直接ぶつけたのではなく、力場でその進路を曲げ、ミレイカの機体を囲むように押し寄せさせる。ミレイカは機動力でかわし、槍斧で瓦礫を砕きながら脱出を試みた。しかし、その動きは巫嶽の予測に重なる。ハイルフォルトが遠隔の引き裂く力を機体の脚部と背部へ同時に掛け、回避で露出した姿勢を崩した。 損傷したミレイカ機はなお槍斧を振るったが、追撃のための射撃弾数も無人機も残っていない。ハイルフォルトは力場で武器の軌道をそらし、装甲の隙間へ最後の圧力を集中させた。機体が膝をつき、駆動が停止する。 第一試合の勝者:チームA 第二試合:衛星—低重力 灰色の地表に、長い影が二つ伸びていた。大気はなく、音もない。低重力下では一度の跳躍が長い移動となり、砲撃の反動も機体を大きく押し流す。遮蔽物はクレーターと岩塊だけで、二機は互いの姿を見失いにくい。 ミレイカは無人機を四方向へ展開し、機体本体を低く保った。座標を測るように距離と速度を捉え、肩のEN砲でハイルフォルトの進路を挟む。ハイルフォルトは低重力を利用して素早く飛翔し、偽典の力場で砲撃の軌道を曲げた。弾は狙いを外れ、遠くの岩塊を砕く。 ハイルフォルトは直線的な接近を避け、弧を描いて移動した。巫嶽が敵機と無人機の位置関係を予測し、天地の大容量電力を使って複数の力場を同時に形成する。無人機は潮汐力に引かれて編隊を乱し、互いの射線が交差した。ミレイカは隊列を即座に組み直し、残った機体を散開させて牽制を続ける。 しかし、衛星の戦場では市街地のような高強度遮蔽がない。ミレイカは砲撃を継続できても、ハイルフォルトが軌道を操作するたびに狙いを調整しなければならない。弾数には限りがあり、外れた射撃はそのまま消耗となる。ミレイカは攻撃を絞り、ハイルフォルトが進路を変える瞬間を狙ってEN砲を撃った。 一発が装甲をかすめ、二発目は力場の偏向を受けながらも脚部を打つ。ハイルフォルトの機体は回転し、地表へ引き寄せられた。低重力ゆえ落下は遅く、体勢を立て直す猶予はある。だがミレイカはその時間を与えない。無人機が追いすがり、槍斧を構えた機体が大きく跳躍した。 ハイルフォルトは飛翔を止めず、力場を地表へ向けて形成する。斥力で落下の勢いを変え、敵の突進軌道を横へ滑らせる。槍斧は装甲を捉え損ない、ミレイカ機は地面を掠めて遠くへ流れた。ハイルフォルトはその隙に、偽典の力場で敵機の腕と肩を引き離すように圧力を加える。ミレイカは機体を回転させて拘束を逃れたが、無人機のうち二機は力場に巻き込まれ、地表へ叩きつけられた。 ミレイカはここでアサルトアーマーを起動した。極火力の多段爆発が機体を中心に広がり、接近していた敵弾を消し、周囲の無人機と地表の岩塊を吹き散らす。爆発の圧力はハイルフォルト機にも及び、装甲に明確な損傷を与えた。ハイルフォルトは飛翔方向を変え、致命的な直撃を避けたものの、機体の姿勢は崩れた。 ミレイカは残る無人機とEN砲を使い、崩れた姿勢へ追撃を集中する。ハイルフォルトはターミナルアーマーで防御を固めた。防壁が多段攻撃を受け止める間に、鳴動は周囲の破片を回収して電力を補う。ハイルフォルトは防御に専念せず、砲撃の射線を一つずつ歪めながら敵機へ接近した。 ミレイカの攻撃が途切れる。残弾が尽き、無人機も残り一機となった。彼女は槍斧を頼りに突進するが、ハイルフォルトは力場で穂先を逸らし、鉤爪の軌道を押し下げた。接触寸前、機体の推進方向を力場で反転させ、ミレイカ機の背後へ回る。 偽典が敵機の膝と肩を同時に捉えた。ミレイカは力任せに抵抗し、槍斧で地面を突いて脱出を図る。しかし、低重力で得た大きな運動量が逆に姿勢を崩し、機体が横倒しになる。ハイルフォルトは装甲の弱点を狙って圧力を集中させ、駆動系を破壊した。ミレイカ機は地表に沈黙する。 第二試合の勝者:チームA 第三試合:山岳—急斜面と泥沼 斜面の上部には岩肌が剥き出しになり、谷底には雨を含んだ泥沼が広がっていた。足場は不安定で、登れば滑落の危険があり、谷へ降りれば機体の脚が泥に取られる。両者にとって、地形そのものが移動と攻撃を左右する戦場だった。 ミレイカは機体の座標を地形に重ね、急斜面の岩棚と泥沼の境界を利用する。無人機は上空から散開し、EN砲は斜面を横切る角度に据えられた。ハイルフォルトは泥に沈まない位置を選びながら、巫嶽に地形と敵の動きを解析させる。偽典を使えば地面の物質にも力を加えられるが、斜面の崩落を不用意に起こせば自機も巻き込まれる。 ミレイカは射撃を急がず、無人機を使ってハイルフォルトの移動先を制限した。四機が斜面の上下に回り込み、EN砲の火線が逃げ場を狭める。ハイルフォルトは飛翔して包囲を抜けようとするが、泥沼上空では機体の姿勢制御に注意を要する。砲撃の一発が装甲を叩き、二発目は力場で逸らされて岩壁を砕いた。 ハイルフォルトは偽典で斜面の岩塊を支え、崩落を防ぎながら、力場の向きを変えてミレイカの無人機を引き離す。泥沼の表面が波打ち、ぬかるんだ土が機体の足元へ寄せられた。無人機は地表すれすれの位置で姿勢を乱し、二機が泥に突っ込む。残る二機は高度を上げ、砲撃と連携して反撃を試みた。 ミレイカは地形の不利を力で押し切る判断をした。機体が岩棚を蹴り、槍斧を大きく振りかぶって飛び込む。EN砲の追撃がハイルフォルトの退路を塞ぎ、無人機が側面から迫る。ハイルフォルトは力場で砲撃を曲げるが、すべてを無力化するには電力が要る。斧刃が肩装甲を削り、鉤爪が機体の腕を掠めた。 ハイルフォルトはアサルトアーマーを起動した。中心から広がる爆発が接近中の無人機を破壊し、飛来する弾を消し去る。爆圧で泥沼が大きく波立ち、ミレイカ機は岩棚へ押し戻された。機体の装甲には損傷が残ったが、彼女は即座に体勢を立て直し、残された火力を一点へ集中させる。 EN砲の連射が斜面を削り、崩れた岩と泥がハイルフォルトへ押し寄せた。ターミナルアーマーが機体を包み、落石と砲撃を受け止める。だが防壁は無限ではない。ハイルフォルトは防御を保ったまま鳴動で周囲の金属片と岩石を回収し、電力を補いながら、偽典で落石の進路を変えた。 崩落はミレイカを襲わず、かえって彼女の退路を狭めた。無人機はすでに失われ、EN砲の射撃も残り少ない。ミレイカはアサルトアーマーを起動し、再び多段爆発を放つ。泥と岩が吹き飛び、ハイルフォルトのターミナルアーマーに大きな負荷が掛かった。防壁が揺らぐ瞬間、ミレイカは槍斧を構えて最後の突進に移る。 しかし、ハイルフォルトは正面から受けなかった。巫嶽が予測した突進の線に合わせ、偽典の力場で機体の足元を横へ引く。泥沼に踏み込んだミレイカ機の姿勢が崩れ、槍斧の刃は目標を外れた。ハイルフォルトはその隙に敵機の脚部と武器腕へ力場を掛け、可動域を奪う。 ミレイカは斧を持ち上げようとするが、損傷した脚が泥から抜けない。ハイルフォルトは周囲の岩を直接ぶつけるのではなく、敵機を支える地盤を崩して機体を横倒しにした。装甲に力場を集中させ、駆動系を止める。ミレイカ機は泥沼に沈み、戦闘を続けられなくなった。 第三試合の勝者:チームA 総合結果 チームAが三試合すべてに勝利した。 総合勝者:チームA