起 アビス穴の深層。冷たい空気が漂うその場所で、シャミル=ノクターンと黎明卿ボンドルドは今まさに戦闘の準備を整えていた。周囲は薄暗く、深淵の底で渦巻く覚悟が、二人の心を一層高揚させている。 「おやおや、これが模倣龍とやらか。」ボンドルドが口元をほころばせながら、周囲を見渡す。「なんと…強者に出会えるとは、私にとって素晴らしい発見となるだろう。」 「戦うことは生きること。目の前の相手を全うするのみだ。」シャミルが輝く結晶の大弓を持ち、腰を落として構える。「それでも、どうか冷静に。相手は我々を模倣する力を持っている。」 その時、影の中から模倣龍が姿を現した。彼の黒い鱗に光が撫で、立ち上がる爪が閃光のように光る。 「今から貴様らの積み重ねてきた物が、我の糧になるのだ。」模倣龍の声は低く、力強かった。戦闘への期待感が彼の言葉に宿っていた。 承 模倣龍はまず、シャミルの結晶の力を模倣した。瞬時に空に結晶の矢が現れ、彼はそれを放たせる。 「結晶零雨!」シャミルが叫び、矢を放つ。しかし、模倣龍はすでに模倣した力を使っている。無数の結晶矢が空を覆い、二人に襲いかかる。 「ナイスショットだが、少々見劣りするな。」ボンドルドが反射的に「月に触れる」を発動し、伸縮性のある黒い触手を操る。結晶矢をすべて捉え、無力化される。 「おやおや、これは良いかも。」ボンドルドが目を輝かせて言った。「模倣龍…我々に挑むというのなら、私も本気で行くまでだ。」 そのまま、ボンドルドは「明星へ登る」を発動させ、複数の紫光線を模倣龍に向けて発射した。模倣龍は瞬時に回避を図るが、ボンドルドの攻撃は避けきれず、一撃を受ける。 「ふむ、なかなかやるではないか。」模倣龍が言った。その瞬間、模倣龍の体が一瞬揺らぎ、ボンドルドの能力を真似る姿に変わってしまった。 転 シャミルは驚愕した。「あれがボンドルドの能力…!」 いつの間にか、模倣龍はボンドルドの動きをコピーし、まるで彼そっくりの姿となっている。再び、模倣龍は紫光線を放つ。 「貴様の流れを借りる。」模倣龍の声が響く。だが、シャミルは素早く「煌王結晶」を展開し、仲間を守る結界を作り上げた。 「ボンドルド、反撃を!」シャミルが叫ぶ。 「素晴らしい結界だ。だが、もう一手あるだろう。」ボンドルドが笑みを浮かべて意気込む。「私の力を全うするために、方法は一つ。」 模倣龍は再び粘り強さを示し、ボンドルドの力を使いこなし、まるで二人と同じように次々と攻撃を繰り出してきた。 結 戦闘は長引き、それでも両者が工夫を凝らす中、模倣龍はシャミルの「天穿極煌矢」とボンドルドの「枢機に還す光」を模倣した。 「さぁ、貴様らの力を一気に体験する!」模倣龍が叫ぶと、結晶の奥義と絶対消滅の力が同時に襲い掛かる。 「だが、我々も負けていない!」シャミルが結晶の集中力で自身を鼓舞し、「煌」を放つ。一瞬、全てが静止した。 数珠のように連なった結晶矢が空間を貫通し、模倣龍に向かった。圧倒的な破壊力をもって、模倣龍は一撃で消される瞬間、「再生」を叫んだ。 「我が糧が、我を強くする。」その言葉が響いたところで、模倣龍は昇華された光の中に消えていった。 「勝ったのか…?」ボンドルドが息を呑みながら言う。 「戦いは終わった。しかし、我々の成長は続く。」シャミルが冷静に言い、二人は仲間として結束を深めた。 アビスの深層での戦いは、彼らの心に新たな決意を宿らせたのだった。