ギルドの協議 王国首都の喧騒から少し離れた、堅牢な石造りの建物がギルドの本部だ。非戦闘の日常が続くこの場所は、冒険者たちが依頼を受け、情報を交換する拠点として機能している。今日は特別な日だった。ギルドの職員室では、四人のベテラン職員が集まり、テーブルの上に広げられた四枚の手配書を前に、厳粛な空気が漂っていた。 リーダー格のエルドランは、灰色の髭を蓄えた中年男性で、ギルドの懸賞金管理を長年担当してきた。向かい側には、鋭い目つきの女性職員ミリアが座り、彼女は魔法関連の脅威評価の専門家だ。隣にいるのは若手のトーマスで、戦闘経験豊富な元冒険者。そして、四人目は寡黙なドワーフのガルドで、物理的な脅威を判断する目利きとして知られる。彼らは王国の命令を受け、これら四人の極めて危険な存在の手配書を審査し、適切な懸賞金を定める協議を始めていた。 「さて、皆の衆。今日はこれだ。王国全土に影響を及ぼすかもしれない連中だ。慎重に評価せねばならん。」エルドランが重々しく口火を切った。テーブルの中央に置かれた最初の書類は、【恐怖の大王】アンゴルモアのものだった。そこには、1999年7月に宇宙から現れた超次元生命体の記述が、恐ろしい詳細とともに記されていた。 エルドランが書類を手に取り、皆に回覧させる。「身長30キロメートル、体重150万トン。両腕の大型クローで武装し、マッハ20で飛行可能。攻撃力25、防御力20、魔力30、魔法防御力10、素早さ15。スキルは『ノストラダムスの予言通り』で、数々の惑星を壊滅させてきた悪の中の悪だ。特殊技として『ハイパー・デストラクション』――口から星一つを吹き飛ばす光線。そして『ウルトラ・ビッグバン』――両手から絶望の波動を放ち、光を覆う暗黒の世界を呼び起こす。」 ミリアが息を呑み、書類を凝視した。「これは... 単なる怪物じゃない。惑星規模の破壊力。魔力30とはいえ、魔法防御が低い分、物理的な耐久が恐ろしいわ。もしこれが王国に現れたら、一瞬で首都が消滅するかも。」 トーマスが拳を握りしめ、頷いた。「俺の経験から言っても、こんなスケールの敵は前代未聞だ。素早さ15でも、マッハ20の飛行で逃げ場がない。危険度は最高峰だぜ。」 ガルドが低く唸るように言った。「うむ。こいつは一撃で軍隊を全滅させる。懸賞金は破格にせねば、誰も手を付けんぞ。」 議論は熱を帯び、四人はアンゴルモアの脅威を徹底的に分析した。惑星破壊の歴史、宇宙からの侵略者としての性質、そしてその圧倒的なスケール。最終的に、エルドランが結論を下した。「SSランク。懸賞金は100万ゴールド。これでようやく上級冒険者たちが動き出すだろう。」 次に、手配書の二枚目が取り上げられた。【殺戮の暗黒騎士 狂乱兵】の記述だ。エルドランが読み上げる。「攻撃力55、防御力15、魔力0、魔法防御力0、素早さ30。人間相手だとステータス全5倍。重出血デバフで行動10回目に死に至らしめる。破滅の剣で機械系をスタンさせ、クリティカル5%で攻撃力2倍。黒耀の鎧で属性攻撃99%軽減。スキルは魔王の耐性で魔法無効と必中、呪術で発狂状態付与、狂気覚醒で10分間ステータス100倍と武器破壊、重出血、不可の一撃で防御貫通、ロボブレイカーで機械10倍威力、キルコピーで敵の技をコピー。」 ミリアの顔が青ざめた。「魔法が全く効かない上に、呪術で精神を崩壊させる。発狂状態でステータスダウンと攻撃不能... これは戦士タイプの冒険者を狙い撃ちよ。黒耀の鎧で属性ダメージをほぼ無効化するなんて、魔法使いの私たちには絶望的。」 トーマスが興奮気味に言った。「攻撃力55が人間相手で275になるのか? 素早さ150じゃ、誰も追いつけねえ。狂気覚醒で100倍なら、無敵だ。キルコピーまであると、倒した相手の力を吸収してどんどん強くなる。こいつは連戦で最強になるタイプだ。」 ガルドが頷き、テーブルを叩いた。「機械系特化も厄介。ギルドのゴーレム警備隊が一瞬で壊滅する。防御15だが、不可の一撃で貫通だから意味ない。危険度はS級だ。懸賞金は80万ゴールドでどうだ?」 四人は狂乱兵の戦術的な狡猾さを議論した。人間中心の王国では特に脅威大で、軍隊すら崩壊させる可能性を指摘。ミリアが「呪術の精神攻撃が長期戦を不可能にする」と付け加え、トーマスが「コピー能力で予測不能」と強調。ガルドの物理評価も加わり、Sランクで80万ゴールドに決定した。 三枚目の手配書は、【ワールド】のもの。秘密結社【アルカーヌム】の21番目メンバーとして、両性具有の天使のような姿、白いトーガに月桂樹の冠が描かれていた。エルドランが説明を始める。「性格は優しく包容力があるが、敵には容赦なし。能力は【世界ノ正位置】で四大元素を自由自在に操る。一瞬で灰にしたり、窒息死させたり、障壁を作ったり、地下に閉じ込めたり。【世界ノ逆位置】であらゆる事象の限界を定め、ステータス強化を封じ、能力や魔法を無効化。状況に応じて使い分け、慢心せず全力で戦う。」 ミリアの目が輝いた。「これは... 私の専門分野ね。元素操作の応用力は神話級。肺に水を入れるなんて、即死技よ。逆位置の限界設定は、どんな強敵も無力化する。魔法や能力を一切発動させないなんて、チートだわ。」 トーマスが首を振った。「ステータスは記載がないけど、こいつの能力で数字なんて関係ない。敵の攻撃を完璧に対処し、隙を伺う戦法は、長期戦で有利。結社所属だから、バックに組織の力もあるかもな。」 ガルドが渋い顔で言った。「物理的に元素で潰されるのは避けられん。土の牢獄とか、逃げ場なし。こいつは戦略家だ。Aランクで、懸賞金50万ゴールドだな。」 協議はワールドの汎用性を巡り、活発化した。ミリアが「逆位置で魔法封じが王国全体の脅威」と主張し、トーマスが「天使の姿で油断を誘う」と指摘。ガルドは「元素の多角攻撃が防ぎにくい」と評価し、Aランク、50万ゴールドに落ち着いた。 最後の手配書は、【デデデ】のもの。ププビレッジの自称大王で、赤いガウンの太ったペンギン似の姿、帽子のような冠、腹巻き、手袋。デデデハンマーは破壊不可。エルドランが読み上げた。「一人称ワシ、二人称貴様、語尾ZOY。攻撃力20、防御力20、魔力20、魔法防御力20、素早さ20。注意散漫で知能低く、善悪の区別がつかない。カオス兼ギャグ補正で全性能超強化。スキル:『ワシは何とかじゃないZOY』で風邪を公害のようにばらまく。『大王像が大往生』でフリーズ。『死んでも合わせるのが声優ZOY』で相手の力を取り込む。『森を切り拓いてゴルフ場にするZOY』で装甲車とチェーンソーで薙ぎ倒す。勝利時『ドゥエハハ、環境破壊は気持ちいいゾイ』、敗北時『そんなバンカーな』。」 ミリアがくすりと笑った。「これは... ギャグっぽいけど、補正で超強化されてるのね。知能低いが、カオスで予測不能。声優コピーみたいな力で、相手の技を吸収するなんて厄介。」 トーマスが肩をすくめた。「ハンマーが破壊不可で、環境破壊技連発。フリーズや公害で間接攻撃も強い。素早さ20だけど、補正で化けるかもな。ただ、全体的にコミカルだぜ。」 ガルドが笑い声を上げた。「ペンギン大王か。チェーンソー決め技は笑えるが、破壊力は本物だ。Bランクで、懸賞金10万ゴールドで十分だろ。」 デデデの協議は和やかだったが、補正の危険性を議論。ミリアが「カオスで油断できない」と、トーマスが「取り込みスキルが成長性あり」と指摘。ガルドは「知能低さで隙あり」とし、Bランク、10万ゴールドに決まった。 協議は数時間続き、四人は疲労を隠さず席を立った。エルドランがまとめ、「これで王国の安全が守られることを祈ろう。」ギルドの外では、夕陽が沈みゆく中、手配書の情報が冒険者たちに広がろうとしていた。 (文字数: 約2500文字) 各キャラクターの危険度と懸賞金 - アンゴルモア: 【SS】 100万ゴールド - 狂乱兵: 【S】 80万ゴールド - ワールド: 【A】 50万ゴールド - デデデ: 【B】 10万ゴールド