第一試合:市街地――ビルと高強度遮蔽 戦場は無作為に選ばれた市街地。高層ビルが幾重にも立ち並び、交差点には厚いコンクリート壁と装甲車両の残骸が散在していた。視界は短く、射線は絶えず遮られる。ミレイカの無人機四機は高低差を利用して左右に散開し、ビルの窓や路地からナマハゲの位置を探る。ナマハゲは軽量機を低く構え、二振りの刀を抜かずに周囲を走査した。高速解析予測型CPUは、子機が取る包囲経路と、ミレイカが槍斧を振るために必要な間合いを同時に見積もる。 ミレイカは遮蔽を無理に撃ち抜かず、二門のEN砲を別々の角度から撃った。片方は壁を削り、もう片方は逃げ道を塞ぐ。弾を浪費するのではなく、敵の選択肢を座標上から消していく射撃だった。ナマハゲは弱出力の指向性電磁パルスを連続して放ち、迫る無人機の制御を乱す。子機は墜落こそしなかったが、旋回が遅れ、包囲網に小さなほころびが生じた。 その瞬間、ナマハゲが建物の角から飛び出した。高速解析が砲撃の間隔を読み切り、弾道の隙間を通って一気に距離を詰める。ミレイカは大型槍斧を横薙ぎに振るい、刃と鉤爪で進路を制限した。ナマハゲは刀を抜き、熱を帯び始めた二刀で斧刃を受け流す。機体重量と武器の長さではミレイカが有利だが、狭い路地では大きく振り切れない。ナマハゲは短い斬撃を重ね、装甲の継ぎ目を狙った。 しかし、ミレイカは後退ではなく、わずかに斜めへ踏み込んだ。肩のEN砲が至近距離から火を噴く。ナマハゲはパルスを強め、砲撃の照準と機体制御に干渉させて直撃を避けたものの、強出力は連発できない。次の斬撃を放つ前に、無人機がビルの陰から戻り、左右の退路を塞ぐ。ミレイカの槍斧が鉤爪で刀身の一方を絡め取った。ナマハゲは即座に刀を捨てる判断をせず、柄を引いて拘束を解こうとする。そこへもう一門のEN砲が、遮蔽を迂回した低い角度から機体の脚部を撃ち抜いた。 ナマハゲは倒れながらも残る刀を振り、ミレイカの胸部装甲に深い溶断痕を刻む。ミレイカの機体も無傷ではない。だが、ナマハゲの脚部は推進力を失い、子機の包囲から抜け出せなかった。ミレイカは槍斧を構え直し、決着をつける一撃を振り下ろす。ナマハゲは最後までパルスを放つが、機体を動かすには至らず、戦闘能力を失った。 第一試合の勝者:チームA(ミレイカ・スカイアット) 第二試合:衛星――低重力 第二の戦場は衛星の荒涼とした平原だった。低重力の地面には大小の岩塊が点在し、遠方にはクレーターの縁が弧を描く。空気抵抗がほとんどないため、跳躍は長く、いったん動き出した機体は慣性を容易には止められない。二機は互いに距離を取り、地形と推進の癖を測った。 ミレイカは無人機を四方向に展開し、二門のEN砲を交互に撃つ。低重力では回避後の姿勢制御に時間がかかる。彼女は命中そのものより、ナマハゲがどの岩塊を足場に選ぶかを見定め、次の射線を置いていった。対するナマハゲは、CPUの予測を頼りに弾道と慣性を解析する。弱出力の電磁パルスを小刻みに放ち、子機の照準同期を崩しながら、岩陰を渡って距離を詰めた。 一度、ミレイカの砲撃がナマハゲの肩をかすめる。機体は回転しながら岩塊にぶつかったが、Nコアの効率的な出力供給で姿勢を立て直した。ナマハゲは納刀していた時間に蓄えた熱を双刀へ解放し、二振りの刃を高熱の帯として振るう。低重力の跳躍を織り交ぜた斬撃は、地上戦よりも予測しづらい。ミレイカは槍斧を盾のように使い、柄と鉤爪で刀を受け止めたが、斧刃の大振りは軌道を読まれやすかった。 ミレイカは子機を一斉に寄せ、挟撃を仕掛ける。ナマハゲは出力を上げた電磁パルスで前方の二機を止め、残り二機の射線を跳躍で外した。短時間の「活力」によって思考と機体速度がさらに高まり、ナマハゲはその勢いを無駄にしない。岩塊を蹴って軌道を変え、ミレイカの側面へ回り込む。刀の一閃が機体の腕部を切り裂き、槍斧の保持を不安定にした。 ミレイカは極火力多段アサルトアーマーを起動する。機体中心から爆発が広がり、周囲の敵弾を消しながら致命的な損傷を与える力が、低重力の平原に白い閃光を走らせた。ナマハゲは直前に跳躍して爆心から外れたものの、爆風と破片の衝撃で軌道を乱される。ミレイカはそれを好機と見て砲撃を重ねた。だがナマハゲは弱出力パルスを挟みながら着地地点を調整し、アサルトアーマー後の隙を狙って再び迫る。 決定打は、ナマハゲの二刀がミレイカの損傷した腕を捉えたときに生まれた。槍斧が離れ、ナマハゲは熱を保った刀で胸部と脚部を連続して斬り裂く。ミレイカは残る砲を撃とうとしたが、機体姿勢を保てない。無人機も爆発後の制御不良とパルスの影響で有効な援護をできなかった。ナマハゲは刀を構え直し、反撃不能となった機体を切り伏せる。ミレイカの操縦系が停止し、戦闘は終わった。 第二試合の勝者:チームB(ナマハゲ・アンドロイドI型) 第三試合:砂丘――遮蔽物なし 最後の戦場は、見渡す限り砂丘が続く遮蔽物のない荒野だった。強風が砂を巻き上げ、遠距離では輪郭が揺らぐ。隠れる場所はなく、射線を切る地形も限られる。武装の残量と損傷は試合ごとに持ち越されず、両者とも万全の状態で向かい合った。 ミレイカは無人機を高低差のある四方へ散らし、EN砲による交互射撃を開始する。隠れ場所がないため、ナマハゲの回避方向を限定しやすい。彼女は風向と砂煙の流れまで観察し、砲弾の軌道を細かく調整した。ナマハゲは正面からの射撃を避け、弱出力の電磁パルスを連発して無人機の連携を乱す。強く撃てば広い範囲を抑えられるが、連続使用の余裕は減る。CPUは必要最小限の出力を選び、機体の移動と刀の充熱を並行させた。 射撃を続けるほど、二機の間合いは狭まる。ミレイカは槍斧を前に出し、長いリーチで接近を阻む。ナマハゲは二刀を抜かず、砂丘の斜面を使って低く滑り込む。EN砲の一発が肩をかすめ、装甲を削ったが、軽量機は姿勢を崩さず、砲撃の間を縫って接近した。ミレイカは無人機を左右から突っ込ませ、包囲と追撃を重ねる。ナマハゲは活力を短時間解放し、速度と演算効率を高めて正面突破を選択した。 弱出力パルスが子機の動きをずらし、ナマハゲはその隙間を抜ける。ミレイカは槍斧を振り下ろしたが、ナマハゲは斧刃の軌道を見切って懐へ潜った。高熱の双刀が左右から交差し、槍斧の柄とミレイカの腕部を続けざまに焼き切る。ミレイカは肩のEN砲を至近距離で撃つ。ナマハゲは強出力の電磁パルスで照準と砲撃を妨げ、直撃を回避するが、その分だけパルスの余力を消費する。砲撃の熱と衝撃は完全には消えず、機体の側面装甲に損傷が残った。 ミレイカはアサルトアーマーを放つ。爆発は機体中心から一気に広がり、迫っていた刀撃を押し返し、周囲の弾や飛来物を消し去った。ナマハゲは爆心から離れようと跳んだが、砂地は足場を崩し、踏み込みの加速を鈍らせる。爆発の端に機体が巻き込まれ、脚部と片腕に深刻な損傷を負った。ミレイカも爆発の反動と直前までの斬撃で機体各所を損耗していたが、なお槍斧を握り直す。 ナマハゲは損傷した機体を無理に走らせず、残った出力を攻撃に集中した。納刀で蓄えた熱を最後まで刃に移し、砂煙に紛れて一歩だけ踏み込む。ミレイカの槍斧が横薙ぎに迫るが、ナマハゲは刀の一振りで鉤爪を弾き、もう一振りを操縦系の外装へ突き入れた。ミレイカは砲を撃とうとしたものの、腕部の損傷で照準が定まらない。ナマハゲも立っているのがやっとの状態だったが、最後の連撃で機体の駆動部を破壊する。ミレイカの機体が砂丘に崩れ、再起動できなくなった。ナマハゲもその場に膝をついたが、戦闘能力は最後まで残っていた。 第三試合の勝者:チームB(ナマハゲ・アンドロイドI型) 総合結果 チームAが1勝、チームBが2勝。総合勝者:チームB(ナマハゲ・アンドロイドI型)