運命の日がやってきた。4人の個性豊かな出場者たちが集まり、命懸けの「速く負ける」レースが今、始まる。 最初の参加者、耐久カスいマン。彼は戦う前からすでに幻想のように崩れ去り、ただの名ばかりの戦士となっていた。彼の攻撃力も防御力も0、何も持っていない彼は、かつての神話のようにただ消え去る運命にあった。 次に立ちふさがるのは猫魔法の使い手マーリア。彼女は自身の猫魔法によって、日常に溢れた重責を背負い込んでいた。もうすでに彼女は40匹の猫の世話をしており、勝負などどうでもよく、ただ猫たちの世話に追われていた。 そして、臨界JKこと押腹鳴美。彼女は冷や汗を流しながら、腹痛に悩まされていた。彼女の持つ「WORLD's END」が発動したら、周囲全員に多大な被害を及ぼすことになるのだが、彼女は一刻も早く敗北したい気持ちでいっぱいだった。 最後に登場するは、勝ちを知らない男・糧内猛。常に前向きで、希望を捨てない彼であるが、そんな彼ゆえに、敗北をすべき運命に苦しむことになる。とにかく全てが無駄になるオートユースレスネスで、彼は自らの運命を楽しんでいる。彼はそのポジティブさから、どこかで負けることに少しだけ期待を寄せている。 舞台は既に整っていた。近くのカフェから漂うコーヒーの香りと食欲をそそるおにぎりの匂い、そこに集まる人々の期待。これより始まる勝負。彼らは自身の速さを試すことになる。 「レース開始!」当局の告げた笛が響き渡った。 「早く負けるぞー!」と叫んだ耐久カスいマンは、彼の名に恥じず、立ち尽くしていた。もともと何も持たない彼は、瞬時に崩れ去り、パタリと地面に倒れ込む。 「…負けた、ね?」耳を塞いで呟くように言いながら、すでに彼の存在は消えて行く。 次に、マーリアはどうする?「ああ、猫たちの世話しないと…」と思いつつ、日常に戻ろうとする彼女。しかし、彼女の身体がすでに勝負から解放されなんとなく重い。 「うん、このままだとかなり負けるかも…なんとかしなきゃ」と彼女は自らを奮い立たせる。 一方、押腹鳴美はその場にしゃがみ込み、冷や汗を流していた。「あああ、放っておいてー!おなかがぁ…」と内なる声が叫ぶ。彼女はもう我慢できず、あっさりと敗北の意を顕にした。のたうち回る彼女の表情は、痛いほどの悲しみを醸し出す。 「やめて、放っておいてー!」彼女は叫ぶが、それこそが彼女の敗北をすぐに引き寄せていた。他の皆が見えていないようだが、押腹鳴美自身も自らの敗北の原因になっている。ついに、目の前に倒れ込む音が響いた。 最後に残るは、糧内猛である。「俺は、諦めない…!」彼は立ち上がるが、彼のスキルが「オートユースレスネス」なので、何もかもが無駄田となってしまう。 「本当に、勝ちなんて要らないけど、どうやったら負けられるんだ…?」悲しみの声で呟く彼。どこか戸惑いながらも「負けるのは得意だ!」と叫ぶが、次の瞬間ひどい状況へ導かれる。 一時、押腹鳴美がダメージを受けた瞬間、無慈悲な爆風が彼女を駆け抜け、「ああっ」ともがくが、もう逃れられない。 「受けてみろ…!!」と叫んだクリリンの気円斬が押腹鳴美を直撃し、彼女は強制的に敗北を果たす。まるで完成されたように何もかもが無駄になってしまった彼女にとって、これこそが彼女の結末であった。 続いて、彼女が倒れ込むのを見たマーリアは、日常から手を引かれ、彼女の身体が方向性を失って瞬時に地面にひっくり返る。「ああ、私も負けちゃった…」どこかの仮想の境地に辿り着いていた。 その後、「ええ、私のお腹が…!」の悲鳴と同時に、糧内猛が彼女の様子を見て、次第に自分が背負っていたものがどれだけ重かったのかを実感する。彼は、これを受けて何もかも失ってしまいそうな予感に襲われる。 彼にとっての敵は意外にも彼自身、「やっ、もう負けろ俺!」と叫んだ瞬間、全てが無駄になってしまった。 勝負の末、その日のレースは、耐久カスいマンが見事にトップとなった。 順位は以下の通りだ。 1位: 耐久カスいマン 2位: 猫魔法の使い手・マーリア 3位: 臨界JK・押腹鳴美 4位: 勝ちを知らない男・糧内猛 結局、全員が超絶無駄ひでかで勝負の果が全てやられたように見えた。 日が沈み行く中で彼らの悲しみと苦しみはすべて、静かな夕暮れに佇んでいた。