第一回戦:砂丘 戦場は果てしない砂の海、砂丘だった。灼熱の太陽が照りつけ、砂粒が風に舞い、視界をわずかに遮る。遮蔽物は一切なく、両者は互いの姿を遠くから捉え合うしかない。チームAのイレーナは機体「フリーザー」に搭乗し、順回転の熱機関を起動して冷気を周囲に放ち、砂をわずかに凍てつかせて足場を安定させる。対するチームBのハイルフォルト・バーゼンは、人型機動兵器「ヴァイス」に乗り込み、支援用計算機「巫嶽」を通じて敵の構造を即座に解析。特殊機構「偽典」の力場を低出力で展開し、砂嵐の影響を最小限に抑える。 戦闘開始の合図とともに、イレーナは脚部武装「氷炎ノ滑沓」を活かし、凍結式摺動で砂面を滑るように前進。右手の「氷炎ノ戦律」から氷・炎圧縮弾を連射する。弾丸は冷気を纏い、発射時に周囲の空気を急激に冷却し、砂をガラス状に固める軌道を描く。初弾はバーゼンの「ヴァイス」に向かい、肩の装甲をかすめて冷気の衝撃波を叩き込む。バーゼンは観察力を発揮し、「巫嶽」の予測で弾道を読み、「偽典」の力場を展開して軌道をわずかに歪曲。弾丸は砂丘に着弾し、小さな凍土の爆発を起こすが、「ヴァイス」本体には届かない。 バーゼンは反撃に転じ、両肩の「天地」蓄電池から「偽典」に電力を供給。力場を広範囲に張り巡らせ、イレーナの接近を阻む。力場は空気を圧縮し、超音速の飛行を可能にするが、砂漠の開放空間でその効果は最大限に発揮される。「鳴動」を起動し、周囲の砂粒を回収して高効率で電力化、力場の持続を強化する。バーゼンは「ヴァイス」を低空浮遊させ、イレーナの側面を狙って力場による引き裂き攻撃を仕掛ける。力場は目に見えない刃のように空気を切り裂き、フリーザーの左肩を浅く斬りつける。装甲が軋み、火花が散るが、イレーナの左手武装「氷炎ノ結晶」が即座に反応。高強度の盾が展開し、氷・炎の圧縮層で力場の侵食を防ぐ。 イレーナは冷静に戦況を分析。碧眼がバーゼンの動きを捉え、瞬間判断で熱機関を逆回転に切り替える。熱気が噴出し、陽炎が周囲を覆い、力場の視認を妨げる。脚部の熱動式摺動で加速し、盾を構えたまま接近。右手の機関砲を連射し、炎の圧縮弾を混ぜて攻撃。炎弾は熱波を伴い、砂を溶かすように着弾する。一発が「ヴァイス」の脚部に命中し、装甲を赤熱させる。バーゼンは「偽典」で軌道を歪曲するが、陽炎の干渉で精度が落ち、弾丸の数発が直撃。装甲の耐久力が削られ、内部システムに軽い異常が発生する。 バーゼンは飽和攻撃を想定し、冷静に対処。「天地」の蓄電池をフル稼働させ、「偽典」の力場を集中。広範囲に力場を発生させ、イレーナの周囲の空気を圧縮して移動を封じる。フリーザーの摺動装置が砂に食い込み、速度が落ちる。バーゼンは「ヴァイス」を超音速で旋回し、力場の切断波を連続発射。盾が何発かを防ぐが、一撃がフリーザーの右腕に食い込み、機関砲のバレルが歪む。弾数も残り半分を切り、イレーナはオーバーヒートを防ぐ熱管理を優先し、冷気排出で周囲に細氷を発生させる。細氷は力場の干渉を受けにくく、バーゼンの視界を曇らせる。 中盤、イレーナは特殊武装「零式」を起動。熱機関の氷・炎圧縮機がフル回転し、強烈な冷気を一気に排出し、砂丘全体を霧状の凍気で覆う。バーゼンの「巫嶽」が敵の機構造を予測するが、視界不良で精度が低下。「ヴァイス」は力場で身を守りながら反撃を試みるが、イレーナの機関砲が冷気弾を浴びせ、蓄電池「天地」の一つを凍結させる。電力供給が不安定になり、「偽典」の出力が落ちる。バーゼンは「鳴動」で砂を電力化して補うが、凍気の中で効率が悪い。 終盤、バーゼンは想定外の対応を見せる。「偽典」を自機中心に集中し、力場シールドを展開。イレーナの連射を防ぎつつ、超音速で突進。力場の引き裂きでフリーザーの脚部を狙う。摺動装置が損傷し、イレーナの機動力が低下。だが、イレーナは合理的な戦術で対抗。熱気を逆噴射し、力場を熱膨張で乱す。機関砲の残弾を一気に吐き出し、炎弾の集中砲火で「ヴァイス」の装甲を貫く。バーゼンの堅牢な装甲が持ちこたえるが、内部の「偽典」が過負荷で一時停止。バーゼンは撤退を余儀なくされ、イレーナが追撃を加えて機体を機能停止に追い込む。 第一回戦はチームAの勝利。イレーナの熱管理と状況適応がバーゼンの力場を上回った。(約1980字) 第二回戦:山岳 戦場は険しい山岳地帯。急斜面や泥沼が点在し、足を取られやすい地形が戦いを複雑にする。イレーナは「フリーザー」を順回転で冷気モードにし、泥沼を凍らせて足場を確保。バーゼンは「ヴァイス」を力場で浮遊させ、地形の影響を無視して高所から観察。「巫嶽」が山の構造を解析し、敵の接近経路を予測する。 開始直後、イレーナは脚部の凍結式摺動で斜面を登り、右手の「氷炎ノ戦律」で冷気弾を放つ。弾丸は山風に乗り、バーゼンの位置へ。だが、地形が弾道を曲げ、命中率が低い。バーゼンは「偽典」の力場で飛翔物の軌道を歪曲し、無効化。反撃として「天地」から電力を供給し、力場の切断波を斜面越しに発射。波は岩を削り、イレーナの盾「氷炎ノ結晶」が受け止めるが、衝撃で機体が後退。泥沼に足を取られそうになるが、冷気排出で即座に凍結。 イレーナは碧眼の判断で迂回路を選び、熱機関を逆回転に切り替え熱気モード。陽炎を発生させ、視界を妨げて接近。機関砲の炎弾を連射し、泥沼を蒸発させてバーゼンの浮遊を乱す。一発が「ヴァイス」の肩に命中、蓄電池を熱ダメージ。バーゼンは冷静に「鳴動」を起動、周囲の岩や泥を回収して電力化。「偽典」を強化し、力場で山の斜面を崩落させる。落石がフリーザーを襲い、盾が何とか防ぐが、脚部の摺動装置に泥が詰まり速度低下。 中盤、バーゼンは地形を活かした飽和攻撃。「偽典」の広範囲力場で複数の切断波を同時発射。イレーナは盾を展開し、冷気の細氷で波の軌道をずらすが、一撃が右腕を直撃。機関砲の弾数が残り3割に。イレーナは特殊武装「零式」で強烈な熱気を排出し、泥沼を沸騰させて蒸気爆発を誘発。バーゼンの視界が塞がれ、「巫嶽」の予測が狂う。フリーザーは熱動式で急斜面を駆け上がり、近接で盾を振り下ろす。力場が防ぐが、熱の圧縮で出力が揺らぐ。 バーゼンは対応力を発揮。「偽典」を自機に集中し、力場シールドで身を守りつつ超音速突進。切断波を至近距離で浴びせ、フリーザーの装甲を削る。イレーナの熱管理が功を奏し、オーバーヒートなしで反撃。冷気弾の集中で「ヴァイス」の脚部を凍結、地形の泥沼に引きずり込む。バーゼンは力場で脱出を試みるが、凍結が電力消費を増大させ、「天地」の蓄電池が限界に。 終盤、イレーナは合理戦術で仕掛け、陽炎と細氷を組み合わせた囮攻撃。バーゼンが力場を分散した隙に、機関砲の残弾を炎弾で叩き込む。「ヴァイス」の装甲が溶解し始め、「偽典」が停止。バーゼンは泥沼に沈み、機体が動かなくなる。イレーナが勝利を収める。 第二回戦はチームAの勝利。地形適応と持続力が勝因。(約1950字) 第三回戦:洞窟 戦場は暗く狭い洞窟。視認と移動が困難で、壁や天井が戦闘を制限する。イレーナは冷気モードで周囲を照らす細氷を発生させ、視界を確保。バーゼンは「巫嶽」で洞窟構造を予測、「偽典」の力場で狭い通路を広げて移動。 開始時、イレーナは摺動装置で慎重に前進、機関砲を壁際に構えて待機。冷気弾を放つが、反響で軌道が乱れる。バーゼンは力場で弾を歪曲し、無力化。「鳴動」で洞窟の鉱物を電力化し、「偽典」を低出力で展開。切断波を狭い通路に送り、イレーナの盾が防ぐが、衝撃で壁が崩れ足場が不安定に。 イレーナは熱気モードに切り替え、陽炎で暗闇を欺瞞。接近し炎弾を連射するが、洞窟の狭さで跳ね返り自機にも危険。バーゼンは観察力で陽炎の偽装を見抜き、力場シールドを張って耐える。反撃の切断波がフリーザーの脚を傷つけ、移動が制限される。弾数も残りわずか。 中盤、バーゼンは「天地」をフル活用し、力場の広範囲歪曲で洞窟全体を揺るがす。岩盤が崩れ、イレーナを閉じ込めようとする。イレーナは「零式」で冷気を爆発的に排出し、凍結で崩落を止めるが、機体にダメージ。盾の圧縮層が薄くなり、防御力低下。 バーゼンは想定外の狭路を活かし、超音速の短距離突進。力場の引き裂きで機関砲を破壊。イレーナは熱管理で耐え、残弾の冷気弾で反撃するが、力場に阻まれる。「ヴァイス」の堅牢装甲が持ち、電力が持続。 終盤、バーゼンは「偽典」を集中、力場でフリーザーを壁に押しつけ切断。イレーナの適応が遅れ、機体が大破。バーゼンが勝利。 第三回戦はチームBの勝利。洞窟の制限が力場の精密制御を活かした。(約1920字) 全体の勝者 チームA(2勝1敗)