第1試合:市街地――ビルと高強度遮蔽 アストラエア・ライズハートのメイデンは、交差点の中央に立ち止まった。装甲の多重構造「跡創」が重い機体を包み、両肩の「奇廻」が修復ドローンを待機させる。前方には白銀のスクイッドが大盾を構え、大槌を低く引いていた。市街地のビル群は、飛行と射線を遮る一方、接近を隠す高強度の遮蔽物でもある。 対するAzraelは、建物の屋上を縫うように移動した。無翼の形態でさえ高機動だが、天翼は時間とともに片翼、全翼へ移行し、形態ごとに機動力と火力を増す。電子眼「直死」はメイデン、スクイッド、修復ドローンを解析し、冷徹な搭乗者は、動かないメイデンを守るスクイッドが前線そのものだと見抜く。 Azraelはビルの陰から極音速で飛び出し、黒鍵をスクイッドの盾へ叩きつけた。スクイッドは超反応で大盾を傾け、刃の軌道を逸らす。だが一撃の重さと速度が盾を揺さぶり、続く攻撃で装甲に切り傷が走った。スクイッドは大槌を返すが、Azraelは建物の壁面を蹴って離脱。人型機動兵器の操縦者が自ら動かず、随行機も守護範囲を離れないという性質を、Azraelは距離と角度の選択に利用していく。 メイデンは「神怒」を放った。圧縮された大気が路面を走り、衝撃波がビルの窓を砕いてAzraelを捉える。Azraelは上昇して直撃を逃れたものの、爆風に機体を煽られ、翼の可変を早める。片翼が開き、次の突入はより鋭くなった。スクイッドが盾を差し出してメイデンへの攻撃を防ぎ、反撃の大槌を振るう。Azraelは黒鍵で受け流し、地上すれすれから上昇して大槌の届かない位置へ抜けた。 修復ドローンがスクイッドの損傷を補修する。メイデンは攻撃よりも回復を優先した。だが、奇廻の修復には時間が要り、Azraelが何度も攻撃と離脱を繰り返す状況では、損傷を帳消しにはできない。スクイッドはそのたびに正確に盾を合わせ、黒鍵を大槌で打ち払おうとする。超反応と高出力駆動は高速機にも対応するが、Azraelは一撃ごとに攻撃方向を変え、ビルの遮蔽を使ってスクイッドの反撃を空振りさせた。 全翼形態となったAzraelの背部ユニットが火力を増す。熱撃が通りの両側を舐め、ビルの陰に留まるスクイッドにも熱と衝撃が及ぶ。スクイッドは盾を構えて正面を防ぐが、続けて黒鍵が盾の縁を切り込み、二度目の熱撃が大槌の柄と脚部を損傷させた。メイデンは再び神怒を放ち、衝撃波でAzraelを遠ざける。市街地の遮蔽はメイデンの防御にも働き、Azraelの熱撃を受ける角度を限定したが、攻撃の回数と切り札の弾数には限りがある。神怒が幾度も通用するほど無制限ではない。 Azraelは一度、無翼形態へ戻す機動偽装を挟み、スクイッドの迎撃を誘った。盾がその動きに反応した瞬間、全翼へ復帰して上方から急降下する。大盾が黒鍵を受け止めたものの、翼の火力が至近距離で炸裂し、スクイッドは足場を失って倒れた。修復ドローンがすぐに取り付くが、起き上がる前にAzraelの黒鍵が関節部を断ち、盾を構えられなくする。 守護機を失ったメイデンは、跡創の耐衝撃性で熱撃をしのぎながら、最後の神怒を放った。Azraelは横へ逃れきれず衝撃波を受け、機体をビルの外壁へ叩きつけられる。しかし聖纏は貫通・切断に強く、電磁障壁も機体を守った。Azraelは体勢を整えると、攻撃の届く間合いへ直線的に突入。メイデンは動かず、修復ドローンも損傷を埋めきれない。黒鍵が装甲を切り裂き、次の一撃で機体の戦闘機能を停止させた。 第1試合の勝者:チームB 第2試合:山岳――急斜面と泥沼 山の斜面は雨でぬかるみ、低地には泥沼が広がっていた。メイデンは崩れやすい斜面の中腹で動かず、スクイッドが前に立つ。足場の悪さは、加速や急旋回を得意とするAzraelにも無視できない。地面すれすれの高速飛行は泥水や岩塊を巻き上げ、上空へ逃げれば攻撃の角度が限られる。一方、スクイッドはメイデンのそばから離れないため、険しい地形を利用して守護範囲を広げることはできない。 Azraelは直死の解析を進めながら、斜面を横切って接近した。天翼はまだ無翼で、形態が進む前の出力を抑えている。黒鍵の一撃が盾に当たり、スクイッドは足を泥に取られながらも受け止めた。大槌が反撃に振るわれる。Azraelは斜面に沿って上昇し、槌の軌道をかわすが、泥が崩れて岩と土砂が機体へ流れ込んだ。急斜面は単純な飛行速度だけで安全を保証しない。 メイデンは神怒を放つ。衝撃波が斜面の泥をえぐり、Azraelの飛行を乱すと同時に土砂崩れを誘発した。Azraelは翼を展開しかけて上方へ抜け、直撃を免れるが、崩落した泥と岩に機体の一部を打たれる。スクイッドは盾を斜めに構え、メイデンの前へ転がる岩を受け止めた。重い衝撃に脚部が沈むものの、修復ドローンが破損箇所へ向かう。 Azraelは無理に正面突破をせず、斜面を横切る動きでスクイッドに迎撃を強いた。スクイッドは超反応で槌を振り、正確に攻撃線を塞ぐ。高出力の駆動系により、高速で接近するAzraelにも対応している。Azraelは黒鍵を盾へ一度打ち込み、すぐに離れた。攻防のたびに泥が足元を滑らせ、スクイッドは移動を抑えざるを得ない。Azraelも低空で速度を落とし、山肌への衝突を避ける必要がある。双方の性能が地形に制約され、無償の一方的な攻撃にはならない。 片翼へ移行したAzraelは、上昇と急降下を織り交ぜた。熱撃が斜面を焼き、泥を硬化させる。スクイッドは盾でメイデンを守るが、広がる熱をすべて遮ることはできず、装甲に損傷を受ける。メイデンは奇廻を使い、ドローンでスクイッドを補修した。補修により守護は続くものの、Azraelは熱撃の後に黒鍵を差し込む連携で、修復の時間を与えない。スクイッドの大槌は翼の動きを捉えかけるが、機動偽装で翼を畳んだAzraelが軌道を変え、槌を空振りさせた。 Azraelが全翼となる前に、メイデンは二度目の神怒を放った。衝撃波が斜面を走り、機体を泥沼側へ押し戻す。Azraelは翼の推力を上げて踏みとどまるが、低地へ押しやられたことで姿勢を立て直す時間が必要になった。スクイッドはこの隙に大槌を振り下ろす。直撃すれば決定打になりうる一撃を、Azraelは黒鍵と障壁で受け流す。衝撃は機体を揺らし、装甲にも損傷を残したが、聖纏が致命的な破壊を防いだ。 全翼へ移行したAzraelは、泥沼の上を高く飛び、斜面を見下ろす位置を取った。高火力の熱撃を地表へ放ち、スクイッドの退路を狭める。スクイッドは守護位置から離れず盾を構え、メイデンも神怒を残して最後まで迎撃を続ける。だが、スクイッドの脚部は崩れた地面に沈み、盾の損傷も修復が追いつかない。Azraelは熱撃を囮にして正面の防御を誘い、横合いから黒鍵を振るった。盾の縁を越えた刃が駆動部を切断し、スクイッドは泥の中へ膝をつく。 メイデンの神怒がAzraelを再び押し返す。斜面の土砂が流れ、Azraelの翼にも打撃が加わった。しかし攻撃後、メイデンには追撃する機動力がなく、スクイッドの補修も間に合わない。Azraelは上空から熱撃を浴びせ、跡創の多重装甲を損耗させた。最後に黒鍵を突き込み、メイデンを停止させる。泥沼と斜面はAzraelの攻撃を乱す要素になったが、形態進行後の機動と火力、そして長期戦で積み上がった損傷が勝負を決めた。 第2試合の勝者:チームB 第3試合:衛星――低重力 低重力の衛星表面には、ところどころに岩棚があるだけで、身を隠せる場所は少なかった。地上に踏みとどまる力が弱く、押し合いや衝撃で機体が大きく流される。メイデンは動かず、スクイッドが大盾を構えて守る。Azraelは翼を広げずとも飛行できるが、重力の小ささは慣性を増し、加速した後の進路変更を慎重にしなければ岩棚に衝突しかねない。 直死が二機の配置を解析する。Azraelはスクイッドの盾に正面からぶつかるのではなく、岩棚を回り込む低速の接近を選んだ。黒鍵が大盾へ走る。スクイッドは超反応で盾の面を合わせ、打撃を逸らした。反動でAzraelは後方へ流され、翼の推力を短く噴かして姿勢を整える。スクイッドも低重力の影響で足場を離れかけるが、メイデンから離れない範囲で踏ん張り、大槌を構え直した。 メイデンの神怒が静寂を破った。圧縮大気の衝撃波は周囲の塵を扇状に吹き飛ばし、Azraelを押し流す。地面へ押さえつける重力が弱いため、Azraelはかなりの距離を移動したが、翼で角度を調整して岩棚への激突を回避した。Azraelは衝撃波が途切れた直後に反転し、熱撃を返す。スクイッドは盾で正面を塞ぎ、メイデンも跡創で衝撃を受け止めた。無遮蔽に近い衛星では、熱と衝撃から逃れる場所が乏しい。機体表面に傷が増え、修復ドローンが展開された。 奇廻はスクイッドの損傷を少しずつ修復する。スクイッドは盾で熱撃を受けつつ、接近したAzraelへ大槌を振るった。高出力の駆動による一撃は低重力でも威力を失わず、Azraelの翼をかすめ、機体を回転させる。Azraelは黒鍵を盾の縁へ滑らせ、刃で防御をこじ開けようとするが、スクイッドの精密動作が角度を調整して決定的な隙を与えない。守護者を無視してメイデンだけを狙うには、盾と槌の間合いを越えなければならなかった。 Azraelは時間を使い、天翼を片翼、次いで全翼へと移行させる。低重力で翼の推力が過剰にならないよう微調整しながら、旋回を広く取る。機動偽装で形態を一時的に戻し、スクイッドの反応を引き出したところへ、全翼の出力を解放した。熱撃が岩棚の周囲を焼き、盾を通してスクイッドへ継続的な負荷を与える。スクイッドは大盾を動かして射線を防ぐが、同じ場所に留まれば熱撃が集中する。守る対象から離れられない性質が、この試合では逃げ場を狭めた。 メイデンは神怒を重ね、衝撃波でAzraelの軌道を崩す。Azraelは岩棚に手をついて回転を止め、黒鍵を突き出して接近した。スクイッドは槌を振り下ろすが、Azraelは大盾の外側へ滑り、刃をスクイッドの脚部へ当てる。超耐性を持つ聖纏は切断を受け止め、即座の破壊は免れたものの、損傷は累積した。スクイッドは盾を引き戻し、Azraelを押し返そうとする。Azraelは翼の推力で距離を取って、熱撃を再開した。 修復ドローンは損傷したスクイッドへ集まるが、機体を完全に戦闘可能な状態へ戻す前に、Azraelの攻撃が続く。メイデンの跡創は高い耐衝撃性を保ち、神怒もなお危険な反撃手段として残っている。実際、最後の一撃はAzraelを大きく押しやり、翼に損傷を与えた。しかし、その攻撃でスクイッドの盾が傾き、守護線が一瞬だけ開く。Azraelは推力を噴かして低重力の空間を横断し、黒鍵をメイデンへ向けた。スクイッドは盾を戻そうとするが、損傷した脚部が動作を遅らせる。 Azraelの刃がメイデンの装甲を貫き、戦闘機能を停止させた。直後、スクイッドの大槌がAzraelを打ち、機体に深い損傷を負わせる。Azraelは無傷ではない。それでも聖纏と電磁障壁が致命傷を防ぎ、スクイッドは損傷と修復遅れで追撃を続けられない。低重力のため吹き飛ばされた両機の間に距離が開き、Azraelは姿勢を戻して最後の攻撃を行う。盾を失いかけたスクイッドを黒鍵が停止させ、戦闘の決着となった。 第3試合の勝者:チームB 総合勝者:チームB