第一回戦:市街地――ビルと高強度遮蔽 市街地のビル群は、視界を遮る壁であると同時に、射線を限定する迷路でもあった。Adamとグランドクロックは互いを視認する前から、遮蔽の配置と移動経路を探り始める。Adamの高性能AIは建物の角や窓を利用して射線を選び、グランドクロックのクレイは残存する足跡や反響から相手の進路を予測した。百年の戦闘経験を持つヘンリーは、予測をそのまま信じず、あえて一度だけ不規則な進路を選んで読みを揺さぶる。 先に射撃を始めたのはどちらでもない。両者は高火力をむやみに消費せず、遮蔽越しに位置を探る。Adamのリヴは光化学迷彩で路地へ回り込み、電磁鞭による拘束を狙う。だがクレイは、迷彩そのものを見破るのではなく、不自然に途切れる粉塵と瓦礫の動きから接近を察知。グランドクロックはビッグベンの斥力を路地へ広げ、リヴを直接捕捉する前に距離を作った。リヴは損傷を免れたものの、奇襲の好機は失われる。 Adamはその隙に、高貫通ENライフルをビルの外壁へ撃ち込む。弾丸は遮蔽を貫いてグランドクロックの進路を脅かし、装甲の一部を削った。防御に優れる機体でも、連射と貫通を重ねられれば無傷ではいられない。グランドクロックは短剣の斥力で射線を外しながら、右腕の引力で瓦礫を引き寄せ、Adamの照準を乱す。Adamは反応速度で射線を修正するが、建物の角に弾を吸われ、弾数を少しずつ失った。 グランドクロックはプラハの音速ミサイルを複数方向から放つ。市街地では建物が誘導を妨げる一方、ミサイルの挟撃は逃げ道を狭めた。Adamはビルの陰を連続して移り、ENライフルで接近する弾を撃ち落とす。全弾を処理することはできず、爆発の破片が装甲を叩く。ターミナルアーマーが起動し、機体を覆う防壁が短時間、損傷を大幅に抑えた。Adamはその防壁が続く間に距離を詰めず、敵の防御時間を観察する。 アブラージュの巨大接触核融合分裂機雷砲は、狭い街路を危険な地帯へ変えた。機雷を避けるため、Adamは大通りへ誘導される。グランドクロックは重量級の機体を隠さず、剣の引力と斥力を使って射撃の軌道を崩しながら前進した。Adamはバズーカを撃つが、感電弾は斥力によって直撃を外され、爆発が外装を揺らすに留まる。単発の超火力弾を失ったAdamには、同じ機会は何度もない。 ターミナルアーマーの効果が薄れた頃、Adamは黄金粒子を放出し、王冠のアサルトアーマーを発動する。機体中心からの多段爆発がビルの窓を砕き、接近するミサイルを消し飛ばす。グランドクロックも剣の力場と装甲で爆発を受け止めるが、広範囲の衝撃は避けきれず、脚部と左肩に深い損傷を負った。防壁の優位は消え、機雷砲の発射機構も破片で不安定になる。 それでもグランドクロックは退かず、引力でAdamを崩れた壁際へ引き寄せ、長剣で斬り込む。Adamは完全にかわしきれず、肩装甲を裂かれた。だが相手の踏み込みを読んだAdamは、リヴに電磁鞭を走らせる。鞭はグランドクロックの損傷した脚部へ巻きつき、短い拘束を生む。Adamはその瞬間を逃さず、ENライフルを近距離から連射。高貫通弾が装甲の継ぎ目を撃ち抜き、機体の姿勢制御を停止させた。 グランドクロックは剣を振り切ろうとするが、機体は応答しない。ヘンリーの経験とクレイの予測は最後まで戦術的な誤りを避けたものの、アサルトアーマーによる損傷とリヴの拘束が重なり、反撃の余地を失った。 第一回戦の勝者:チームA 第二回戦:山岳――急斜面と泥沼 急斜面の山岳地帯には、崩れやすい岩場と深い泥沼が点在していた。直線的な高速移動は危険で、重量級のグランドクロックには足場の選択が重要となる。一方のAdamも、軽快さを生かして自由に動ける地形ではない。両者は同じ制約を受けながら、相手の移動を誘う場所を探った。 クレイは斜面の傾斜と泥の深さを分析し、Adamが射撃を続けるのに適した岩棚を割り出す。グランドクロックはそこへ向けてプラハのミサイルを放ち、爆風で岩棚を崩す。Adamは落石を避けて斜面を横へ走るが、足元が泥に沈み、機体の推進に余分な出力を要した。ENライフルでミサイルを迎撃しながら、Adamは無駄弾を避けるため射撃を短く刻む。 リヴは迷彩を使って岩陰を移動し、グランドクロックの側面へ回ろうとした。だが泥沼では足跡を隠せず、クレイが進路を捉える。グランドクロックは斥力を横向きに放ち、泥と水を巻き上げて接近を拒む。リヴは流されながらも鞭を伸ばすが、届く前に岩へ叩きつけられ、一時的に動きを止めた。Adamは援護射撃を送り、グランドクロックの肩に損傷を与えるものの、斜面に遮られて決定打にはならない。 グランドクロックは右腕の引力で岩塊を引き寄せ、斜面を転がしてAdamの退路をふさぐ。Adamは高反応で岩塊をかわし、バズーカの感電弾を撃ち込む。弾はグランドクロックの胸部近くで炸裂し、電撃が外装を走る。重量級機体は大きくよろめいたが、ターミナルアーマーが即座に展開し、追従する防壁が損傷を抑えた。Adamは防壁の間に決着を狙わず、斜面の上方へ後退する。 そこへアブラージュの機雷砲が火を噴いた。機雷は泥沼の縁と岩場の間に落ち、爆発を連鎖させる。山肌が崩れ、Adamは急斜面を滑り落ちながら、黄金粒子をまとって姿勢を立て直した。グランドクロックは地形を利用して圧力をかけるが、機雷を使い切れば同じ封鎖は続かない。Adamは弾幕の隙間を読み、ENライフルで機雷をいくつか破壊する。連鎖爆発は両機を巻き込み、グランドクロックの防壁も消耗していった。 防壁が弱まる頃、Adamは英雄兵器へ左腕を換装。急加速突進からの螺旋剣を狙う。しかし泥沼の地面が加速を鈍らせ、さらにグランドクロックは斥力で機体を押し返す。剣先は装甲を浅く焼くだけに終わり、Adamは反動で斜面の岩へ衝突した。グランドクロックはこの機会に長剣を振るい、Adamの胴部を深く裂く。経験に基づく大胆な反撃は、確かな損傷を与えた。 だがグランドクロックも、泥に足を取られた姿勢で追撃を続けることはできない。Adamはリヴに復帰命令を出し、損傷しながらも起き上がった子機とともに連携を組み直す。リヴが岩場の上から電磁鞭を投げ、グランドクロックの剣腕を一瞬だけ拘束。泥に沈んだ脚部が踏ん張りを失い、斥力を狙った方向へ放てなくなる。 Adamは残る黄金粒子を解放し、アサルトアーマーを発動した。斜面を伝う多段爆発は岩と泥を吹き飛ばし、グランドクロックの近傍へ集中する。防御力の高い機体は即座には沈まなかったが、ターミナルアーマーの残余も機雷爆発ですでに消耗していた。脚部装甲が裂け、引力を生む右腕の駆動系が損傷。続くENライフルの連射が胸部を貫き、機体は斜面に崩れた。 ヘンリーは最後まで反撃を試みたが、地形を利用した戦術は両者に等しく危険をもたらし、グランドクロックの防御余力が尽きた後は、拘束と貫通射撃を止められなかった。 第二回戦の勝者:チームA 第三回戦:衛星――低重力 衛星の荒れた地表には遮蔽物が少なく、低重力のため、わずかな推進でも機体は大きく跳ね上がる。海も風もない静寂のなか、両機は相手の動きを音ではなく姿勢と噴射の変化から読む。クレイの空間把握はこの環境で特に働き、Adamの高性能AIも軌道計算を即座に更新した。双方に強みがあるが、遮蔽の乏しさは接近を狙う側にも射撃を行う側にも、逃げ道の限られた危険をもたらす。 グランドクロックはプラハのミサイルを広い角度へ放ち、低重力で長く残る弾道を利用してAdamを囲い込む。AdamはENライフルを節約し、迫るミサイルを必要最小限だけ撃ち落とす。残る弾は推進を続け、軌道を変えて背後へ回る。Adamは黄金粒子を噴かして姿勢を変え、直撃を避けるが、爆風の圧力と破片が機体の片側を削った。 Adamは無限光を展開する。三対六門の高連射高周波振動砲が一斉に火を噴き、広い弾幕が真空に近い空間を横切った。音響攻撃による疑似EMP効果は、空気を伝う音響に頼れない環境では本来の持続性を発揮しにくい。だが近距離の振動砲弾幕は依然として脅威で、グランドクロックの装甲に連続した損傷を刻む。ターミナルアーマーが展開され、追従する防壁が短時間、その弾幕を耐え抜いた。 防壁の後ろから、グランドクロックは双剣を構える。右腕の引力がAdamを引き寄せ、左腕の斥力が反撃の弾道を押し返す。低重力で急な方向転換を続けるAdamは、推進剤と姿勢制御の余裕を削られていく。クレイはその消耗を読み、アブラージュの機雷をAdamの進路へ放つ。機雷は互いに距離を保ったまま漂い、移動可能な空間を狭めた。 Adamはアサルトアーマーを発動する。機体中心から広がる多段爆発が、接近中のミサイルと機雷を消し去り、グランドクロックにも強烈な衝撃を与えた。防壁のあるグランドクロックは致命的な損傷を免れたが、爆発の範囲から完全には逃れられず、装甲と機動系が傷つく。アサルトアーマーの大技を終えたAdamも、黄金粒子の残量を失い、無限光の弾数も目に見えて減少した。 グランドクロックは損傷を抱えながら接近し、短剣の斥力でAdamを弾き飛ばす。長剣の引力が続けて働き、両機の距離が急激に縮まった。Adamは左腕の英雄兵器を展開し、内蔵推進器を点火。螺旋剣がグランドクロックの正面装甲へ迫る。だがクレイは突進軌道を予測しており、斥力を正面ではなく斜めへ放った。剣先は装甲を深くえぐったものの、心臓部を外れ、Adamの突進方向が逸れる。 その隙にグランドクロックが長剣を振るう。引力で姿勢を固定されたAdamは回避が遅れ、胴部を大きく切り裂かれた。リヴが電磁鞭で相手の剣腕を拘束しようとするが、低重力では鞭の軌道が安定しない。グランドクロックは斥力を放ち、鞭を振り払うと同時にリヴを遠ざけた。AdamはENライフルの残弾を撃ち尽くす勢いで反撃するが、ターミナルアーマーはまだ完全には崩れていない。 無限光の弾幕も限界に達し、疑似EMPの効果は決定打にならなかった。防壁の効果が薄れた瞬間を見計らい、グランドクロックは再び引力でAdamを引き寄せ、短剣の斥力を至近距離で解放した。損傷したAdamは姿勢を立て直せず、続く長剣の一撃で機体の中枢を貫かれる。黄金粒子の輝きが消え、Adamの機体は地表へ落下した。 グランドクロックも装甲と機動系に重大な損傷を受け、武装の多くを使い切っていた。しかし、ターミナルアーマーで弾幕を耐え、引力と斥力を使って英雄兵器の決定打を外したことが、消耗戦の最後に残った差となった。 第三回戦の勝者:チームB 総合結果 チームAが二勝、チームBが一勝。 総合勝者:チームA(Adam)