冒頭 帝都の最深部、厚い石壁と幾重もの封印術式に守られた円卓の間。そこには国家の舵取りを担う四人の権力者が集っていた。彼らの目的は、諜報部から提出された二つの「特異個体」に関する脅威判定である。報告書に記された名前は、【深淵たる恐怖の獣】アビステラー、および【境界の龍】青傘・アルビオン。 円卓を囲むのは、治安維持に執念を燃やす感情豊かな内務卿。知の集積体として冷徹に分析を行う分析卿。武力こそが正義と信じて疑わない粗野な軍務卿。そして、常に調和と平和的な解決を模索する穏健卿である。 「……さて、深刻な面構えの方々ね。でも、やることは一つ。この正体不明の化け物共が、我々にとって『排除すべき敵』か、あるいは『利用すべき道具』か。それを決めるだけよ」 内務卿がわざとらしく溜息をつき、机の上に二冊の分厚い報告書を叩きつけた。会議の幕が上がる。