ギルドの部屋は静まり返っていた。4人の職員たちは、テーブルを囲んでそれぞれの手配書に目を通している。床には様々な手配書が散乱し、至る所に危険なキャラクターたちの顔が描かれていた。それぞれの職員が手にした手配書は、彼らの仕事の核心部分を担っていた。賞金の設定は、彼らの判断によって決まるのだから。 「まずは鬼桃太郎じゃな。」一番年長の職員が口を開いた。彼の名はアマダ。年季の入った彼は、その太くて力強い指で手配書を指さした。 鬼桃太郎の画像は、逆立った髪に鉢巻を巻き、筋肉質な体が際立っていた。「彼はまず、何と言っても『ワシが桃太郎じゃわい』という強気な性格じゃ。攻撃力は40、防御力は30、再生能力も持っとる。軽い攻撃を弾く鋼の肉体を持ち、鬼の力を取り込んでしまったんじゃ。」 彼の言葉に、隣にいた若い職員のサナが口を挟む。「確かに危険じゃが、彼は再生能力があるため、死ぬことは少なくなったはずです。ボス級の鬼と戦っても、十分に耐えられるに違いない。」 アマダは頷く。「それでも、村に戻った後に彼は追放されてしまった。外見が変わりすぎたからじゃろう。」再生後の桃太郎は、異質な存在に変わってしまったというのだ。その姿が、彼がかつての桃太郎を信じる村人たちを引き裂いた理由でもある。 サナは再び手配書を見つめる。「彼の危険度は…Bランクだと思う。懸賞金は2500ゴールドにしよう。」 「承認。」アマダの言葉に他の職員も同意した。 次はナマコだ。サナが手配書を取り上げ、「彼は見た目は何とも言えないナマコじゃが、伝説のホオジロサメを殴り殺したらしい。それに、攻撃力は60もあって、防御力はたったの5。素早さも35と、なかなかのものよ。」 「その投げ技も侮れない。ホーミングするトライデントも強力じゃ。彼の攻撃は一度仕掛けられれば、返しが効かないかもしれん。」 他の職員の一人、トシが真剣な表情を浮かべる。「だが、防御力が低すぎるゆえ、致命傷を受ける危険がある。」 「それでも、彼は一撃があれば勝負が決まる。危険度はAランク。懸賞金は3000ゴールドが妥当じゃろう。」アマダは早々に結論を下した。 その後、鈴の侍・鈴重の手配書へと進んだ。彼の光る金眼が手配書の写真から生き生きとこちらを見返していた。「鈴重は鈴音刀術の使い手じゃ。攻撃力30、防御力15、魔力が20ある。技術が非常に高いが、素早さは30とイマイチじゃな。」 トシが続ける。「鈴重の技術には、鈴を用いた独特な攻撃方法が多い。素早く周囲を凍らせる攻撃もあれば、反撃に長けた技術もある。彼のスキルはかなりのもの。」 サナが考え込む。「ただし、彼も致命傷を受ける可能性がなくはない。危険度はBランク、懸賞金は2000ゴールドでどうか。」 「異論なし。」仲間の合意が得られた。 最後は、機械的な冷静さで不気味さすら漂わせるシズカの手配書だ。アマダは彼女の写真を見つめた。「シズカは、北欧の軍事企業が製造した麗機人じゃ。攻撃力は40、防御力が25、魔力はゼロ。素早さ25で、見た目はノルド社製の黒いサイバースーツに身を包んどる。」 「彼女の戦術は一方的な隠密戦術だから、その戦い方は予測もつかない。」トシが付け加えた。「それに、対戦相手が隙を見せたときの奥の手は…」 アマダは頷く。「冷静な判断力と急激な攻撃を仕掛けられたら、大きな脅威となるじゃろう。危険度はSランクだ。懸賞金は5000ゴールドにしよう。」 全てのキャラクターの危険度が決まった後、4人は一致団結して手配書に新たな価格を記入した。ギルドの窓口で掲示する準備が整った。 結果は次の通り: ・鬼桃太郎:危険度Bランク / 懸賞金2500ゴールド ・ナマコ:危険度Aランク / 懸賞金3000ゴールド ・鈴の侍・鈴重:危険度Bランク / 懸賞金2000ゴールド ・シズカ:危険度Sランク / 懸賞金5000ゴールド 彼らはそれぞれの手配書を掲示板に貼り、王国の冒険者たちがこの情報を見て動き出すのを待った。