第一試合:市街地 高層ビルの間を風が抜け、道路には倒れた標識や車両が散乱していた。遮蔽物は多いが、見通しの利く交差点もある。エミールのFalkeは盾を前にして慎重に進み、操縦と戦闘管制を分担するAIが周囲の射線を整理する。エミールは機械の表示だけに頼らず、路面の擦過痕やビル壁面に残る小さな傷から、敵の移動経路を推測した。 donutのpeccataは建物の陰から糖輪を投じた。放糖の関節が生む高速の一撃は、Falkeの盾を正面から削り、金属片を散らす。糖輪は磁界で即座に手元へ戻り、間を置かず二枚目が飛ぶ。エミールは盾を傾けて受け流し、発煙弾を道路へ撃ち込んだ。煙が路地を埋める。だがdonutは射線を失っても動きを止めず、甘皮の加速と旋回で別の角度へ回り込んだ。 糖輪が煙の中から低く飛び、Falkeの脚部装甲をかすめる。エミールは被弾の衝撃を逃がしながら後退し、自動小銃を短く連射した。弾はビルの角に当たって砕け、peccataの装甲を貫けない。donutは建物を盾にして接近し、回収される糖輪を手元に戻すたび、攻撃の間隔を詰めていく。エミールはその反復に合わせて射撃を切り、相手が投擲後に姿勢を整える一瞬を狙った。 小銃弾がpeccataの肩部関節をかすめ、放糖の動きがわずかにぶれる。しかし、致命的な損傷には至らない。donutは距離を詰め、二枚の糖輪を交互に振る。Falkeは盾で一枚を受け、もう一枚をサーベルで弾いた。接近戦では軽量機の取り回しが生きるものの、相手の旋回は速く、糖輪は回収されて即座に斬撃へ戻る。エミールは不用意に踏み込まず、ビルの柱を背にして敵の軌道を狭めた。 donutは柱を避けるために大きく旋回し、その瞬間、エミールは煙幕の残る路地へ飛び込む。小銃は残弾を使い切るまで短射を重ね、peccataの脚部と肩を狙った。何発かは装甲に弾かれたが、関節の動きを鈍らせるだけの損傷は積み重なる。donutは背面の多段連装プラズマミサイルを放ち、路地を爆風で覆った。Falkeは盾を構えて側面の建物へ身を寄せるが、爆風に押され、装甲が大きく焼ける。 両機とも深刻な損傷を抱えた。donutは再び糖輪を投げ、エミールは盾を捨てるように角度を変えて一枚をかわした。もう一枚がFalkeの胴を狙う。エミールはサーベルを抜き、刃を糖輪の軌道へ滑り込ませた。衝突の反動で糖輪の向きが逸れ、ビルの壁に食い込む。磁界による回収が働く前に、Falkeのサーベルがpeccataの肩関節を深く断ち切った。 donutはFinal Orderを試み、甘皮の超旋回で残る糖輪を振り回す。エミールは正面から受けず、崩れた車両の陰を回って回転軌道の内側へ入り込む。サーベルが胴部へ届き、peccataの姿勢制御が崩れた。最後のミサイルは発射されたものの、損傷した背面機構から狙いが逸れ、爆発はビルの上層を砕いただけだった。Falkeも動力系に大きな損傷を負い、片膝をつく。それでもpeccataは立ち上がれず、戦闘不能となった。 第一試合の勝者:チームA 第二試合:山岳 急斜面の山道は雨にぬかり、斜面下には泥沼が広がっていた。視界は稜線と岩場に分断され、足場を誤れば機体そのものが滑落する。エミールはこの環境を知る猟兵らしく、Falkeを岩棚沿いに進め、地面の硬さを確かめながら移動した。AIは傾斜と機体姿勢を計算し、無理な加速を抑える。donutは甘皮の安定性を活かし、泥を蹴って急旋回しながら斜面を上がってきた。 糖輪が岩の陰から放たれた。高速の刃がFalkeの盾を打ち、衝撃で機体が半歩滑る。エミールは盾を固定し、射撃で応じたが、弾丸は岩肌に跳ねる。donutは糖輪を回収し、投擲の角度を変えながら詰めてくる。山肌に遮られた射線では、小銃の利点を十分に出しにくい。エミールは距離を取るより、斜面の地形を利用して相手の速度を制限することを選んだ。 Falkeは発煙弾を斜面上方へ撃ち、白煙を風下へ流した。donutは煙にひるまず、甘皮の旋回で脇へ回り込む。糖輪が岩を削り、破片がFalkeの頭部装甲を叩く。エミールは目視できない刃の音を頼りに盾を合わせ、片方の糖輪を受け止めた。もう一方は足元へ向かい、Falkeの膝を浅く切る。機体が泥へ沈みかけるが、エミールは操縦を切り替え、岩棚の縁へ体重を移した。 donutは追撃に踏み込む。エミールはその動きを待ち、サーベルを抜いて斜面の上から振り下ろした。donutは糖輪を交差させて受け、刃を弾く。機体の頑強な脚部装甲が地面を捉え、押し合いでも優位を保つ。近接戦はdonutの望む距離になり、Final Orderの連続回転が始まった。エミールは盾で一撃を受けるたびに後退し、泥沼の縁へ誘導される。装甲盾は割れ、Falkeの肩にも深い裂傷が入った。 しかし、エミールは単純に後退していたわけではない。泥の表面にできた水の流れと、斜面の土の崩れ方を観察し、donutが踏み込む場所を選んでいた。Final Orderの回転が大きくなる瞬間、Falkeは脇へ踏み替え、発煙弾を至近距離で地面に撃つ。煙に加え、泥が跳ね上がり、donutの視界と足場を一瞬奪った。甘皮の安定機構が姿勢を保つものの、回転の勢いは泥に取られ、機体は斜めに流れる。 エミールはその隙に小銃を撃ち切った。弾丸は装甲を抜ききれないが、肩の放糖関節と脚部の接続部に集中し、動きをさらに鈍らせる。donutは糖輪を投げて反撃し、Falkeの脇腹を切り裂いた。エミールは致命傷を避けるために身を沈め、刃が通り過ぎると同時にサーベルを下から突き上げる。刃はpeccataの腹部装甲を貫き、機体の駆動系へ達した。 donutは磁界で糖輪を戻しながらなお立ち上がろうとする。エミールは距離を保ち、岩棚を背にして、最後の一撃を待つ。糖輪が飛ぶ。Falkeは盾の残骸を投げ出して軌道を逸らし、サーベルを斜めに払った。刃はpeccataの肩から胸部へ走り、機体を停止させる。Falkeも足場を失い、泥の中へ片膝をついたが、操縦系は生きていた。 第二試合の勝者:チームA 第三試合:海上 波が機体の脚を打ち、強風が細かな飛沫を横殴りに叩きつける。周囲に遮蔽物はなく、互いの姿を隠す場所もない。Falkeは盾を正面に構えて、風向きと波の周期を読んだ。小銃を持つエミールには射線が通る一方、軽量機のFalkeは強風と足元の揺れに大きく影響される。peccataは甘皮の安定機構で姿勢を保ち、肩を開いて糖輪を構えた。 donutは開幕から糖輪を左右に投げ分けた。風に乗った刃は予測しにくい軌道で迫る。エミールは盾で一枚を受け、もう一枚を小銃の短射で軌道から外した。銃弾は限られている。無駄撃ちを避けようとする間にも、donutは磁界で糖輪を回収し、投擲を繰り返す。海上では投げた刃が戻らない危険は小さく、糖輪の運用効率が高い。Falkeの盾は衝撃を重ねて損傷し、発煙弾は強風に流されて遮蔽として機能しにくかった。 エミールは小銃でpeccataの肩部を狙うが、donutは超高速旋回で射線を外す。数発が装甲をかすめただけで、弾倉は急速に減っていく。相手の脚部装甲は波打つ足場でも安定し、接近も離脱も自在だった。donutは背面のプラズマミサイルを連続発射する。広域の爆風が海面を吹き上げ、Falkeは盾を構えても衝撃を受け、機体の片脚が大きく損傷する。 エミールは波の盛り上がりを利用して一時的に姿勢を低くし、ミサイルの直撃を避けた。しかし、遮蔽物のない海上ではdonutの攻撃を完全に遮る手段がない。糖輪が次々に迫り、盾はついに砕ける。エミールはサーベルを抜き、近づく刃を受け流しながら反撃の機会を探した。donutは接近を許しつつ、糖輪を戻して手元へ引き寄せる。戻る刃そのものも攻撃に使い、Falkeの肩と腕を切り裂いた。 エミールは相手の投擲角度と回収の癖を読み、サーベルで一枚の軌道を押し下げた。刃は海面を打ち、飛沫を上げる。もう一枚が胴部へ向かうが、Falkeは身を捻り、浅い傷にとどめる。短い反撃の機会に自動小銃を撃ち切る。弾丸の一部はpeccataの脚部装甲に当たり、機体の姿勢をわずかに崩した。しかし、海上で安定性を支える甘皮を止めるには足りず、donutは体勢を立て直す。 donutはFinal Orderへ移行した。二枚の糖輪が旋回するpeccataの腕とともに連続して迫り、波しぶきの中で攻撃範囲が広がる。エミールはサーベルで刃を受けるが、Falkeの軽量機体は衝撃を支えきれない。何度か攻撃をかわした末、脚部の損傷が姿勢制御を崩し、Falkeは海面へ倒れ込んだ。エミールは起き上がろうとするものの、次の糖輪がサーベルを弾き飛ばし、続く一撃が胴部の装甲を貫く。 donutもミサイルを使い切り、肩部関節や脚部に損傷を負っていたが、機体はなお自力で動いていた。Falkeは操縦不能となり、エミールは戦闘継続できない。peccataは刃を構えたまま距離を取り、勝負は決した。 第三試合の勝者:チームB 総合結果 チームAが二勝、チームBが一勝。 総合勝者:チームA(Waldjäger エミール・シャイベルト)