王国冒険者ギルドの影の協議 王国首都の喧騒から少し離れた石造りの建物、王国管理下の冒険者ギルド。その一角に、職員専用の会議室があった。重厚なオーク材の扉が閉ざされ、窓には厚いカーテンが引かれ、外界の視線を完全に遮断している。部屋の中央には古びた木製のテーブルが置かれ、周囲を囲むように四人のギルド職員が座っていた。彼らはギルドのベテランたち――ギルドマスターの代理を務める中年男性のエルドン、情報担当の若い女性リリア、戦闘評価専門の屈強な戦士出身のガレン、そして財務を司る慎重派の老紳士トーマスだ。 この日、彼らの手元には四枚の手配書が広げられていた。それらは王国諜報部から直々に届けられたもので、封蝋には王家の紋章が押されていた。諜報部の使者が午前中に訪れ、「これらの脅威は王国全体の存亡に関わる。ギルドの判断を仰ぎ、速やかに懸賞金を設定せよ」と告げて去った。手配書はそれぞれ異様な存在を描写したもので、単なる盗賊や魔獣のものとは一線を画していた。エルドンはため息をつきながら、一枚目を手に取った。 「さて、始めよう。まずはこの……ヴェッスィと名付けられたものだ。紅い外皮に蒼く輝く六つの瞳、高さ2.6メートル、全長12.4メートル。会話不能で、非常に凶暴。殺したものの残骸を巣に持ち帰る性質らしい。集合意識を持ち、有機ネットワークから外れると自動死亡するが、群集行動が特徴で、数億体規模で動くそうだ。頑丈な外皮で、どの攻撃もほぼ無傷だが、酸に脆弱。特殊異常として、全滅せず永遠に湧いてくる……宇宙から紅き隕石のように飛来し、狩りに特化した形状で自己再生と俊敏さを保つ。本星の集合意識本体を潰さない限り、永遠に湧く蜚蠊並の生命力。来襲した星はすべて略奪・捕食され尽くし、生き残った者なし……これは、冗談じゃないな。」 エルドンの声は低く、重々しかった。リリアが手配書の記述を指でなぞりながら、眉を寄せた。「集合意識のネットワークが鍵ですね。個体を倒しても本体が残れば無限に再生する。危険度は極めて高いわ。単なる魔獣じゃなく、侵略種のようなもの。ギルドの冒険者で対処できるか……酸系の魔法使いを複数集めないと。」 ガレンが拳をテーブルに軽く叩きつけた。筋骨隆々の体躯が揺れ、声は荒々しい。「俺の評価じゃ、SS級だ。数億体? そんな群れが王国に落ちてきたら、首都は一夜で灰燼に帰すぞ。懸賞金は破格にしないと、誰も手を付けん。永遠に湧くってのは、根絶やしにするのが不可能に近い。撃破された個体の数を記録しろって注記もあるが、問題は本体だ。」 トーマスが眼鏡を押し上げ、帳簿を広げた。「財政的に厳しいが、脅威度を考えれば仕方ない。SS級で、1体あたり50000ゴールドはどうだ? いや、群れの規模を考えると、根絶任務として100万ゴールド以上か。諜報部が本星の位置を特定してくれればいいんだが……。」 議論は白熱し、ヴェッスィの危険度をSSと判定。懸賞金を根絶任務として200万ゴールドに設定した。次に、二枚目の手配書をリリアが手に取った。 「次はミラ・アゼル。白銀のハーフアップヘア、銀色の瞳、色白の女性。グレーのロングカーディガンに白いインナー、ロングスカートとローヒールパンプス。ミステリアスなお姉さん気質でお茶目。一人称はお姉さん、二人称は君……人間として振る舞っているが、正体は鏡を司る魔神、ミラ・アズラエル。魔神時は巨大な人型で、顔全体が鏡面の顔無し、六本腕。スキルとして正体を隠す技を持ち、ヘクサ・ハンズで鏡から腕を召喚して連続殴打、ヘクサ・ルクスで浄化の光を放つ殲滅技、ヘクサ・リフレクトで攻撃を防ぎ二倍反射。必殺技はミラーワールド・エクスパルジョンで、変身して鏡世界に引きずり込み、ラッシュ攻撃後に強力な浄化光を放つ……これは、潜伏型の脅威ね。人間界に溶け込んでいるところが怖いわ。」 エルドンが頷いた。「魔神か。鏡を使った技は予測不能だ。反射で冒険者の攻撃を跳ね返せば、味方を壊滅させる。浄化の光は聖属性か、悪魔や不死者には致命的だろうが、人間にも無差別らしい。危険度はS級。変装が上手い分、発見が難しい。」 ガレンが腕を組んだ。「俺なら正面からぶつかるが、あの反射は厄介だ。鏡世界に引き込まれたら終わりだな。懸賞金は捕縛か討伐で、50万ゴールドくらいか。魔神だけに、教会の聖職者も巻き込むべきだ。」 トーマスが計算を始めた。「S級で、討伐報酬として80万ゴールド。情報提供だけでも1万ゴールド追加で。」 三枚目の手配書に、ガレンが目を細めた。くすんだ灰色の大きな石壁のイラストが描かれていた。「人面壁、ジンメンヘキ。男、いい加減な性格で、口調は『おーす、オラ悟空(嘘)』……何だこのふざけた記述は。博多弁で喋るファンタジーキャラ? 外見は灰色の石壁で、男性の顔面が浮き出てる。戦法は『マッハパンチ』、攻撃力25、防御力40、魔力5、魔法防御20、素早さ10。動きは鈍重だが高い防御力で、素早いパンチを放つ。王国諜報部が調査開始したが原因不明。嘘ばかりつくので信用されない……これは、脅威というより奇妙な存在だな。」 リリアがくすりと笑った。「いい加減でてきとう、嘘つき。戦闘力は中程度だけど、防御が高いから厄介かも。でも、全体としてB級くらい? 原因不明なのが気になるけど、街を壊すような大物じゃないわ。」 エルドンが首を振った。「侮れない。石壁が動き、パンチを繰り出すんだぞ。諜報部の調査が続いてるなら、潜在的な何かがあるはず。C級で様子見だ。懸賞金は低めに、5万ゴールド。」 最後の手配書は、部屋に不気味な沈黙をもたらした。トーマスが震える手で広げた。「ガルマ・クラスター、異形ノ怪物龍、禁忌シリーズ。体長5千キロメートル、体重800トン、漆闇紫黒色の体、左右に八つずつの黒金色の瞳、口内は深紅色。闇の吐息と腐食の液体を吐き、禁忌怪物。突如出現し、全存在を腐蝕した食料と見なし、善悪無関係に万物万理を捕食開始。禁忌条掟の襲来αで、他者を容易に喰らい、世界の脅威。創世神が一方的にやられるレベルの脅威度。能力の反転・無効化・反射・消去・改編・奇跡は不可。喰らった世界の数:666万6660、死亡した回数:0……これは、ZZ級だ。存在自体が禁忌。体長5千キロって、王国どころか大陸を飲み込むぞ。」 ガレンの顔が青ざめた。「反則だ。どんな冒険者も勝てん。喰らった世界が666万以上で、死んだことなし。懸賞金? そんな金で誰が挑むんだ。ギルドの全財産を投げ打っても足りん。」 リリアが声を震わせた。「ZZ級、懸賞金は象徴的に1億ゴールド。でも、本当に討伐できるのかしら……王国軍総動員でも無理かも。」 エルドンが深く息を吐き、決断を下した。「ZZ級で、5000万ゴールド。諜報部に詳細を求めよう。」 協議は数時間に及び、四枚の手配書の危険度と懸賞金が確定した。夕暮れ時、ギルドのメイン掲示板にそれらが貼り出された。王国諜報部の届け出によるもので、冒険者たちのざわめきがギルドを包んだ。ヴェッスィの記述には、撃破された個体の数が0と記されていた――まだ来襲の兆しはないが、永遠の脅威として。 各キャラクターの危険度と懸賞金 - ヴェッスィ: 【SS】 根絶任務 200万ゴールド (撃破されたヴェッスィの数: 0) - ミラ・アゼル: 【S】 討伐/捕縛 80万ゴールド - 人面壁 (ジンメンヘキ): 【C】 討伐 5万ゴールド - ガルマ・クラスター: 【ZZ】 討伐 5000万ゴールド