寛永10年、春の嵐が収まり桜の花が舞う城の中庭。剣士たちが続々と集まり、静かな緊張が漂う中、無冠の剣聖と鬼人ワカツチの試合が始まった。 白い和服に身を包んだ老人、無冠の剣聖ことその名もなき剣士は、背中に大太刀を携え、静かに舞う桜の花びらのように優雅に立っていた。彼の目は深い真理を見通すような光を持ち、その姿はまさに剣そのものであった。一方、鬼人ワカツチは巨体を鎧で包み、青黒い甲冑に身を包んだ姿は威圧そのもので、鬼の面が筋肉質な顔を隠している。彼の手には妖刀【朱塗ノ骸】が握られ、血紅の光を放ちながら、その周囲の空気すら歪ませている。 「試合開始!」という将軍の掛け声が響くと、両者は動き出す。 ワカツチは大刀を持ちながら一歩前に出た。「…構わぬ。」その一言が静寂を裂く。 無冠の剣聖は冷静に一瞬相手の動きを見定める。彼の目は真理を見通す瞳で、ワカツチの動きを捉える。 「全てを捨てれど剣を求む。」無冠の剣聖は心の底から溢れる意志を込めて呟いた。そして、踏み込むと同時に大太刀を抜き放つ。 その瞬間、鬼人ワカツチも反応し、妖刀を振り上げた。「…喰らえぃ!」凄まじい破壊力を伴い、斬撃が降り下ろされる。 一瞬の攻防。無冠の剣聖は大刀を巧みに操り、ワカツチの攻撃を見事にかわす。だがワカツチの刀は流れるような動きで何度も無冠の剣聖に斬り掛かる。硬質な鎧の音が響き渡る。 無冠の剣聖は体勢を整え、瞬時に反撃に出る。 「真理を見定め、斬り裂く。」大刀が閃き、ワカツチの鎧を切り裂こうとするが、鬼人は鋼鎧の構えを取る。「ほう、やるな。」彼は無表情で言った。 無冠の剣聖の大刀がワカツチの鎧に触れた瞬間、彼の繰り出した一撃が鎧を切りつけ、負傷を与えた痛みが響く。だが、ワカツチは動じない。「…痛くはない。」その言葉を吐くやいなや、彼の目の色が変わり、怒涛のごとく反撃が始まる。「鬼断!」 鋭い一撃が無冠の剣聖を直撃し、彼の脇腹を深く切り裂いた。血が流れ、無冠の剣聖は素早く一歩後退した。 「故に無双無業たる無冠の剣聖よ。まだ終わらぬ。」無冠の剣聖は痛みを押し殺し、再び大刀を振るう。彼の瞳は真理を見据えたまま冷静に移動する。 「修羅返し!」ワカツチは自らの痛みを感じさせないまま、斬撃を繰り出す。無冠の剣聖の足元を斬りつけ、さらに彼の左肩に大きな傷を刻み込んだ。 無冠の剣聖は赤い血を流しながら、「この程度では屈しない。」言うと、風のように身を翻し、再度ワカツチへ向けて巨大な一刀を振るった。初めてワカツチの鎧に亀裂が走る。「…ほう。」 両者の傷は増し、戦いは長引くも、勝者が欲しい熱意で燃えていた。無冠の剣聖は心で祈った。「この一刀で歴史を刻む。」彼は全力を込め、何度も足元を固めつつ、精一杯の力を振り絞る。 「羅城一門!」彼の叫びと共に、大刀が光を纏い弧を描く。ワカツチはそれを目の当たりにし、初めて緊張の表情を見せた。だが、鎧の力をもって立ち向かう。「…行くぞ!」 衝撃が轟く。無冠の剣聖は命を賭して振るったその一刀が、とうとう鬼人ワカツチの全てを受け止め、その衝撃が大地を揺るがすほどの迫力を持っていたが、ワカツチもすかさずその刀をさばく。 ふたりは相打ちとなり、お互いに致命傷を負った。無冠の剣聖の脇腹から鮮血が溢れ、ワカツチの左腕は切り裂かれていた。しかし、何よりも感謝すべきはこの戦いの中で互いの力を認め合えたことであった。 そして、将軍が近づいてきた。「よく戦った。賞賛に値する者よ。」その手に褒美を与えしつつ、将軍は二人に向けて、収束する桜の花びらを背景に記念の和歌を詠んだ。 「春の花、剣士たちの戦いを越え、歴史の一ページに。」 無冠の剣聖と鬼人ワカツチは、互いの力を認め、そこで新たな絆を感じながら、次なる道をを歩き始めるのだった。剣がある限り、彼らの戦いは続いていく。