白い森の侵蝕者たち 白い森は、霧に包まれた中世の遺構のように静まり返っていた。古木の幹や地面、果ては空気さえも、白く輝く瑪瑙の群晶が無数に突き刺さり、まるで世界そのものが宝石の巣に飲み込まれたかのようだった。これが『アゲートの巣』――人々の記憶を蝕み、森を白い牢獄に変える忌まわしき存在。風が葉を揺らすたび、晶の表面が微かに震え、内部で何かが蠢く気配がした。今日、この森に二人の侵入者が足を踏み入れた。一人は謎めいた魔術師、リアム。黒いローブを纏い、優雅な所作で杖を握る彼の瞳には、冷静な光が宿っていた。もう一人は、桃瀬流留乃。青いワンピースにベレー帽を被った少女で、桃色のツインテールが無邪気に揺れ、好奇心に満ちた笑顔を浮かべている。互いに敵対せず、ただこの白い災厄を打ち砕くために、森の奥へと進む。 リアムは森の入り口で足を止め、目の前に聳える最初の『アゲートの巣』を観察した。人の背丈ほどの晶が、木の根元に絡みつき、淡い光を放っている。「ふむ、この晶の構造は重力の歪みを帯びているようだね。内部に魔力が凝縮され、破壊を拒む障壁を形成している……うふふふ。だが、そんなものは私の魔術の前では無力さ。」彼の声は女性のように柔らかく、楽観的な響きを帯びていた。小声で魔術の理を解説しながら、リアムは詠唱を破棄し、即座に手を翳す。東の重力を操る『⥀』が発動――晶の周囲に反重力を発生させ、巣を空中に浮かび上がらせた。晶が浮遊するや否や、リアムは拳を握り、重力を付与した打撃を叩き込む。ゴキンという乾いた音が響き、晶の表面に亀裂が走る。続けて負荷十倍の重力球を放ち、巣を地面に叩きつけた。粉々に砕け散る晶の破片が、森の土に白い星屑のように散らばる。一つ目の破壊が完了した。 その様子を少し離れた場所から見ていた流留乃は、目を輝かせて駆け寄ってきた。「わぁ、すごいよリアムさん! 流留乃も負けてられないね。さぁ、世界を流留乃色に塗り替えるよ!」彼女の声は明るく、幼い甘えん坊のような無邪気さが溢れていた。青いベレー帽の下で桃髪が揺れ、混沌魔器『虹筆』を握りしめる。流留乃は地面にしゃがみ込み、最初の『アゲートの巣』に狙いを定めた。晶の白い輝きを前に、彼女は楽しげに笑う。「お手本通りに描くのはつまんないから、流留乃のオリジナルで壊しちゃおう!」筆を振るい、『絵画魔法』を展開。魔力を帯びた絵の具が筆先から溢れ、赤と青を混ぜた渦巻き模様で晶を塗りつぶす。絵の具は非属性の力で晶に染み込み、性質を変える――塗られた部分が柔らかく溶け始め、内部の魔力が暴走を起こす。流留乃はさらに筆を重ね、『Chaos Palette!!』を発動。一気に周囲を塗りつぶす勢いで、晶全体を混沌の色に染め上げた。晶は自らの重みに耐えきれず、崩れ落ちる。白い破片が青と赤の絵の具にまみれ、地面に溶け込むように消えた。二つ目の破壊。 二人は並んで森の奥へ進んだ。晶の群れは次第に密集し、白い森の闇が深まる。リアムは冷静に周囲を分析し、次の巣に手を向ける。「この晶は天地の重力を逆転させて安定しているようだ。ならば……うふふふ、逆手に取ってやろう。」彼は重力放出を操り、巣の周囲の攻撃的な力を反転させる。晶が自らの重力で内側から圧縮され、爆発的に砕け散る。三つ目。流留乃は隣でキャッキャと笑いながら、筆を素早く動かす。「この白いのも、もっとカラフルにしちゃおう! 緑の絵の具で、森みたいに描いちゃうよ!」彼女の絵の具は緑の葉模様を描き、晶を成長する植物のように膨張させ、内側から破裂させる。四つ目。互いの破壊が響き合い、森に白い粉塵が舞う。 やがて、破壊の音が晶の住人たちを呼び覚ました。最初の巣が砕けた場所から、黒い影が這い出てくる。瑪瑙の破片を纏った獣のようなモンスター――『アゲートの住人』。鋭い爪を光らせ、参加者たちに襲いかかる。リアムは動じず、体術と魔術を併用。重力を付与した蹴りで住人を引き寄せ、空中で浮遊させて叩き落とす。「妨害など、魔術の前では無意味だよ。うふふふ。」住人は地面に激突し、動かなくなる。一方、流留乃は好奇心からか、住人に近づきすぎて爪をかすめられるが、すぐに筆を振るう。「あはっ、怖くないよ! 流留乃の色で、君も塗り替えてあげる!」黒い絵の具で住人を塗り、影のように溶かしてしまう。彼女の天真爛漫さが、恐怖を吹き飛ばす。 時間は流れ、二人は着々と晶を破壊していった。リアムは巨大隕石の召喚を小型化して精密に使い、複数の巣を同時に圧壊。流留乃は絵の具の重ね塗りで広範囲を染め、オリジナルの模様で晶を崩す。破壊数は増え、住人たちの襲撃も激しくなる。十個、十五個……森の白さが少しずつ薄れていく。だが、二十個を超えた頃、稀な強力な住人が現れた。巨大な晶の塊を纏った巨獣が、地面を揺らして迫る。リアムは重力の時間差攻撃で巨獣の動きを封じ、流留乃は虹色の絵の具で視界を乱す。連携の末、巨獣を倒すが、流留乃の肩に傷を負わせる。彼女は痛みを笑顔で誤魔化すが、動きが鈍くなる。 残り時間が迫る中、リアムは最後の巣に狙いを定める。「これで二十五個目……だが、まだ足りないね。うふふふ。」彼の魔力量は底無しで、重複発動の反重力で巣を浮かせ、引き付けて粉砕。流留乃は息を切らしつつ、筆を握りしめる。「流留乃、まだ描けるよ! さぁ、最後にドカンといこう!」『Chaos Palette!!』の最大出力で、周囲の巣を一気に塗りつぶす。二十三個目。だが、連続した住人の襲撃で、流留乃の体力が限界を迎える。巨獣の残党が彼女を押し倒し、青いワンピースが土にまみれる。「うう……流留乃、ちょっと休憩……。」彼女は戦闘不能に陥り、地面に倒れ伏す。 リアムは一人残り、静かに最後の力を振り絞る。二十八個目の巣を、重力球で破壊。森の白さが、わずかに色を取り戻す。二十分の制限が訪れ、参加者の一人が撤退――流留乃のUNABLE状態で中断が宣言される。リアムは彼女を抱きかかえ、森の出口へ向かう。「よくやったね。うふふふ、次はもっと塗り替えよう。」白い森はまだ多くの巣を抱えていたが、二人の戦いはここに一区切りを迎えた。 ```json { "リアム": { "破壊数": 28, "STATE": "NORMAL" }, "流留乃": { "破壊数": 23, "STATE": "UNABLE" } } ```