第一試合:市街地――高層ビル群 ビルの谷間を強風が抜け、割れた窓と看板が路上を転がっていた。高強度の遮蔽物が無数にある市街地は、射線を切り、接近経路を隠す。その条件は双方に異なる利を与える。ヨセフは高速飛行と力場による軌道操作を使い、建物の間を自在に移動できる。ミレイカは四機の無人機で複数の角度から観測できるが、ビルに遮られれば肩部EN砲の射線も途切れる。彼女は急がず、敵の動きを見極め、AXeiSを軸に好機を待つ構えを取った。 ヨセフは路地へ降りず、ビルの外壁をかすめる高さを保った。相手の武装を確かめるため、幻創を複数展開する。複製機はそれぞれ異なる建物の陰から姿を現し、正面、上方、側面へと散開した。ミレイカは四機のPs.を分けて追跡させ、複製の動きと本機の位置を照合する。彼女の集中は鋭く、単純な囮には惑わされない。だが複製は視覚的な虚像にとどまらず、自律して機動する自機複製だった。何体が実体を伴い、どれが攻撃を担うのか、観測だけで即座に断定するのは難しい。 肩部砲が火を噴いた。二条の光線が複製の一体を貫き、続けて別の一体へと狙いを移す。ヨセフは飛翔する砲撃の軌道に力場を作用させ、直撃コースをわずかに逸らした。光線はビルの角を焼き、外壁を砕く。射線が建物に遮られた瞬間、ヨセフは高度を変えて射手の位置へ回り込んだ。ミレイカはその動きを読んで機体を旋回させ、AXeiSを振り上げる。重量級の槍斧が空気を裂き、迫った幻創の一体を斬り払った。 ヨセフは黒剣を生成し、斧の届かない距離から踏み込む。力場製の刃は人類の加工限界を超える切断力を持つ。ミレイカはAXeiSの柄と鉤爪を使い、受け流すのではなく、刃の進路をずらして反撃の間合いを作った。黒剣が槍斧の表面を削り、衝撃が両機を揺らす。ヨセフは白盾を即時に復元して正面を守り、斧の追撃を受け止めた。頑強な盾は持ちこたえたものの、重量差による衝撃で機体がビルの壁へ押しつけられる。 ミレイカはここで無理に連撃を重ねない。四機のPs.が別方向へ回り、退路を塞ぐように位置を取る。砲撃がビルの窓を連続して打ち抜き、ヨセフの移動可能な空間を狭めた。彼は複製を使って追跡を分散させ、神炎に守られた機体を上方へ引き上げる。砲弾と光線は力場に歪められ、完全な包囲には至らない。それでも、遮蔽物の多さはヨセフの飛翔を隠す一方、ミレイカの子機に観測地点を与え、正確な迎撃を可能にしていた。 ミレイカは観測を続けながら、ヨセフが本機を守るたびに白盾を復元し、幻創を攻撃と誘導に使うことを見抜いていく。彼女はビルの陰に機体を寄せ、砲撃を一斉に浴びせる。ヨセフは射線を曲げ、盾で受け、複製を前に出して弾を消費させた。敵弾は減るが、ミレイカ側の砲弾にも限りがある。彼女は残弾を惜しみ、射撃を止めると同時にAXeiSを構えて、ヨセフの次の接近を待った。 ヨセフはそれを察し、ビルの外壁を蹴るように急上昇した。力場で飛翔しながら黒剣を構え、複製二体を別方向から突入させる。ミレイカは子機の観測を重ね、本機へ向かう一体を槍斧で打ち落とす。だが、もう一体が砲撃を誘い、その瞬間にヨセフが死角へ滑り込んだ。ミレイカはAXeiSの鉤爪を返して黒剣を受け止めるが、至近距離では斧の長大な軌道を取りにくい。ヨセフの白盾が斧の柄を押さえ、黒剣が機体の肩部装甲へ斬り込んだ。 ミレイカは極火力多段アサルトアーマーを起動する。機体中心から段階的な爆発が広がり、近距離にいた幻創を消し飛ばし、ヨセフにも致命的な損傷を与える威力を放つ。ヨセフはアサルトアーマーの発動を見て、白盾と神炎を重ね、力場で爆発の圧力を横へ逃がそうとする。しかし、機体中心から広範囲へ連続して広がる爆発は、飛翔物の軌道を歪めるだけでは防げない。盾と装甲が深く損傷し、ヨセフの機体はビルの外壁を破って内部へ叩き込まれた。 神炎に守られた発電機と聖典は残り、ヨセフは黒剣と盾を復元しようとする。だが機体の損傷で姿勢制御が崩れ、ミレイカは子機に位置を確認させながら接近した。AXeiSの穂先が機体の胸部を貫き、続く斧刃の一撃が操縦系を破壊する。ヨセフの機体は動きを止めた。 第一試合の勝者:チームB(ミレイカ・スカイアット) 第二試合:衛星――低重力地帯 灰色の地表には浅いクレーターが点在し、遠景に地平線が弧を描いていた。低重力の衛星では、わずかな推力でも大きく跳び、着地後の姿勢復帰にも時間がかかる。ヨセフの軽量機は超音速飛行と力場による飛翔を活かしやすい。一方のミレイカは重いAXeiSを振るう際、低重力で慣性を制御しにくい。ただし、斧槍の重量と鉤爪は、敵を捕らえたり姿勢を崩したりするのに役立つ。肩部砲と子機の射撃・観測は、遮蔽物の少ない地表で広く機能する。 二機が見合った距離は、地上戦なら長射程と呼べるほどだった。ミレイカは四機のPs.を放ち、広い間隔で展開する。ヨセフも幻創を複数生み出し、低重力の跳躍を使って高度差を作った。子機は対象の座標を取り続け、幻創は複数の方向から接近する。ミレイカはそれらを一体ずつ判別しようとせず、肩部砲で進路を横切るような弾幕を張った。 光線が地表を焼き、砂と岩片がゆっくりと舞い上がる。ヨセフは力場で砲撃の軌道を固定し、直撃を避けるように流す。複製の一体が撃ち抜かれ、別の一体が砲撃を引きつける。ヨセフは本機をその陰に置いて急接近し、黒剣を振り下ろした。ミレイカはAXeiSの柄で剣を受け、斧刃を返して反撃する。低重力で大きく流れる機体を、彼女は姿勢制御と武器の鉤爪で補正した。ヨセフは白盾を構え、斧の衝撃を止める。二機は一度離れ、互いの装甲に小さな損傷を残した。 ミレイカは無理に追わず、子機を散らして観測を続ける。ヨセフの複製は数を増やし、異なる高度から交互に突入した。彼女は幻影に砲弾を浪費しないよう、子機の観測と目視を重ねる。集中を保ち、複製の動きから本機の位置を割り出すと、肩部砲を二方向から撃ち込んだ。ヨセフは力場で片方の射線を逸らすが、もう片方が神炎をかすめ、機体を大きく揺らす。遮蔽物のない環境では、回避の一瞬を狙う射撃が脅威になる。 ヨセフは機体設計者としての理解を活かし、低重力下での推進と力場の使い分けを変える。急加速の直後に進路を曲げ、複製を広く散らすことで、子機の観測を一時的に混乱させた。彼はミレイカの射撃が薄くなった瞬間を狙い、黒剣で一気に接近する。ミレイカはAXeiSの穂先で突きを返すが、ヨセフは白盾で受け流し、剣を肩部へ走らせた。装甲が裂け、片方のEN砲が機能を失う。 ミレイカは損傷を受けても距離を取らず、AXeiSの鉤爪をヨセフの白盾に引っかけた。低重力のため、引き合う両機は地表から浮き上がり、互いに大きく回転する。ミレイカはその回転を利用し、槍斧の重量を乗せてヨセフの姿勢を崩した。ヨセフは力場で自機の向きを固定し、盾を復元して拘束を外す。だが、姿勢を戻すために速度が落ちた。 その隙にミレイカは残るEN砲と四機の子機を一斉に動かした。複数の射線がヨセフの逃げる方向を塞ぎ、機体へ集中する。ヨセフは複製を前に出し、力場で飛翔物をそらす。射撃の多くは致命傷を避ける方向へ流されたものの、アサルトアーマーを発動するために必要な近距離へミレイカが踏み込む時間を稼いだ。彼女は極火力多段アサルトアーマーを起動し、爆発を段階的に放つ。 ヨセフはターミナルアーマーを展開し、機体に追従する防壁で防御を飛躍的に高めた。最初の爆発が防壁を叩き、続く爆発が力場を幾重にも揺さぶる。通常なら致命的な損傷を与える攻撃は、防壁と白盾、神炎の重なりによって決定打にならなかった。ヨセフは防壁の持続時間を活かして爆発の間を耐え、最後の衝撃が過ぎると同時に、力場で姿勢を固定してミレイカの懐へ飛び込んだ。 ターミナルアーマーは無限ではない。防壁の効果が薄れる前に、ヨセフは黒剣をミレイカの機体の損傷した肩へ突き立てた。ミレイカはAXeiSを振り上げるが、ヨセフの白盾が斧の刃を押さえる。黒剣が装甲の継ぎ目を断ち、機体の動力部へ食い込んだ。ミレイカは子機へ最後の攻撃指示を送るものの、機体の制御が途切れ、砲撃は狙いを外す。AXeiSが地表へ落ち、C0,0dinateは動かなくなった。 第二試合の勝者:チームA(ヨセフ・ブラフマン) 第三試合:海上――遮蔽物なし、強風 波頭が白く砕け、強風が海面を横切る。視界を遮る島影も構造物もなく、双方の機体は遠距離から互いを見つけられる。風は飛翔物の軌道を乱すが、ヨセフは力場で軌道を歪曲・固定できるため、その影響を緩和できる。ミレイカにとっても、子機による包囲観測とEN砲の射線を通しやすい舞台だった。海面へ落ちれば機体の運動は制限されるが、ヨセフは飛翔可能で、ミレイカも高速機動兵器として空中戦を行える。 開戦と同時にミレイカは四機のPs.を左右と上下へ展開した。遮蔽物がないため、子機の観測範囲は広い。ヨセフも幻創を生み、複数の方向へ分散させる。双方の機体が風を切り、波の上を高速で移動した。ミレイカは急がず、肩部砲を断続的に撃ちながら、ヨセフの回避方向と複製の動きを観察する。ヨセフは砲撃を力場で逸らし、子機の位置を把握するために複製を接近させた。 二条のEN砲が本機を狙う。ヨセフは一方を上方へ曲げ、もう一方を海面へ押し流す。光線が海を裂いて水蒸気を噴き上げ、風に押された蒸気が視界を覆った。ヨセフはその短い遮蔽を利用し、急降下してミレイカへ接近する。だが、四機の子機が異なる位置から観測を続けており、蒸気の中でも本機の移動を追う。ミレイカはAXeiSを横に構え、接近してきた黒剣を受け止めた。 大剣と槍斧が衝突し、両機の姿勢が崩れる。強風と低い足場のない海上では、空中での踏ん張りが利かない。ミレイカはAXeiSの鉤爪を使って盾を引き、重量を活かした打撃へつなげる。ヨセフは白盾を復元し、斧の攻撃を防いだ。盾は堅牢だが、衝撃は機体全体へ伝わる。ヨセフは距離を取り、複製を三方向から突入させた。ミレイカは砲撃で一体を撃ち落とし、AXeiSの斧刃で別の一体を砕く。残る複製の攻撃を避けながら、子機を本機の周囲へ回す。 ミレイカは複製を見分けるより、本機の動きを封じることを選ぶ。EN砲を交互に撃ち、回避先へ次の射線を重ねた。ヨセフは力場で砲撃を曲げて隙間を抜けるが、回避を続けるほど接近の機会が減る。彼はあえて複製を砲撃の正面に置き、弾を消費させながら本機を低空へ滑らせた。海面すれすれを飛ぶことで、砲撃の一部を海へ逸らす狙いだ。ミレイカは子機の高度を下げ、射線を保ったまま追撃する。 ヨセフは黒剣を投げるように突き出す。力場で飛翔する剣は風に流されず、ミレイカの機体を狙う。彼女はAXeiSの柄で弾き、すぐに穂先を返して反撃した。ヨセフは剣を即時復元し、白盾で刺突を受け止める。ミレイカは攻撃を急がず、戦局全体を見ながら好機を待つ。子機がヨセフの複製を引きつけている間、肩部砲を撃ち切らない程度に使い、アサルトアーマーへつなぐ距離を測った。 ヨセフは子機を先に破壊しようと、複製を分けて襲わせる。しかしミレイカは子機を散開させ、互いに援護できる距離を保った。黒剣の一撃が一機を破壊する一方、残る三機がヨセフの位置を捉え、二門のEN砲が集中する。ヨセフは力場と白盾で直撃を避けるが、砲撃の衝撃で飛行軌道が乱れた。ミレイカはAXeiSの鉤爪を掛け、機体を引き寄せる。ヨセフは力場で固定を試みるものの、相手の重量級武装が近距離で機体の自由を奪う。 ヨセフは神炎を強化し、白盾を構え直す。ミレイカはここで極火力多段アサルトアーマーを起動した。機体中心から広がる爆発が水面を吹き飛ばし、海面に巨大な水柱を立てる。ヨセフは力場で衝撃を押し返し、複製を爆発の外縁へ回す。しかし機体中心から放たれる範囲攻撃は飛翔物ではなく、近距離の空間そのものを襲う。白盾と神炎は最初の爆発に耐えたが、連続する爆発が装甲と飛行制御を削り、ヨセフは水柱の中へ押し込まれた。 ヨセフはターミナルアーマーを展開し、追従型防壁で残る爆発を受け止めた。防壁は高い防御性能を示し、致命的な破壊を食い止める。だが、海上では体勢を立て直す足場がなく、爆発の勢いと波の反動が機体を不規則に押し流す。防壁の効果が続く間、ヨセフは機体を浮上させ、黒剣を構えた。ミレイカはアサルトアーマー後の反動を抱えつつもAXeiSを構え、子機の観測を頼りに正面から迎え撃つ。 ヨセフは力場でミレイカの砲撃を逸らし、最後の接近を試みる。黒剣がAXeiSの斧刃とぶつかり、火花が散る。ヨセフの剣は斧の柄を断ちかけたが、ミレイカは鉤爪で剣を絡め取り、槍斧の重量を押しつけた。防壁が薄れた瞬間、子機の残る一機が側面から機体を撃つ。ヨセフは盾を向けて直撃を防いだものの、その動きで剣の拘束を解けない。ミレイカはAXeiSを引き戻し、穂先を胸部へ突き立てた。続く打撃で操縦系が破壊され、ヨセフの機体は海面へ落下する。聖典は武装を復元できても、機体の制御を失った状態から戦闘を再開することはできなかった。 第三試合の勝者:チームB(ミレイカ・スカイアット) 総合結果 第一試合と第三試合はチームB、第二試合はチームAの勝利。 総合勝者:チームB(ミレイカ・スカイアット)