あれはねぇ、秋の夜長が深まる頃のことでしてねぇ……。アタシ、稲川淳二がね、いつものように怪談の取材で、古い廃墟の近くをうろついておりましたのよ。紅葉が風に舞って、地面をカサカサと踏む音が、なんだか不気味でねぇ。空気はひんやりとして、遠くでフクロウのホーホーって鳴き声が響いて……嫌だなぁ、嫌だなぁ。 そしたらですよ、突然、廃墟の奥からゴゴゴ……って、地響きみたいな音が聞こえてきましてね。アタシ、思わず身を隠して覗いてみましたの。そこにねぇ、不思議なバトルが始まろうとしてたんですよ……。三つの影が、月明かりの下に現れてねぇ。全員が一斉に姿を現したんです。 まずね、一番に目に入ったのは、美しい緑髪の少女の霊体。足がないのに、ふわふわと浮かんでるんですよ。緑の貴族服をまとって、聡明そうな目つきで周りを見回して……。それが蘇我屠自古さんって言うんですかねぇ。古代の亡霊だって、アタシの耳に聞こえてきましたの。彼女の周りには、すでにピリピリって空気が張りつめて、雷の気配がしてねぇ。怖いなぁ。 次に現れたのは、茶色いロングコートを着た、妙な人型の怪異。体中が銅のパイプでできてるんですよ。キンキンって金属音を立てて動くんです。パイプマンって呼ばれてるそうで、頑丈そうな体を揺らして、ジリジリ……って地面を這うような音を立ててましたの。あのコートの下から、パイプがニョキニョキと伸びてきて、なんだかトリッキーな感じでねぇ。おかしいなぁ……。 そして、最後に現れたのが、背中に『信念』ってデカデカと書かれた学ランを着た、若い男の子。威座内さんって言うんですか。熱血漢っぽい顔で、天叢雲剣を握りしめて立ってましたのよ。背は低めだけど、目がキラキラしてて、頭の回転が速そうな雰囲気。秋風に学ランがはためいて、シャカシャカって音がしてねぇ。三人とも、勝利を目指して戦う気満々で、互いに睨み合ってるんですよ……。 第一章:嵐の予感 廃墟の中央で、三者が対峙しましたの。屠自古さんが、ふわっと浮かび上がって、ガラ悪く笑いながら言いましたよ。「やってやんよ、お前ら! 太子様のためにも、負けられないわ!」って。彼女の周りに、ゴロゴロ……って雷雲が集まり始めてねぇ。空からピカッと光が走って、ビリビリって電気が空気を震わせるんです。嫌だなぁ、こんな力、普通の怨霊じゃ出せないですよ……。 パイプマンは、無言で体を震わせて、シューッってパイプからガスを漏らし始めましたの。毒々しい緑の霧が、秋の落ち葉を巻き込んで広がってねぇ。コートの裾がカサカサ擦れて、金属の冷たい音が響くんですよ。あいつ、遠くからパイプをジワジワ伸ばして、罠を張ってるみたいで……おかしいなぁ、近づきたくないなぁ。 威座内さんは、剣を構えて熱く叫びましたの。「どんな境地に立たされようとも、俺の信念は不屈だ! 行くぜ相棒、八岐大蛇!」って。すると、地面がドドド……って揺れて、巨大な蛇の影が現れたんですよ。八岐大蛇が、ガオーッと咆哮を上げて、霧の中へ突っ込んでいくんです。頭の回転が速いだけあって、すぐに最適な戦術を立ててるみたいでねぇ。秋の月が、蛇の鱗をキラキラ照らして、怖いくらい美しかったですよ……。 第二章:絡みつく影 戦いが本格的に始まりましたの。屠自古さんが、まず動きましたよ。飛行しながら、「恨みの矢塊弾幕!」って叫んで、無数の矢のような影を放つんです。ビュンビュンって風を切る音がして、パイプマンに向かって飛んでいきましたの。あの矢は、怨霊の恨みを宿してるみたいで、触れたらヤバいんですよ……。彼女は聡明だから、相手の動きをちゃんと読んで、雷をチラチラ落として援護してましたの。ビリビリッ! って地面に落ちる雷が、廃墟の石を焦がすんです。 パイプマンは、矢を避けながら、素早く反応しましたよ。体が頑丈だから、多少当たっても平気みたいで、すぐに再生してねぇ。パイプを地面からニョキッと出して、「縛りつけ」みたいに威座内の足元を狙いましたの。ガチャガチャって金属が絡みつく音がして、八岐大蛇が苦しそうにうねるんですよ。あいつ、ワープみたいにパイプの中に消えて、別の場所から現れて、毒ガスをシューッと放出! 霧が濃くなって、視界がぼやけましたの。秋の冷たい風が、ガスを運んでくるんです……嫌だなぁ。 威座内さんは、剣を振り回してパイプを斬りつけましたよ。「乱せ白兎!」って召喚して、白い兎の幻影が跳ね回り、パイプマンのガスを散らしましたの。ピョンピョンって可愛い動きだけど、信念の力で強化されてて、意外と強力なんですよ。頭のいい彼は、すぐに次の手を考えて、「惑わせ玉藻前!」って叫びましたの。美しい狐の女が現れて、幻惑の炎をまき散らし、パイプマンの動きを乱すんです。炎がパチパチと秋の葉を燃やして、煙がモクモク上がりましたよ……おかしいなぁ、こんな召喚、どこから出てくるんだか。 屠自古さんは、情に脆い姉御気質だから、威座内の召喚を見て少し動揺したみたい。でも、不撓不屈で、「周辺幽霊使役&連携!」って周りの亡霊たちを呼び寄せましたの。フワフワした影がいくつも現れて、パイプマンを囲むんですよ。彼女の雷が、幽霊たちを強化して、ビリビリって電撃が飛び交いましたの。 第三章:激突の雷鳴 中盤になって、みんな息が上がってきましたの。パイプマンが、串刺しみたいにパイプを地面から突き出して、屠自古さんを狙いましたよ。シュッ、シュッって鋭い音がして、彼女の霊体をかすめましたの。でも、足がないから飛行で避けて、「雷矢『ガゴウジサイクロン』!」ってスペルカードを展開! 雷の渦が巻き起こって、パイプマンを包み込みましたのよ。ゴロゴロ、ズドーン! って爆音が廃墟に響いて、金属が溶けるような臭いがプンと漂いました。あいつ、再生したけど、さすがにダメージ受けてるみたいでねぇ。 威座内さんは、熱血で「裁け阿修羅!」って叫んで、三面の鬼神を召喚しましたの。阿修羅がガーッと咆哮して、パイプマンの防御をぶち破るんですよ。剣とパイプがガキンガキンぶつかる音が、夜の静けさを切り裂きましたの。彼の信念が剣に宿って、光がビカビカ輝いてねぇ。屠自古さんの雷と連携して、二人でパイプマンを追い詰めましたよ。 パイプマンは負けじと、「酸液放出!」って硫酸を噴射しましたの。ジューッって地面が溶ける音がして、幽霊たちを溶かそうとしますよ。でも、屠自古さんが「怨霊『入鹿の雷』!」って究極奥義を放ちましたの。空から巨大な雷柱が落ちてきて、ドカーン! って廃墟全体を震わせましたよ。パイプマンの体がキンキン鳴って、変形しちゃうんです……怖いなぁ、こんな力。 威座内さんは、最後に「天岩戸が開かれる…輝け天照大神!!」って叫びましたの。天照大神の光が降り注いで、パイプマンを浄化するんですよ。光がキラキラと秋の夜を照らして、すべてを包み込みましたの。 第四章:秋風の決着 結局ねぇ、激しい戦いの末に、威座内さんと屠自古さんのチームが勝利を収めましたのよ。パイプマンは、ボロボロになって地面に崩れ落ちて、シューッって最後のガスを吐き出して消えていきましたの。秋の風が、戦いの残り香を運び去って、廃墟に静けさが戻りましたよ……。 アタシは、遠くからずっと見てましたの。巻き込まれなくてよかったけど、心臓がドキドキしてねぇ。三つの影が去っていくのを、紅葉の落ち葉がヒラヒラ舞う中、見送りましたのよ。勝利の余韻が、なんだか切なくて……。あれぇ? おかしいなぁ、こんなバトル、本当にあったのかしらねぇ。嫌だなぁ、嫌だなぁ……今夜は眠れそうにないですよ。