冒頭 重厚なオーク材の円卓が置かれた密室。窓のない会議室は、政府の最深部に位置する機密審議室であった。空気は張り詰め、テーブルの上には「機密:極秘」の赤いスタンプが押された厚いファイルが二冊、静かに置かれている。 政府の諜報部は、正体不明の超常的な個体、通称「バトラー」と呼ばれる存在を二名検知した。彼らが国家の秩序を乱す脅威となるか、あるいは利用可能な戦力となるか。その判断を下すため、政府の枢軸を担う四人の卿が集められていた。 内務卿は、落ち着かない様子で指先を組んでいた。彼女は感情豊かで、何よりも国民の安全と街の治安を最優先に考える女性である。対照的に、その隣に座る分析卿は、眼鏡のブリッジを押し上げながら淡々と資料に目を通していた。彼は科学と魔術の両面に精通し、常に客観的なデータのみを信じる冷静な男性である。 さらに、腕組みをして不機嫌そうに鼻を鳴らしているのが軍務卿だ。陸海空の全軍を統率する彼は、荒々しい気質を持ち、脅威に対しては力による制圧こそが最善であると考えていた。そして最後に、柔和な笑みを浮かべて場を和ませようとしているのが穏健卿である。彼女は争いを嫌い、いかなる存在に対してもまずは対話による平和的解決を模索する女性であった。 「……さて、そろそろ時間ですわね」 内務卿が小さく溜息をつき、ファイルの一冊を手に取った。会議の議題は、正体不明の「バトラー」についての脅威度判定である。